著者
鳥塚 通弘
出版者
奈良県立医科大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2011

本研究に対して同意能力がある統合失調症患者11名、および本研究の趣旨に賛同する健常対照者12名から参加の同意を得た。同意を得た全例の上腕内側部から皮膚生検を行い、皮膚線維芽細胞を培養し、保存した。このうち4名の線維芽細胞にエピソーマルプラスミドベクターを用いた方法でiPS細胞を樹立し、保存した。そのうち、患者・健常者各1名のサンプルを用いて解析した。iPS細胞の多能性細胞マーカーの発現や、神経幹細胞への分化誘導性に差は認めなかった。いずれのサンプルから誘導したニューロンも、数カ月の培養の後に電気生理学的解析を行うと、活動電位を連発する成熟したニューロンが得られた。
著者
上村 史朗 斎藤 能彦
出版者
奈良県立医科大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2007

慢性腎臓病(CKD)は心血管病(CVD)の独立した危険因子であるが、CVDの発症に係わる分子機序は明らかではなかった。本研究では動脈硬化進展作用を有する胎盤成長因子(PlGF)およびその内因性阻害因子である可溶性Fms-like tyrosine kinase 1; 可溶性FLT-1)に着目し、CKD患者における可溶性FLT-1関連分子の動態および動脈硬化病変の進展に寄与するメカニズムの解析を行なった。その結果, CKDの進展に伴う腎での可溶性FLT-1産生低下および血中可溶性FLT-1濃度の低下が, CKD患者における冠動脈病変の重症度を規定する重要な因子であることが判明した. さらにCKD合併動脈硬化マウスモデルを用いた実験により, リコンビナント可溶性FLT-1蛋白の持続投与が動脈硬化病変の進展を抑制することを明らかにし, 可溶性FLT-1が新しい創薬標的分子になる可能性を示した.