- 出版者
- 京田辺
- 雑誌
- 同志社女子大学日本語日本文学 (ISSN:09155058)
- 巻号頁・発行日
- vol.15, pp.11-23, 2003-06-30
甲類のトの表わす意味の中に出入口の意のト (門) と場所・所の意のト (処) があるが、同じく甲類のトを構成要素として持つミナト (ミは水、ナは連体格助詞) にも「ミ + ナ + ト (門)」と「ミ + ナ + ト (処)」を認めることができるのではないか。前者は河口や湾口や海峡など水の出入口を指す語であるのに対し、後者は湖や入江などの水の溜まり場や陸地に入り込んだ水域などを指す語であり、「水門」「水戸」が前者のための正訓字であるのに対して、「湖」は後者のたあの用字であったと考えられる。