著者
鬼塚 雅子
出版者
埼玉女子短期大学
雑誌
埼玉女子短期大学研究紀要 (ISSN:09157484)
巻号頁・発行日
vol.9, pp.137-170, 1998-03-01

1910年に刊行されたWalter de la Mareの小説The Returnは一般に怪奇小説に分類されることが多い。物語は一人の平凡な男に憑依現象が突然ふりかかる墓場の場面から始まるが、その内容は怪奇現象そのものより、主人公の心理状態-別の意識の侵入によって自分を失うまいと必死にもがき抵抗する精神的苦闘の様子-が中心に、生々しく描かれている。本稿では、この小説を怪奇小説と心理小説の両面から分析し、possession、identity、personalityについて論じる。また、作品を通してde la Mareが表現しようとした生と死及び時間の定義について、さらにはタイトルのreturnのもつ意味についても考察する。
著者
衣川 清子
出版者
埼玉女子短期大学
雑誌
埼玉女子短期大学研究紀要 (ISSN:09157484)
巻号頁・発行日
vol.5, pp.197-203, 1994-03-01

How to interpret the ending of The Adventures of Huckleberry Finn is very important when we evaluate the entire novel. In this essay below, I examine some of the major criticisms on the problematic ending of the novel.
著者
鬼塚 雅子
出版者
埼玉女子短期大学
雑誌
埼玉女子短期大学研究紀要 (ISSN:09157484)
巻号頁・発行日
vol.10, pp.189-217, 1999-03-01

英国の作家Walter de la Mareの3つの短編小説について論じる。3編とも主人公は10歳ぐらいの少年で、孤独な家庭環境の中で育ち、ある日突然、身近な人の死に出会う。少年たちはそれぞれの死-自殺、他殺、事故死-にどう関わっているのか、かれらに罪はあるのかないのか、かれらは死というものをどのようにとらえているのか。こうした疑問点について、少年たちの心理状態を分析しながら考察する。また、なぜde la Mareが幼い子どもを一人で死に直面させたのか、その真意を探る。