著者
佐々木 津 福島 淳 奥田 研爾
出版者
日本細菌学会
雑誌
日本細菌学雑誌 (ISSN:00214930)
巻号頁・発行日
vol.53, no.2, pp.407-424, 1998-05-25 (Released:2009-02-19)
参考文献数
83
被引用文献数
1

この数年の間にワクチン研究の分野で新しいアプローチが確立された。微生物の抗原遺伝子を動物に接種すると生体内で抗原タンパクが合成され, 抗原特異的な液性・細胞性免疫を誘導することができ, かつ接種を受けた動物は微生物に対する防御的免疫を獲得するというものである。この新しいワクチンの手法はDNA vaccination, genetic immunization などと呼ばれ, 従来のワクチンにはない様々な特徴を備えていることから多くの研究者の関心を集め, 急速に知見が蓄積されつつある。この免疫法の邦語訳はまだ定まっていないようであるが, この総説ではDNAワクチンと呼ぶ。DNAワクチンの特徴としては強力な細胞性免疫の誘導能という生ワクチンの長所と, 生きた病原体を使用しないため安全性が確保されるというペプチドワクチンの長所を具備している点があげられる。合成が容易で保存性に優れ, 経済性, 長期にわたる免疫反応が持続するなどの面で従来のワクチンより優れており, 次世代のワクチンとして脚光を浴びている。本総説ではこの新しい免疫法に関する研究の最近の動向を総括し, われわれが進めているヒト免疫不全ウィルス (HIV) を対象としたDNAワクチンの研究にも触れながら今後の課題と展望について述べる。
著者
福島 淳
出版者
公益財団法人 国際交通安全学会
雑誌
IATSS Review(国際交通安全学会誌) (ISSN:03861104)
巻号頁・発行日
vol.44, no.3, pp.178-187, 2020-02-29 (Released:2020-02-29)
参考文献数
3

NEXCO中日本が管理する高速道路は総延長約2,100㎞で、その約6割が開通後30年以上を経過している。特に、首都圏・東海圏・関西圏の東西軸を結ぶ東名高速道路、名神高速道路の全線が開通後50年を経過し、全国の高速道路の中でもNEXCO中日本が管理する高速道路の老朽化が顕著である。重要な交通インフラである高速道路を持続的に良好な状態に保つとともに、より一層の安全・快適な高速道路空間を確保するため、橋梁床版の取替等の高速道路リニューアルプロジェクトに取り組んでいる。
著者
賀数 康弘 福島 淳一 久保 和彦 小宗 徳孝 門田 英輝 君付 隆
出版者
JIBI TO RINSHO KAI
雑誌
耳鼻と臨床
巻号頁・発行日
vol.54, no.1, pp.30-36, 2008

外耳道から中耳に及ぶ扁平上皮癌に,乳突洞削開による腫瘍摘出術と放射線治療を行った後, 5年が経過して気脳症を発症した症例を経験した。髄膜炎と水頭症を併発し,意識レベル低下が見られて危篤状態となったが,保存的治療で症状は軽減した。最終的に内耳を含めて側頭骨腐骨部分を摘除し,死腔と硬膜損傷部位を遊離腹直筋弁で充填,閉鎖した。現在まで腫瘍も髄液瘻も再発していない。側頭骨へ照射を行った後に生じるさまざまな合併症の中に髄液漏や本疾患も含まれる。本疾患発症の場合,髄膜炎や脳炎など重篤な頭蓋内疾患を合併して致死的経過をたどる場合もあり,照射を行った患者に対する経過観察においては癌の再発のみならず本症例のような合併症にも留意すべきであると考えられた。
著者
池田 誠 福島 淳一 横尾 公博
出版者
公益社団法人 砂防学会
雑誌
砂防学会誌 (ISSN:02868385)
巻号頁・発行日
vol.68, no.6, pp.51-54, 2016-03-15 (Released:2017-03-21)
参考文献数
1

Mt.Sinabung, which is located in the north side of Sumatra Island, has made the first steam explosion in the historical record in August 2010. After three years of the lull, the volcano became active again in September 2013 and it has continued until now. This report describes the field reconnaissance results conducted in December, 2015. The pyroclastic flow deposits were widely spread from the east to south-southeast slopes of the volcano, and the tongueshaped deposit of lava flow has been accumulated in the center of the pyroclastic flow deposits. The riverbed of Borus River rose remarkably at the downstream. It is thought that the sediment supply of pyroclastic deposit has continued flowing into the Borus River until now. On the other hand, debris flows have occurred frequently in the rivers/stream located in south to south-west slopes, and have caused damages to villages, main roads, and the bridges. It is assumed that debris flows easily occur after the eruption. The residents in the village of the east to south slopes have been already evacuated, and gabions and check dams are currently under construction as the emergency measures. Permanent measures are required to be implemented subsequently.
著者
福島 淳一 鍋谷 欣市 花岡 建夫 小野澤 君夫 中田 芳孝 木村 治 藤井 道孝 藤田 周一
出版者
杏林医学会
雑誌
杏林医学会雑誌
巻号頁・発行日
vol.19, no.4, pp.455-460, 1988
被引用文献数
13

症例は69歳男性。昭和62年5月14日,起床時に水を飲んだところ,突然,右前胸部より背部にかけての激痛が出現した。痙痛はしだいに軽快した。翌日の食道透視にて中部食道右側よりバリウムの漏出が認められ,特発性食道破裂の診断を受けた。入院後,胸腔ドレーンが挿入され,胸腔内洗浄が施行された。その後の食道透視にて,破裂口の閉鎖を認めた。特発性食道破裂は,早期診断・早期手術が原則であるが,最近では保存的治療による治癒例の報告も増加している。保存的治療も,その適応を誤らなければ,有効な治療法の1つとなり得る。今回,われわれは,保存的治療で治癒することのできた1例を経験したので報告する。