著者
棚瀬 康仁 吉元 千陽 重富 洋志 小林 浩
出版者
奈良県立医科大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2014-04-01

子宮内膜症性嚢胞と子宮内膜症関連卵巣癌において、CD44v9とDNA損傷マーカーである8-OHdGについて免疫染色を行った。卵巣癌を合併した子宮内膜症においてはCD44v9の発現は低下、8-OHdGは発現が上昇していた。また、8-OHdGとCD44v9の発現には負の相関を認めた。CD44v9と8-OHdGの発現の変化が、子宮内膜症の悪性転化と関連している可能性が示唆された。またCD44v9を発現している卵巣明細胞癌細胞株に、抗癌剤とシスチントランスポーター(xCT)阻害剤の併用実験を行ったところ、細胞増殖能は相対的に低下した。xCT阻害剤の併用は、抗癌剤感受性を高める可能性が示唆された。
著者
藤田 比左子
出版者
奈良県立医科大学
雑誌
奈良県立医科大学医学部看護学科紀要 (ISSN:13493884)
巻号頁・発行日
vol.6, pp.15-24, 2010-03-31

患者の個人情報の安全性に関する認識と電子カルテの活用性に関する認識について明らかにすることを目的とし,全国の医師1,000人を対象として,実態調査を実施した.調査結果より,患者の個人情報の安全性に関する認識においては,臨床経験年数と電子カルテの稼動状況が関連していた.電子カルテの活用性においては,「明確な診療プロセスへの活用」「コミュニケーション・ツールとしての活用」及び「医療の発展への貢献」についての認識が高く,また,3つの全ての要因において,年齢の高い医師の認識が高いことが明らかとなった.一方で,電子カルテが未稼働であるとする医師では,「医療の発展への貢献」に対する認識において,年齢によるばらつきが認められた.以上より,基本的な情報の安全性への基礎的教育及び電子カルテの操作と運用に関する臨床における早期からのトレーニングの重要性,日常の診療活動に活用できる電子カルテの機能の明確化が急務であることが示唆された.
著者
恵川 淳二 井上 聡己 川口 昌彦 瓦口 至孝
出版者
奈良県立医科大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2016-04-01

本研究の目的は、テトラサイクリン系抗生物質であるミノサイクリンの脳への直接投与が頭部外傷モデルのマウスの運動機能、高次脳機能を改善するかについての研究を行なっている。評価の方法としては、行動実験、組織学的評価、生化学的評価を用いて行う計画としている。現在、動物の倫理的扱いに十分留意してし、実験を行なっている。頭部外傷モデルは、安定した作成が可能となった。現在、inverted gird試験を用いた行動実験を行なっている。Invereted grid 試験の評価方法としては、体重×落下までの時間を計算し、頭部外傷前からの変化率で評価を行なっている。個体による差が非常に大きく、サンプル数が不十分なため、統計学的にはミノサイクリン投与群と生理食塩水投与群で有意な差は見られていないが、ややミノサイクリン投与群で良い結果を示している傾向がある。今後、サンプル数を増やして行く必要がある。組織学的評価についても、手技的には大きな問題を生じず行うことができるようになった。頭部外傷48時間後の外傷部のミクログリアやアストロサイトの活性の評価及びHE染色を用いた欠損体積について検討を行なっているところである。欠損部体積については、ミノサイクリン投与群で小さい傾向にあるが、こちらについてもサンプル数を増やして統計学的検討を行って行く必要がある。生化学的評価は、組織学的評価終了後に検討して行く予定にしている。
著者
木内 邦明
出版者
奈良県立医科大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2010

健忘型軽度認知障害(aMCI)はアルツハイマー型認知症(AD)の前駆段階とされている。aMCIでは拡散テンソル画像(DTI)を用いた研究で認知症発症以前からの白質の異常が報告されている。今回の研究ではaMCIのさらに前駆段階と考えられる主観的認知障害(SCI)についてDTIを用いて検討した。今回対象とした各群は年齢、性別や学歴などをマッチさせたSCI群22例、aMCI群28名、早期AD群27名、コントロール(NC)群27名であった。結果はSCI群においてNC群と比較して後部帯状束で有意なFA低下を認めた。認知症につながるかもしれない早期の変化をSCIにおいて認めた可能性がある。
著者
國安 弘基 傳田 阿由美 笹平 智則 大森 斉 藤井 澄 バワール ウジヤール 傳田 阿由美 笹平 智則 大森 斉 藤井 澄 バワール ウジャール
出版者
奈良県立医科大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2008

本課題ではアンギオテンシン系の腫瘍における作用を総合的に検討した。高血糖は大腸癌細胞にレニン発現を誘導し、キマーゼとともにアンギオテンシンを活性化し、肝転移を促進した。アンギオテンシン分解産物のアンギオテンシン1-7受容体であるMAS1の発現は乳癌特にスキルス癌で顕著に低下しstage、リンパ節転移、HER2発現と逆相関した。MAS1は乳癌における新たな癌抑制遺伝子と考えられた。このように、癌におけるアンギオテンシンの役割に応じた標的治療が有効であると考えられる。
著者
羅 〓
出版者
奈良県立医科大学
雑誌
研究活動スタート支援
巻号頁・発行日
2012

膀胱癌に高頻度に生じる遺伝子変化として、第9、17染色体の欠失およびFGFR3遺伝子の点突然変異が挙げられる。本研究では膀胱癌患者尿から上記遺伝子変化の高感度な検出法を確立し、臨床的有用性を検討した。遺伝子変化はパイロシークエンス法を用いて定量した。膀胱癌組織116例を対象とした検討では、上記遺伝子変化は99症例に認めた。同症例尿では87例に遺伝子変化を認めた。一方、20症例の健常者尿にこれらの遺伝子変化を認めなかった。すなわち本定量系を用いることで感度75.0%、特異度100%の精度で尿からの膀胱癌診断が可能であった。尿細胞診では同症例尿での検出感度は44.0%であった。これらの結果より、本定量系は尿から膀胱癌を診断する優れたツールになり得ることが示唆された。
著者
赤羽 学 今村 知明 高野 裕久 上田 佳代 清水 厚
出版者
奈良県立医科大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2011

我々がこれまでに確立したインターネットを介した健康調査システムを用いて、アレルギー症状を日々収集し、黄砂飛来量・花粉飛散量との関係をみた。各症状の有無を従属変数とし、対象者の性別、年齢と各調査日の最高気温、湿度、黄砂量を共変数として一般化推定方程式を用いて分析した。アレルギー症状の有症状率は2月上旬から増加傾向を示し、黄砂の大量飛来日を起点として増加していた。黄砂量と関連が強かった症状は、鼻水、咳、目のかゆみであった。本研究では、黄砂によってアレルギー症状が誘発されている可能性が示唆されただけでなく、花粉症患者においては花粉飛散量と不眠にも関連があることが判明した。
著者
大森 斉 國安 弘基 北台 靖彦 藤井 澄 千原 良友 笹平 智則 佐々木 隆光
出版者
奈良県立医科大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2011

骨髄間葉系幹細胞 (MSC) は、癌組織に動員され癌細胞と相互作用を通じて癌の進展・転移に関与すると考えられ、がん研究の焦点の一つとなっている。報告者らは、MSCが癌細胞が産生分泌するサイトカインHMGB1により腫瘍内に誘導され、腫瘍内では腫瘍が分泌するTGFβを多量に含んだECMであるバイグリカンとHMGB1により幹細胞が維持されることを明らかにした。このような状態は大腸癌では粘液腫状間質として病理組織学的に認識され、糖尿病合併大腸癌肝転移症例に多く認められる。HMGB1の吸着・中和によるMSC動員阻害は腫瘍増大・転移を抑制し、MSC標的化の有効性が示唆された。
著者
大西 武雄
出版者
奈良県立医科大学
雑誌
挑戦的萌芽研究
巻号頁・発行日
2011

p53 の機能を失ったがん細胞は、低線エネルギー付与(LET)放射線(X 線)によって誘発されるアポトーシス出現頻度が低く、放射線抵抗性を示すことを報告してきた。 今回、重粒子(高 LET)放射線は細胞死シグナルが誘導されやすいのは、生のシグナル系に関連する Akt-mTOR Akt、リン酸化 Akt、mTOR、リン酸化 mTOR, rpS6、リン酸化 rpS6、Survivin いずれのタンパク質量およびそれらの活性が効率的に抑制されることによることが明らかとなった。
著者
大西 武雄 小松 賢志 丹羽 太貫 内海 博司 渡邉 正己 法村 俊之
出版者
奈良県立医科大学
雑誌
基盤研究(A)
巻号頁・発行日
2000

(1)センサー・緩照射は、NOを介したバイスタンダー効果により蓄積誘導された正常型p53の衰退を促進し、このp53の衰退促進はHdm2による分解促進であることが示唆された。(福井医大・松本)・低線量放射線照射により誘発されたDNA二重鎖切断の認識は、NBS1がはじめに損傷部位のヒストンを認識してヌクレアーゼを損傷部位にリクルートして、次にヌクレアーゼが損傷DNAに結合する二段階機構が明らかになった。(広大・小松)(2)情報伝達・あらかじめの低線量放射線の線量と、次の致死線量の被曝までのインターバルがマウス個体における適応応答に重要であることを明らかにした。(奈良医大・大西)・極低線量の放射線は細胞核由来の情報伝達経路は活性化せず細胞膜由来のERK1/2を経由する細胞内シグナル伝達系を活性化し、ヒストンH3のリン酸化を起こすことがわかった。(長崎大・渡辺)(3)適応を含む機能発現・放射線高感受性のマウス胸腺リンパ腫由来3SB細胞は、低線量照射後短時間の内にアポトーシスで死滅するが、線量率効果が見られなかった。(広大・鈴木)・低線量率照射での生存率上昇は、KU70欠損では観察されず、RAD54及びATM欠損細胞では観察され、低線量率照射回復は相同組換えではなく非相同組換えが主要な経路であることを明らかにした。(京大・内海)・p53依存性アポトーシスを介した組織修復機構がDNA修復機構と協調して働けば、低線量(率)放射線による少々の遺伝子損傷は効率的に排除され、その蓄積は起こらないことを明らかにした。(産業医大・法村)・低線量放射線により誘発される突然変異の質は、生殖腺細胞では欠失型変異の誘発が少なく、体細胞組織とは異なるDNA修復機構をもっていることが示唆された。(東北大・小野)・低線量放射線照射した精子のDNA損傷は遅延的に体細胞突然変異を誘発した。(京大・丹羽)
著者
岸本 年史
出版者
奈良県立医科大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
1998

精神分裂病患者における水中毒は病的多飲を特徴とし、意識障害、痙攣などの重篤な症状を引き起こす。また、この水中毒は抗精神病薬の長期服用によっても発症することが報告されている。しかし、この水中毒の発症機構については未だ不明な点が多く、一致した見解はない。我々は、慢性の抗精神病薬服用患者における抗利尿ホルモン分泌不適合症候群(SIADH)が水中毒発症に関係していることを指摘している(Kishimoto et al, Jpn. J. Psychiatr. Nerurol. 43,161-169,1989)。今回、この水中毒発症機構の基礎的研究の一環として抗精神病薬長期投与とSIADHとの関係を明らかにする目的で、ラット視索上核(SON)への高張artificial cerebrospinal fluid (aCSF)の注入刺激後のアルギニンバソプレッシン(AVP)遊離と行動変化に及ぼすデカン酸ハロペリドール長期投与(20mg/kg/2weeks,i.m.)の効果について検討した。下記に、デカン酸ハロペリドールを8週間長期投与したラットにおいてえられた結果を示す。1)SONにおける高張性aCSF注入による刺激は、刺激終了後30分間の飲水行動量を増加させた。また、同処置ラットの移所運動量は増加する傾向を示した。2)SONにおけるAVP濃度は、上述の高張刺激後、同様に増加した。3)同処置ラットにおいて、線条体ドパミン濃度は対照群と比較して減少した。デカン酸ハロペリドール長期投与ラットにおいて、SONへの高張性aCSFの刺激は飲水行動量の増加および同部位のAVP遊離を引き起こした。また、デカン酸ハロペリドール長期投与によって線条体ドパミン濃度の減少が認められた。以上の結果から、SONへの高張性aCSF注入刺激によって発現する飲水行動の増加およびAVP遊離は、中枢ドパミン神経系との密接な関係が推測される。
著者
杉浦 勉 山本 一彦 堤 定美 姜 有峯
出版者
奈良県立医科大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2012-04-01

オーバーロード(負担過重)によるインプラント周囲骨の吸収は,インプラント治療の臨床において重要な課題となっている.本研究では,即時荷重および遅延荷重モデルにおいて埋入部位の骨密度がインプラント周囲骨のひずみに及ぼす影響を検討し,オーバーロードのリスクを評価した.皮質骨,海綿骨ともに低骨密度のモデルでは最小主ひずみのピーク値は約-6200μεであったが,それ以外の場合は骨の微小損傷の閾値とされる-4000με以下であった.したがって,埋入部位の骨密度を評価することによって,即時荷重時の周囲骨のオーバーロードのリスクを低減できることが示された
著者
冨岡 公子 名取 雄司 熊谷 信二 車谷 典男
出版者
奈良県立医科大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2008

アスベスト曝露による長期健康影響を検討する目的で、某造船所でアスベスト曝露を伴う作業に従事していた元労働者を対象とした歴史的コホート研究を1996年に実施した(Ind Health 1999,37,9-17)。今回、その後の追跡調査を行なった。その結果、今回の追跡調査でも、先行研究同様に、アスベスト曝露に関連している肺癌および呼吸器系疾患の有意な過剰死亡リスクを再確認した。しかし、中皮腫の新たな発生はなく、喉頭癌については発生がなかった。今後、さらに追跡を続け、本コホートの最終的な死亡リスク評価を試みる予定である。
著者
國安 弘基 大森 斉
出版者
奈良県立医科大学
雑誌
挑戦的萌芽研究
巻号頁・発行日
2011

塩基性アミノ酸のリン酸化は、古くからその存在が知られていたにも関わらずその不安定な性質からほとんど解析が試みられて来なかった。本課題では、遊離リン酸化塩基性アミノ酸が癌幹細胞ポピュレーションの増大とともに増加することを見いだした。特に、リン酸化アルギニンはピルビン酸キナーゼ活性を低下し好気性解糖系を亢進させることにより、癌幹細胞のエネルギー代謝の制御に深く関与することが明らかとなった。この好気性解糖系を抑制し酸化的リン酸化を誘導することにより癌幹細胞のstemnessは抑制された。一方、ヒストン・リジン残基のリン酸化によるエピジェネティックスへの影響は、アセチル化、トリメチル化との関連に何らかの影響を与えるものの、単純な競争阻害にはなっておらず、むしろアセチル化やメチル化の遷移状態に関連する可能性が示唆された
著者
入江 安子 川口 ちづる
出版者
奈良県立医科大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2009

地域の力、コミュニティレジリンスとは人が困難から立ち直るための地域の力を指す。本研究は、 発達障害児と家族を支援するコミュニティレジリエンスを育成し、そのプロセスと促進要因の検討を目的にした。その結果、コミュニティレジリエンスは地域の資源の豊かさだけでなく、発達障害児に直接関わる支援者が多職者と協働しながら形成した支援力を発信し、その新しいネットワークがコミュニティレジリエンスを促進していた。
著者
池辺 寧
出版者
奈良県立医科大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2009

ハイデガーは存在の思索を通じて、人間は他者との共同存在であることを一貫して堅持している。このことを示すために本研究では、ハイデガーが論じている住むことには他者と共に住むことも含まれていること、存在の真理を問うことは倫理学が生まれてくる存在論的根源を問うことでもあることを明らかにした。さらに、人間にとっての痛みの意味についての研究を行い、痛みの完全な根絶は、他者との共同存在である人間の生そのものを否定することにつながることを論じた。
著者
吉岡 章 嶋 緑倫 杉本 充彦 松本 雅則
出版者
奈良県立医科大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2005

心筋梗塞や脳梗塞をはじめとした致死的な病的血栓症は多彩な要因で成立するが、生体防御に本来必須である止血機構が発症トリガーになると考えられている。止血機構は血小板粘着、凝集相と血液凝固相の2つが協調的に機能して成立するが、興味深いことに各々の相で中心的役割をはたすvonWillebrand因子(VWF:血小板粘着、凝集)と第VIII因子(FVIII:血液凝固)の2分子は生体では複合体を形成して存在することが知られている。本研究では古典的な血小板生物学や血液凝固学の枠組みを越えた視点で、第VIII因子/VWF複合体の包括的な血栓促進機能を生理的血流下で解析し、この複合体の適正な制御による新しい抗血栓症戦略の構築を目標とした。(1)第VIII因子の制御:我々は、強力な生理的線溶因子であるプラスミン(Plm)の第VIII因子制御機能の解明をおこない、PlmがFVIII活性を初期段階で約2倍上昇させ、その後速やかに低下させることを明らかにした。これらの知見で、今まで注目されていなかった凝固系と線溶系の密接なリンクが判明した。(2)VWFの制御:VWFの生物学的機能に大きく関与するマルチマーサイズの制御はADAMTS13がつかさどっているが、今回、ADAMTSI3によるVWF切断活性発現メカニズムを生理的な前血流動状況下で解析した。その結果、ADAMTS13は高ずり応力下での血栓形成現場でVWFを切断し、リアルタイムにVWF機能ならびに血栓成長を制御していることが判明した。このADAMTS13のVWF切断メカニズムはずり応力依存性であり、血流に直接暴露される血栓外表面部に優先的であった。今回明らかとなったADAMTS13のVWF切断メカニズムは、血栓性血小板減少性紫斑病(TTP)の病因論を明確に説明するのみならず、止血機転が機能した後に血管閉塞のみを特異的にブロックするユニークなものであり、止血機能と抗血栓機能とが両立する新世代型の抗血栓症戦略の可能性を示唆する。
著者
デイヴィス アンドリュー
出版者
奈良県立医科大学
雑誌
奈良県立医科大学医学部看護学科紀要 (ISSN:13493884)
巻号頁・発行日
vol.5, pp.11-18, 2009-03-15

Wet Bulb Globe Temperature (WBGT) is probably the most widely used of many heat stress indices. An underlying assumption is that differing combinations of temperature and relative humidity which yield the same WBGT will impose the same thermal load. Recent research has cast doubt on this assumption however. The purpose of this study was to investigate the effects of two dissimilar environments with an equivalent WBGT on participants petforming an intermittent box-lifting task. 12 males (mean ± sd), age 25.2 ± 6 yrs, mass 74.9 ± 11.9 kg, stature 1.7 ± 0.1 m were recruited and acclimated over five days (1 hr sessions) in an environmental chamber at 38℃, 70% relative humidity (RH). They completed 6 x 35-min trials on consecutive weekdays in two environments: warm-humid, 30℃, 65% RH (27℃ WBGT); hot-dry, 39℃, 22% RH (27℃ WBGT) and three lift frequencies: 1, 4.3 and 6.7 lifts.min^-1. There were no significant differences in physiological response (heart rate and core temperature), rating of perceived exertion (RPE) and maximum acceptable weight of lift (MAWL) between the two environments. These findings support the underlying assumption of WBGT and contradict recent research. It is possible that differences in response only manifest themselves at higher values of WBGT or during longer bouts of continuous exercise.
著者
平野 牧人
出版者
奈良県立医科大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2007

本研究の目的は種々の神経変性疾患原因蛋白の核内輸送に関して、運動ニューロン病様Triple A症候群(AAAS)の原因である核膜孔蛋白アラジンに依存性であるかを検討し、本疾患で障害を受けやすい古典的な核局在シグナル(NLS)以外の輸送シグナル同定と輸送機序の解明である。本研究により小脳失調原因蛋白アプラタキシンのみAAASの輸送障害を受け、他の原因蛋白は障害を受けないことが判明した。また、核内輸送障害を受けないDNA修復蛋白であるXRCC1において、輸送障害を改善するために重要なのは、古典的NLS(239-266残基)の下流267-276残基であることを同定した。この部位を含む新規NLS(239-276残基)38アミノ酸配列をminimum essential sequence of stretched nuclear localization signal(mstNLS)と名付けた。mstNLSを融合すると、輸送障害を受けていた小脳失調原因蛋白アプラタキシンはAAAS患者細胞の核内に効率よく輸送された。さらに、mstNLSは酸化ストレス下の正常細胞においても、強力な核局在シグナルとなることが証明された。以上から本研究成果は、AAASの病態機序改善のみならず、核内輸送研究に貢献しうると考えられる。