著者
横山 利夫 胡内 健一 新谷 幸太郎
出版者
公益財団法人 国際交通安全学会
雑誌
IATSS Review(国際交通安全学会誌) (ISSN:03861104)
巻号頁・発行日
vol.48, no.2, pp.88-96, 2023-10-31 (Released:2023-10-31)
参考文献数
15

本稿では、最初に日本における自動運転技術を搭載したモビリティの実用化状況を紹介する。続いてRoAD to the L4プロジェクトの目標、推進体制、個別テーマ1からテーマ4の具体的な取組内容を紹介する。また、これらの取り組みから得られた知見や経験を基に、さまざまな地域で取り組みが実施されているAD MaaS社会実装事業(Automated Driving Mobility as a Service)の支援に関する取組状況を紹介する。国外の取組状況に関する調査結果を紹介した後、今後の計画について説明する。
著者
今井 猛嘉
出版者
公益財団法人 国際交通安全学会
雑誌
IATSS Review(国際交通安全学会誌) (ISSN:03861104)
巻号頁・発行日
vol.47, no.3, pp.173-179, 2023-02-28 (Released:2023-02-28)
参考文献数
9

日本の道路交通法(道交法)は、令和4年4月27日法律第32号により一部改正され、自動運転の、いわゆるレベル4が許可されるに至った。そこでは、運転者がいない「運行」が特定自動運行として整理され、自動運行装置による自律的な運行の実施を、特定自動運行実施者(および特定自動運行主任者と現場措置業務実施者)が監視する制度が創設された。特定自動運行も、概念的には「運転」に含まれるから、誰が運転者であるのかが確認されるべきだが、日本では、この点への関心は乏しく、特定自動運行の妥当範囲という具体的な課題に議論が集中しつつある。特定自動運行が、高速道路上のトラックの隊列走行や、公道で個人等が乗り込む自動車の運行にも認められるのかが、今後の検討課題である。
著者
小林 誠
出版者
公益財団法人 国際交通安全学会
雑誌
IATSS Review(国際交通安全学会誌) (ISSN:03861104)
巻号頁・発行日
vol.43, no.2, pp.81-87, 2018-10-31 (Released:2018-11-01)

離島はわが国の領域、排他的経済水域等の保全、海洋資源の利用、多様な文化の継承、自然環境の保全等、重要な役割を担っている一方、四方を海等に囲まれ、人口減少が長期にわたり継続、生活に必要な物資等の輸送費用が他の地域に比べて多額となっているなど、他の地域と比較して厳しい自然的社会的条件にある。こうしたことを踏まえ、政府は離島振興法などの法律を制定するとともに、離島振興に必要となるさまざまな施策を講じている。資源エネルギー庁においては、離島における重要な移動手段となる自動車用燃料等、生活に必要不可欠な物資である石油製品の安定的な供給かつ低廉化を図る取り組みを行っている。
著者
鈴木 高宏
出版者
公益財団法人 国際交通安全学会
雑誌
IATSS Review(国際交通安全学会誌) (ISSN:03861104)
巻号頁・発行日
vol.43, no.2, pp.104-113, 2018-10-31 (Released:2018-11-01)
参考文献数
14

長崎県は、わが国で最も多くの離島を有する都道府県であるが、その主要な離島地域の一つである五島列島地域において、その活性化と地域新産業の創出とを目指し、EV(電気自動車)とITS(高度交通システム)とを導入、統合連携および実装を行う長崎EV&ITSプロジェクトが、2009年から5年間のプロジェクトとして実施された。本稿では、同プロジェクトの企画立案、推進の要点とそれによる成果の概要、その後の同地域における展開について述べるとともに、このような先進技術の社会実装と地域活性化に向けての方策について提言する。
著者
市 大樹
出版者
公益財団法人 国際交通安全学会
雑誌
IATSS Review(国際交通安全学会誌) (ISSN:03861104)
巻号頁・発行日
vol.46, no.2, pp.96-104, 2021-10-31 (Released:2021-10-31)
参考文献数
21

聖武天皇の治世下にあたる735(天平7)年・737(天平9)年、深刻な被害をもたらした疫病が起こった。本稿では、この疫病の実態を多面的に浮かび上がらせることを目的として、その被害状況について確認した上で、その交通に関わる諸現象を中心に検討を行った。具体的には、疫病を退散させるための道饗祭、対外交通に伴う疫病流入の可能性、治療法を記した太政官符の伝達方法、藤原麻呂という貴族に関わる呪符木簡と奥羽連結道路の建設事業について取り上げた。
著者
河原 吉秀
出版者
公益財団法人 国際交通安全学会
雑誌
IATSS Review(国際交通安全学会誌) (ISSN:03861104)
巻号頁・発行日
vol.45, no.2, pp.88-99, 2020

<p>近年、わが国の多くの鉄道事業者において、大型の台風等が接近・上陸し、長時間にわたっての駅間停車や途中駅での運転取り止めが発生する可能性がある場合に、乗客の安全確保等の観点から、広範囲にわたる路線において、全ての列車を運休することを前広に計画し、情報提供した上で運休する「計画運休」が実施されている。本稿では、鉄道における降雨・強風災害への防災・減災対策の概要を述べた後、近年、新たな防災・減災対策として急速な広がりをみせている「計画運休」について、その経緯、意義、実施に当たってのポイント等を、国土交通省鉄道局で取りまとめた「鉄道の計画運休の実施についての取りまとめ」に沿って述べる。</p>
著者
加藤 晋
出版者
公益財団法人 国際交通安全学会
雑誌
IATSS Review(国際交通安全学会誌) (ISSN:03861104)
巻号頁・発行日
vol.45, no.3, pp.222-231, 2021-02-28 (Released:2021-03-03)
参考文献数
19

本稿では、超高齢社会の日本における交通課題の解決手段の一つで、住宅地等における移動手段として共存空間での活用に期待されている低速モビリティについての紹介を行う。まず、低速モビリティとしての車両の種類と区分、利点と欠点を紹介する。また、活用事例として、グリーンスローモビリティなどの実証や事業化事例などを示す。さらに自動運転技術を活用した低速モビリティについての実証実験を紹介し、課題や今後の展開について述べる。
著者
福島 淳
出版者
公益財団法人 国際交通安全学会
雑誌
IATSS Review(国際交通安全学会誌) (ISSN:03861104)
巻号頁・発行日
vol.44, no.3, pp.178-187, 2020-02-29 (Released:2020-02-29)
参考文献数
3

NEXCO中日本が管理する高速道路は総延長約2,100㎞で、その約6割が開通後30年以上を経過している。特に、首都圏・東海圏・関西圏の東西軸を結ぶ東名高速道路、名神高速道路の全線が開通後50年を経過し、全国の高速道路の中でもNEXCO中日本が管理する高速道路の老朽化が顕著である。重要な交通インフラである高速道路を持続的に良好な状態に保つとともに、より一層の安全・快適な高速道路空間を確保するため、橋梁床版の取替等の高速道路リニューアルプロジェクトに取り組んでいる。
著者
下川 澄雄
出版者
公益財団法人 国際交通安全学会
雑誌
IATSS Review(国際交通安全学会誌) (ISSN:03861104)
巻号頁・発行日
vol.44, no.3, pp.188-196, 2020-02-29 (Released:2020-02-29)
参考文献数
23

わが国の道路整備の方向の一つとして、「交通を通す断面」としての量的整備から、「拠点間の移動性」という視点に軸足を移し、つかう時代に合った幹線道路ネットワークへの再編の必要性が挙げられる。拠点間の移動において、沿道アクセス性や移動性といった階層の異なる道路が効率的に利用され、拠点間の目標旅行時間が定められたとき、それを実現できる階層の組み合わせの中で幹線道路ネットワークも位置づけられる。本稿では、これらについて説明した上で、幹線道路が有すべき速度サービスを実現するために不可欠な幾つかの要件について論じている。
著者
井料 美帆
出版者
公益財団法人 国際交通安全学会
雑誌
IATSS Review(国際交通安全学会誌) (ISSN:03861104)
巻号頁・発行日
vol.44, no.3, pp.197-204, 2020-02-29 (Released:2020-02-29)
参考文献数
27

歩行者の交通安全が依然、大きな課題となる一方、対策としての信号機の老朽化や維持管理費用の増大も問題となっている。信号に頼らずに安全な横断機会を与えるための横断施設として、無信号横断歩道の構造改良、特に単路部の二段階横断が近年注目され、国内の導入事例でも、車両の停止遵守率や速度抑制等の面から高い効果が得られている。本稿では、無信号横断施設の構造改良による安全・円滑性の向上効果や道路階層に応じた設置の考え方について、国内外の事例を整理する。
著者
大石 康夫 関根 太郎
出版者
公益財団法人 国際交通安全学会
雑誌
IATSS Review(国際交通安全学会誌) (ISSN:03861104)
巻号頁・発行日
vol.43, no.3, pp.181-189, 2019-02-28 (Released:2019-03-21)
参考文献数
12

兵庫県加古川市における官民連携ICTを活用した安心・安全なまちづくり社会実験でのコネクテッド技術搭載郵便車両の利活用例を報告する。配達業務時の郵便車両の車載カメラ・BLEビーコン検知端末の情報を連携させることで、固定見守りカメラの設置が限定される生活道路においても、動的な見守りを実現し、安心安全の向上を図った。併せて、配達業務中に得た車載センサーデータから、生活道路の路面修繕候補地点を推定・抽出することで、道路管理者による現地調査の工数軽減する試みも紹介するとともに、実験で明らかになった安心安全なまちづくり社会実現への展開と課題についても示した。
著者
今井 清和
出版者
公益財団法人 国際交通安全学会
雑誌
IATSS Review(国際交通安全学会誌) (ISSN:03861104)
巻号頁・発行日
vol.44, no.1, pp.34-42, 2019-06-30 (Released:2019-07-10)
参考文献数
4

原動機を搭載した二輪車(英語:Motorcycle /和製英語:Auto-Bi)は、軽便な移動・運搬手段としてのニーズが依然として大きくある一方、その軽快さによって、娯楽のための乗り物という性格を四輪車以上に強く持つ。そうした二輪車による娯楽の最たるものが二輪モータースポーツである。それにはさまざまな種類の競技があり、それぞれにおいて草の根レベルから世界の頂点を争うレベルに至るまで階層が形成されている。また、使用される二輪車の技術仕様は、実にさまざまである。本稿では、そんな二輪モータースポーツのさまざまなカテゴリーの内訳や、幅広い人気を持つカテゴリーであるロードレースの最高峰クラスに使用される車両の技術的変遷を紹介する。