著者
吉海 直人 YOSHIKAI Naoto
出版者
京田辺
雑誌
同志社女子大學學術研究年報 = Doshisha Women's College of Liberal Arts annual reports of studies (ISSN:04180038)
巻号頁・発行日
vol.70, pp.146-139, 2020-01-08

冷泉家には古い百人秀歌の他に、もう一冊(四冊目の)百人秀歌が所蔵されていた。それは冷泉為村筆の写本であり、為村の跋文が付されている。その跋文には、百人秀歌こそは『明月記』の記事に書かれているものであり、百人一首は為家が後に改訂したものと説かれている。本書は書写年代こそ新しいが、従来の百人秀歌草稿本説を二百年ほど遡らせる貴重な証言資料と思われるので、ここに紹介かたがた内容の考察を行なってみた次第である。
著者
吉海 直人 Yoshikai Naoto
出版者
京田辺
雑誌
同志社女子大学学術研究年報 = Annual reports of studies (ISSN:04180038)
巻号頁・発行日
no.68, pp.150-142, 2017

いろはかるたの基礎資料として「教訓いろはたとゑ」を入手することができたので、その画像を影印で紹介し、資料として提供したい。ただし掲載されていることわざは、大半が「京いろは」とも「江戸いろは」とも異なっており、従来の分類では収まりきれないものである。その意味でも今後の分析・検討が期待される。研究資料
著者
吉海 直人 YOSHIKAI Naoto
出版者
京田辺
雑誌
同志社女子大学日本語日本文学 (ISSN:09155058)
巻号頁・発行日
vol.16, pp.37-64, 2004-06-30

「花かるた」は、ヨーロッパ(ポルトガル)のプレイングカードが海を渡って日本に将来され、その後の鎖国の間に独自に発展したものである。その特徴は数字を用いず、四季折々の花によって代用している点にある。ただ今日まで、賭博とのかかわりが強調されたために、その文化的特質が見失われていたと思われる。本稿は新出資料「武蔵野」の骨刷の紹介を兼ねて、日本が世界に誇りうる「花かるた」の歴史と文化を再検証し、その復権をめざすものである。
出版者
京田辺
雑誌
同志社女子大学日本語日本文学 (ISSN:09155058)
巻号頁・発行日
vol.15, pp.11-23, 2003-06-30

甲類のトの表わす意味の中に出入口の意のト (門) と場所・所の意のト (処) があるが、同じく甲類のトを構成要素として持つミナト (ミは水、ナは連体格助詞) にも「ミ + ナ + ト (門)」と「ミ + ナ + ト (処)」を認めることができるのではないか。前者は河口や湾口や海峡など水の出入口を指す語であるのに対し、後者は湖や入江などの水の溜まり場や陸地に入り込んだ水域などを指す語であり、「水門」「水戸」が前者のための正訓字であるのに対して、「湖」は後者のたあの用字であったと考えられる。