著者
長谷川 昌士 三谷 保弘 松木 明好 小枝 英輝 向井 公一 北山 淳 西脇 健司 河井 秀夫
出版者
四條畷学園大学
雑誌
四條畷学園大学リハビリテーション学部紀要 (ISSN:18806856)
巻号頁・発行日
vol.8, pp.39-49, 2012

高校吹奏楽部所属学生を対象に、演奏楽器別に整形外科的症状の出現時期や出現部位について明確にすること、ならびに身体機能評価から整形外科的症状との関係について言及することを目的とした. 方法として身体症状はアンケート調査、身体機能評価は協力できる部員に筋力や関節柔軟性を測定した. 整形外科的症状が出現していた部員の多くはユーフォニウム、チューバ担当であり、比較的、大型の重量楽器を演奏する部員に多かった. また、サックス、パーカッション、カラーガード担当も複数の関節に症状が出現していた. 関節の柔軟性については低下している部員が多く、長座体前屈距離や下肢伸展挙上で全国平均値を下回っていた. また、体幹筋力を評価する上体起こしや背筋力は全国平均値を下回っていた.
著者
松下 太 川又 敏男
出版者
四條畷学園大学
雑誌
四條畷学園大学リハビリテーション学部紀要 (ISSN:18806856)
巻号頁・発行日
vol.5, pp.43-53, 2009

被験者実演課題(SPTs)による記憶成績向上の機序を明らかにするため、大学生45名を対象に、言語課題(VTs)とSPTsの2条件を設定して行為文の記銘を求めた. その30分後に、行為の写真画像を提示し、記銘した行為文(ターゲット)に相当する写真の提示時にできるだけ早くボタンを押し反応を要請する再認課題を用いて、その再認率と虚再認率、反応時間および事象関連電位(ERP)を測定し、VTs条件とSPTs条件間の比較を行った. その結果、VTs条件よりもSPTs条件において、再認成績が良く、反応時間も有意に短かった. またERPでは、P300、N400,P600成分を認め、P600ではVTs条件よりもSPTs条件で振幅が有意に大きかった. この結果から、SPTs条件においてはVTs条件と比べて、より大きな資源を必要とするイメージの情報処理が、行為画像による再認時に行われていると推察され、言語のみによる提示よりも、行為を実演することによる再認成績向上に関連していると考えられた. SPTsは、我々が日常生活において行為を想起する際の記憶情報処理に関係していると考えられ、今後はERPを含めた脳活動測定法を用いて、SPTs効果のメカニズムを明らかにすることで、日常の物忘れなどの研究に結びつく可能性が考えられた.
著者
松木 明好 平岩 敏志
出版者
四條畷学園大学
雑誌
四條畷学園大学リハビリテーション学部紀要 = Annual reports of Faculty of Rehabilitation, Shijonawate Gakuen University (ISSN:18806856)
巻号頁・発行日
vol.7, pp.47-53, 2011

入院中の脳卒中(テント上脳梗塞・脳出血)患者14例を対象に、移乗動作のみと、移乗動作に思考課題(数字の逆唱課題)を負荷した時との移乗動作を、脳卒中発症後に転倒歴のある7例とない7例で比較した. 移乗動作のperformanceは12項目で評価し、点数化した. 移乗動作のみの時には、転倒歴の有無と移乗動作のperformanceには関係はなかったが、数字逆唱課題負荷時には転倒歴のある群の移乗動作のperformanceは、負荷しない時より有意に不良であり、特にブレーキ・フットレスト管理での評価点数が低かった. この結果は、二重課題下での運動課題のperformanceが低下する脳卒中患者は、低下しない者より転倒リスクが高いことを示唆する. 以上より、移乗動作に思考課題を負荷すると移乗動作自立度判定の精度が向上することが示唆された.Performance of transfer of bed to wheel chair and wheel chair to bed was compared between under single task and dual task which were transfer and repeat the number in reverse sequence in hospitalized 14 stroke patients. The patients were separated to two groups that involved 7 patients had fall history(FALL) and other patients had not it(NON-FALL). The transfer performance was evaluated with 12 items. The performance was not significant difference between FALL and NON-FALL in single-task that was transfer. But the performance of transfer in FALL was significantly lower than that in NON-FALL in dual-task. The point of dual-task was significantly lower than that of single-task in management of brakes and the foot rest. These findings indicate that the performance of transfer is decreased by second cognitive task in stroke patient. The dual-task setting may be effective of assessment of performance of transfer in stroke patients.
著者
長谷川 昌士 河井 秀夫 西脇 健司 向井 公一 北山 淳 三谷 保弘 高見 栄喜 Masashi Hasegawa Hideo Kawai Kenji Nishiwaki Kouiti Mukai Atsushi Kitayama Yasuhiro Mitani Hidenobu Takami
出版者
四條畷学園大学
雑誌
四條畷学園大学リハビリテーション学部紀要 = Annual reports of Faculty of Rehabilitation, Shijonawate Gakuen University (ISSN:18806856)
巻号頁・発行日
vol.6, pp.13-18, 2010

高校吹奏楽部所属の1~3年生160名に、楽器の練習が影響していると考えられる身体症状についてアンケート調査を実施した. 結果は、チューバ奏者の多くが腰痛を訴えていた. サックス奏者やチューバ奏者には顎関節の痛みが発生していた. サックス奏者やチューバ奏者ならびにパーカッション奏者では利き手側の手関節や手指関節に関節痛が集中していた. また、整形外科的症状以外にも、頭痛、めまい、過呼吸、耳なり、倦怠感などの内科的症状が多くの学生に発生していた. これらの症状が改善できないまま学生は練習を継続していることもわかり、予防や対処法を検討していく必要があると考える.I carried out questionary survey about the physical symptom that it was thought that the exercise of the musical instrument influenced 160 1-3 year students of the high school brass band club position. Most of tubists appealed to the result for low back pain. To a saxophone player and a tubist, the pain of the temporomandibular joint occurred. In a saxophone player and a tubist and the percussion players, arthralgia concentrated on a wrist and finger joint of the handedness side. In addition, as well as an orthopedic symptom, medical symptoms such as a headache, dizziness, hyperpnoea, ringing in the ears, the lassitude occurred to many students. The student practices being able to improve these symptoms and thinks that it is necessary to examine the prevention and actions to be taken.
著者
新子 広美
出版者
四條畷学園大学
雑誌
四條畷学園大学リハビリテーション学部紀要 = Annual reports of Faculty of Rehabilitation, Shijonawate Gakuen University (ISSN:18806856)
巻号頁・発行日
vol.7, pp.13-23, 2011

現代社会においてパソコンの普及は目覚ましく、高等教育機関としての大学の情報教育も高度化している. 本学においてもパソコンは学習ツールとして不可欠なものであり、大きく転換しつつあるニーズに対応するため、2011年9月にPC自習室の更改を行った. 本稿は更改前後の利用状況を学生にアンケート調査を実施した結果の報告である. 更改により全体の70%以上が以前よりも快適になったと回答し、利用頻度、利用時間数全てに増加傾向が見られた. また、男子学生に比べ女子学生の方が比較的長時間利用し、上級生になるほど落ち着いた静かな環境を必要とするなど、学年別や性別での特徴がみられた.Today, personal computers(PCs) are remarkably spread and the standard of IT education at universities, as the institute of higher education, has also been advanced. Accordingly, PCs are also important learning tools at our school, and to meet the drastically changing demands, we have renewed the PC labs on September 2011. In this article, we present the results of surveys conducted before and after the renewal of the PC labs. More than 70% of the students reported the labs could be used more comfortably after the renewal, and it is identified that the frequency and the length of the use have been increased. We also have found that differences based on the grade and gender of the students, such as female students use the lab longer than male students, or, senior students prefer more quiet learning environment.
著者
西山 ゆかり 小山 敦代 岡田 朱民 糀谷 康子 新田 利子 岩郷 しのぶ
出版者
四條畷学園大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2014-04-01

2014年の全国調査において、「看護におけるCAM/CAT 」とは、目の前で苦しむ対象者の痛みを緩和し・癒し・心とからだの安らぎを生み出し、その人らしさを維持し、人生を豊かなものにするために、対象者自らが意思決定し、自らの力でよりよく生きることを支えることが看護におけるCAM/CATの機能であることが明らかになった。この全国調査を元に、次の段階である、より具体な実践内容・現象から補完代替医療/療法を概念化するために、質的研究に取り組んでいる。本年度は、インタビューを2名行った。この2名から芋ずる式サンプリング法にて次の研究対象者をリクルートしている。現在7名の方が本研究に賛同し、同意を得て、日程調整中である。これら研究対象者の内訳は、臨床で補完代替医療/療法を実践者している看護職者3名、看護教育の場で、補完代替医療/療法を教育に取り入れている、研究している、大学教員7名である。データの偏りがないように、臨床での看護実践者と教育者が同数になるように現在リクルートしている段階である。その他の研究活動としては、日本看護科学学会学術集会で「自然の回復過程を調える看護の探究ー統合医療における看護の位置づけを求めて」の交流集会において、今まで明らかにしてきた、補完代替医療/療法の認知度や実践状況、補完代替医療/療法についての看護職者の考えを報告し、会場の方と「統合医療(補完代替医療/療法を含む)において看護が果たすべき中心課題である「自然の回復過程」を調える視点から、看護師の身体ツールと全人格的なアプローチの可能性に関して、討論した。
著者
松下 太
出版者
四條畷学園大学
雑誌
四條畷学園大学リハビリテーション学部紀要 (ISSN:18806856)
巻号頁・発行日
vol.3, pp.33-42, 2007

近年,認知症を対象とした非薬物療法が盛んに実施されているが,運動機能が低下し,言語機能が崩壊し,意思疎通が困難となる最重度期の認知症に対しては,各種の非薬物療法の適応は難しくなる.今回,最重度認知症に対しての有効性が示唆される感覚刺激の効果を検討するため,介護老人福祉施設入所中の最重度認知症高齢者10名に複数の感覚刺激を与える介入実験を実施し,認知症用に開発されたQOL尺度を用いて感覚刺激の有効性を検討した.その結果,感覚刺激による有効性は認められなかったが,認知症の重症度とQOLについて有意な相関を認め,認知症の重症度が高いほど,陽性感情の表出あるいは表情の変化がQOLの要素として重要であることが示唆された.また,最重度認知症では,失われていく機能そのものがQOLの要素に反映されることが示され,最重度認知症においては,行動面に変化がなくても,発話や反応,表情の変化を示すことが重要な意味を持つと思われた.
著者
緑川 知子 山下 協子
出版者
四條畷学園大学
雑誌
挑戦的萌芽研究
巻号頁・発行日
2007

肢体障害者に運動機能の補助増進を目的に用いられる補装具の着心地改善を図り、肢体障害者の生活の質向上に貢献することを目的として本研究を企画した。平成19年度に行った身体障害者の補装具着用実態と着用感に関する調査により使用者が最も多かった短下肢プラスチック補装具について足底土踏まず部に孔をあけた着心地改良品を平成20年度に試作した。これを用いて平成21年度には着用実験を行い、装具内温湿度を測定した。平成21年8月に研究室のエアコンを30℃に設定して実験を行った。研究室に到着した被験者は1時間の安静後、半袖Tシャツと短パンの実験着に着替え、センサー添付部位(足底土踏まず部,下腿後面部,胸部)をアルコールで清拭した後、センサーを貼付し、実験中の衣服内温湿度を連続測定した。3種の補装具について装着前椅座安静20分、装着後椅座安静20分、歩行運動20分、回復期椅座安静20分の間、5分間隔で5分間ずつ口腔温(精度0.5℃の婦人体温計)と着心地アンケートを測定記録した。1)プラスチック補装具で被覆されると、足底と下腿の衣服内温度・湿度は上昇した。温冷感・湿潤感は装着後上昇し歩行運動により一過性に下降したあと上昇し、運動終了20分後も高いレベルにあった。2)皮膚に密着するプラスチック面に吸湿素材を貼付すると装具内湿度は改善する傾向が認められた。そこで、次に模擬皮膚を用いて発汗無し,少量発汗,中量発汗について、4条件((1)孔無しプラスチックプレート(2)孔有りフ°ラスチックプレート(3)ライナー+孔無しプラスチックプレート(4)ライナー+孔有りプラスチックプレート)で検証実験を行った。今回用いた吸水性能のライナーでは,発汗が少量時には衣服内湿度の上昇が抑えられるが,中量時にはその効果は認められなかった。プラスチックプレートの孔の有無による衣服内温湿度の違いは認められなかった。