著者
水澤 亜紀子
出版者
公益社団法人 日本理学療法士協会宮城県理学療法士会
雑誌
理学療法の歩み (ISSN:09172688)
巻号頁・発行日
vol.20, no.1, pp.2-5, 2009 (Released:2009-02-17)

理学療法士・作業療法士の業務に際しても最低限の法律知識が必要であり,特に患者等との紛争を念頭において,法律知識やその対処法等について述べる。
著者
嶋田 有紗 吉田 英樹 志田 航平 中村 洋平 前田 貴哉
出版者
公益社団法人 日本理学療法士協会宮城県理学療法士会
雑誌
理学療法の歩み (ISSN:09172688)
巻号頁・発行日
vol.29, no.1, pp.35-41, 2018 (Released:2018-04-06)
参考文献数
13

本研究では,ホットパック(HP)とストレッチングの同時施行によりHP施行時間の短縮が可能か検討した。健常者17名の左右いずれかのハムストリングスを対象とした。全対象者にHPでの大腿後面の加温開始前(基準)と加温開始5分後および20分後にHPを適用したままストレッチング(股・膝関節90°屈曲位とした仰臥位での膝最大自動伸展運動)を行う条件(同時施行条件)と,HPを適用せずに同時施行条件と同一時点でストレッチングのみ行う条件の2条件を日を改めて実施した。検討項目は,各条件の各時点におけるハムストリングスの伸張痛の程度(NRS)とストレッチング時の膝最大伸展角度とした。結果,同時施行条件でのみ基準と比較して加温開始5分後および20分後での同等のNRSの有意な軽減と膝最大伸展角度の有意な増加を認めた。以上から,HPとストレッチングの同時施行によりHP施行時間を5分まで短縮可能と考えられた。
著者
齋藤 悟子 齋藤 翔吾 八重樫 淑子 佐藤 房郎
出版者
公益社団法人 日本理学療法士協会宮城県理学療法士会
雑誌
理学療法の歩み (ISSN:09172688)
巻号頁・発行日
vol.27, no.1, pp.28-35, 2016 (Released:2016-04-21)
参考文献数
9

2011年に日本理学療法士協会より理学療法診療ガイドライン第1版が公表され,小児領域では脳性麻痺の理学療法について掲載された。しかし,日本の救命医療の進歩により,小児領域の理学療法では,脳性麻痺のみならず,発達遅滞,視覚障害,聴力障害,てんかん,注意欠如や多動性障害,呼吸器障害など対象は多様となる。また,様々な理由により長期入院となる児や,退院後も在宅酸素療法,気管切開,人工呼吸器,経管栄養などの医療的管理を継続しなければならない児が問題となっている。さらに当院は,2013年に小児がん拠点病院に指定され,小児がんの子どもに対するリハビリテーションニーズが高まっている。小児領域のリハビリテーションは,長期にわたることが少なくないため,理学療法士は身体面のみならず心理的サポートを担う役割が求められ,児を取り巻く環境すべてを考慮し,関わる人すべてと協働し,専門分野の枠組みを超えて,協働体制を確立していく必要がある。また,小児領域の理学療法は,個別性が求められ画一的な介入が困難な側面がある。介入の妥当性について,科学的根拠を示すことが困難であるが,それに向き合って行くことが私たちの責務である。「小児期」についての考え方は様々であるが,今回は当院小児科入院した子どもを対象とした。その中から,発展的に介入しているNICUに入院した早産児や低出生体重児やハイリスク児と,小児がんの子どもに対する理学療法士の取り組みを中心に紹介する。
著者
藤澤 宏幸
出版者
公益社団法人 日本理学療法士協会宮城県理学療法士会
雑誌
理学療法の歩み (ISSN:09172688)
巻号頁・発行日
vol.31, no.1, pp.17-25, 2020 (Released:2020-05-02)
参考文献数
27
被引用文献数
2

日本に理学療法士が誕生してから半世紀を越えた。国家資格として専門職化を進めるために多くの努力が払われてきたが,どの程度専門職としての立場を確立してきたのであろうか。2020年度に20年ぶりとなる養成課程の指定規則が改正されることになったが,臨床実習指導者の要件がより厳格となり,後進育成のためにこれまで以上に有資格者の研鑽が必要となった。これを機に臨床実習の受け入れを終了しようと考える実習施設が出てくるのではないかという危惧が養成校側から聞こえてくる。しかし,自律性の観点からすると,「成員補充の自足性」が専門職を専門職たらしめている重要な要素であることを忘れてはならない。次の時代を担う後進の育成を,養成校と臨床家が連携して担うことが,理学療法士の専門職としての立場を強めるのである。本論文においては,専門職の定義を概観したのち,自律性の観点から理学療法士の専門性を高める方策と,臨床技術を伝承するための臨床教授法について論考する。
著者
星 孝
出版者
公益社団法人 日本理学療法士協会宮城県理学療法士会
雑誌
理学療法の歩み (ISSN:09172688)
巻号頁・発行日
vol.26, no.1, pp.20-28, 2015 (Released:2015-04-22)
参考文献数
43
被引用文献数
1

肺の器質的病変が無くても,慢性的に臥床状況を呈する症例の呼吸機能は,狭い範囲の身体活動状態に適応し,低い状態で安定する傾向を持ちやすい。低い呼吸状態と低いレベルの身体環境は,肺炎などの二次的合併症の惹起率を高め,また,症例を現状の活動レベルから向上させようとする理学療法展開の際に問題になる。慢性臥床例の呼吸機能の低下は,換気能の低下に起因することも多く,それは,廃用と低活動状態の相互作用により影響される。これらのことから,理学療法士が慢性臥床例の呼吸機能を好転させる方向に導くためには,換気低下に影響する肺器質以外の因子にも目を向け,それらの因子の改善と,その改善から,次に症例の全身状態に対し良好な連鎖関係が及ぶように導くという指向が重要である。
著者
我妻 昂樹 鈴木 博人 村上 賢一 鈴木 誠 藤澤 宏幸
出版者
公益社団法人 日本理学療法士協会宮城県理学療法士会
雑誌
理学療法の歩み (ISSN:09172688)
巻号頁・発行日
vol.30, no.1, pp.32-41, 2019 (Released:2019-05-17)
参考文献数
17

〔目的〕フォームに着目した運動学習課題として膝立ち位でのファンクショナルリーチ(FR-k)を取り上げ,Internal Focus of Attention(IFA)のより優れた教示内容を明らかにすることを目的とした。〔対象〕健常青年18名とした。〔方法〕プレテストにてFR-k距離及び重心位置を測定した後,上肢へのIFA教示群(IFA-U)と下肢への教示群(IFA-L)の2群に割り付け,各群30試行の練習を実施させた。また,練習期間終了後の翌日と1週間後における保持テストを実施した。〔結果〕FR-k距離については両群で即時的に有意な変化が認められ,運動学習効果が確認された。また,保持テストにおいて群間で有意な差があり,IFA-L群の方が優れたパフォーマンスを示した。〔結語〕FR-kにおいて,下肢への教示は上肢への教示よりも,運動学習に優れた効果を示した。
著者
烏野 大 千賀 富士敏 太田 厚美
出版者
公益社団法人 日本理学療法士協会宮城県理学療法士会
雑誌
理学療法の歩み (ISSN:09172688)
巻号頁・発行日
vol.15, no.1, pp.27-40, 2004 (Released:2004-11-11)
参考文献数
38

物理療法における電気刺激療法では,多種の刺激波形を利用し,各パラメータを変更することで得られる生体の神経生理学的反応も変わる。電気刺激を行う場合には,目的とする神経や筋組織を刺激するためには,電気刺激は皮膚を通過する必要がある。皮膚の電気抵抗を減少できれば,不快感の少ない電気刺激を行うことができる。電気刺激療法の1つである高電圧パルス電流療法は,不快感の少ない電気刺激と言われている。本稿では,高電圧パルス電流の特徴や治療効果を通して生体における電気特性を併せて説明した。高電圧パルス電流の主な特徴としては,ツインピークパルス電流,高電圧そして単相波である。高電圧パルス電流は1940年代に米国で開発され,多くの研究者によってその治療効果が確認されてきました。浮腫の予防や改善,創傷治癒の促進,血流の改善,筋力強化への適応とその機序について概説した。
著者
前田 里美 早川 由佳理 佐藤 桂子 猿山 沙樹 藤澤 宏幸 星 文彦
出版者
公益社団法人 日本理学療法士協会宮城県理学療法士会
雑誌
理学療法の歩み (ISSN:09172688)
巻号頁・発行日
vol.2003, no.14, pp.45-50, 2003 (Released:2004-08-13)
参考文献数
8
被引用文献数
2

本研究の目的は, 筋電図 · 床反力計 · 三次元動作解析装置を用いた膝立ち位における側方重心移動動作中の運動学的機構を明らかにすることである。対象は健常男性10名とし, 可能な限り速く3種類の右方向への側方重心移動動作を行わせ,左右の脊柱起立筋 · 大殿筋 · 中殿筋 · 外複斜筋の筋活動, 圧中心 (center of pressure : COP), 反射マーカーの空間座標データを測定した。COPの軌跡は一度目的方向とは逆方向へ移動し, その後目的方向へと移動した。また, 全課題動作において動き始めに活動が高まる筋は共通しており,右脊柱起立筋 · 左大殿筋 · 左中殿筋 · 右外腹斜筋であった。これは右側の骨盤挙上に働き, COPを目的方向とは逆方向に移動させ, 重力モーメントを大きくし, 速い側方重心移動動作の原動力となっていることが考えられた。
著者
村木 孝行
出版者
公益社団法人 日本理学療法士協会宮城県理学療法士会
雑誌
理学療法の歩み (ISSN:09172688)
巻号頁・発行日
vol.25, no.1, pp.3-10, 2014

肩関節障害は運動器の障害であるが幅広い領域で対応が求められる。どの領域にも通じて必要になることは肩関節自体の病態やその機序を把握することである。特にバイオメカニクスは病態の機序を理解するのに不可欠であり,肩関節障害の理学療法における一つの基盤である。評価においては疼痛,可動域,筋力に関するものが主体となる。疼痛の原因の一つには物理的刺激があり,その種類として1)肩峰下インピンジメント,2)関節内インピンジメント,3)伸張の3つが挙げられる。疼痛の評価ではこれらの物理的刺激がどのようにして生じているのかを知ることが重要である。関節可動域や筋力の評価においては肩関節に関連する関節や筋の構造について熟知しておく必要があり,それによってなぜ制限や低下が起きているのかが明確になる。治療においては構造異常による不利益と治療効果の限界を踏まえながら,残存機能を最大限に発揮できるようにアプローチしていくことが要点となる。<br>
著者
村上 賢一
出版者
公益社団法人 日本理学療法士協会宮城県理学療法士会
雑誌
理学療法の歩み (ISSN:09172688)
巻号頁・発行日
vol.20, no.1, pp.21-26, 2009 (Released:2009-02-17)
参考文献数
44

筋線維伝導速度(以下,MFCV)は,廃用性筋萎縮などいくつかの病態および機能を反映することがこれまで報告され,筋の廃用状態や筋疲労などを非侵襲的に評価できる指標として考えられている。しかしながら,臨床の場でMFCVは積極的に用いられていないのが現状である。理学療法士がMFCVを活用するためには,先ずMFCVの測定法や変化要因を知り,理解を深めることが重要と思われる。そのうえで,今後,MFCVと筋動特性との関係性を明確にすることができるならば,臨床にも役立つ知見が蓄えられるものと考えている。本論では,MFCVの測定法および変化要因を中心に解説する。
著者
澤邉 泰
出版者
公益社団法人 日本理学療法士協会宮城県理学療法士会
雑誌
理学療法の歩み (ISSN:09172688)
巻号頁・発行日
vol.26, no.1, pp.10-19, 2015 (Released:2015-04-22)
参考文献数
19

心不全の治療は1960年代後半に早期離床・早期退院の考え方が定着し,1970年以降に運動療法が普及していった。その後,運動療法の安全性や有効性について多くの検討が行われ,多くの有益な効果が得られることが判明し,心疾患におけるリハビリテーションに関するガイドラインにおいても運動療法の効果について示されている。我々理学療法士が心不全患者に対して理学療法を提供する上で重要となるのはリスク管理である。理学療法士が「心機能」として一般的にイメージするのは左室駆出率(Left Ventricular Ejection Fraction: LVEF)ではないだろうか。LVEFが40%未満になると左室機能障害といわれ,心疾患に対する理学療法のリスク管理の指標としては重要となる。しかし,LVEFの低値が運動中止基準とはならなない。近年,我が国では高齢化が進み,65歳以上の割合が総人口の25%となり,「超高齢社会」となった。必然的に理学療法分野においても対象者の高齢化が進んでいくことは容易に想像することができる。特に老年期には心不全の発症頻度が増加するため,脳血管疾患や整形外科疾患などにおいても心疾患の既往を有している可能性が高くなり,重複した障害像を認める時代を迎え,高齢者の心臓の特徴を踏まえた循環障害に対する理学療法が重要となる。本稿では心臓の解剖・生理の基本,心不全の病態・典型的症状,心不全に対する理学療法について詳述する。
著者
北川 公路
出版者
公益社団法人 日本理学療法士協会宮城県理学療法士会
雑誌
理学療法の歩み (ISSN:09172688)
巻号頁・発行日
vol.20, no.1, pp.6-10, 2009 (Released:2009-02-17)
参考文献数
3

本稿は平成20年7月に開催された宮城県理学療法士会主催の教育部研修会においておこなった講演会に加筆修正を加えたものである。心理学の行動分析学の立場から演題である「人間関係」について講演を行った。実際に仕事をしていくなかで人間関係における問題は数多く存在する。人間関係などで問題が生じたとき,多くの場合,自分自身や他者に問題の原因を求めようとする。そして原因を自分ではなく他者に帰属させる傾向がある。このようなことをしていても問題は解決しない。具体的に問題解決の方法を探すことが必要である。
著者
出江 紳一
出版者
公益社団法人 日本理学療法士協会宮城県理学療法士会
雑誌
理学療法の歩み (ISSN:09172688)
巻号頁・発行日
vol.16, no.1, pp.2-4, 2005 (Released:2005-04-27)
参考文献数
9

診療技術は臨床意志決定とスキルとに分けられる。症例報告は高度の診療スキルの上に成り立つものであり,その積み重ねによって臨床意志決定の能力が向上する。本稿ではリハビリテーション医学研究における症例報告の意義を,希少症例の治験,介入「無効」例から学ぶこと,介入の多様性の側面から述べ,さらに質的研究の重要性を強調した。
著者
高橋 一揮
出版者
公益社団法人 日本理学療法士協会宮城県理学療法士会
雑誌
理学療法の歩み (ISSN:09172688)
巻号頁・発行日
vol.22, no.1, pp.3-10, 2011 (Released:2011-02-17)
参考文献数
38

近年の脳卒中障害の傾向として,高齢化に伴う合併症の複雑化が挙げられる。合併症の中でも誤嚥性肺炎は脳卒中患者の直接死因の第1位であるなど理学療法遂行にとっても重大な影響を及ぼす。誤嚥性肺炎には嚥下障害によるものと,嚥下障害がはっきりしない不顕性のものがあり,両者に対し予防的な介入を含め呼吸理学療法が効果的である。しかし現状の問題として,脳卒中障害後遺症患者への呼吸理学療法介入は認識が十分ではないことが挙げられる。そのためには脳卒中後遺症と呼吸理学療法を結びつけ,理学療法介入の一部であることを認識することが必要不可欠である。よって本論では,脳卒中後遺症と誤嚥性肺炎との関連性を嚥下障害の視点から整理すること,および現状における呼吸理学療法の展開について議論することとする。