著者
北村(難波) 亜希子 藤田 小矢香
出版者
学校法人山陽学園 山陽学園大学・山陽学園短期大学
雑誌
山陽論叢 (ISSN:13410350)
巻号頁・発行日
vol.27, pp.43-53, 2021 (Released:2021-09-11)

妊孕性知識と性的自己意識に影響要因を明らかにするため、平成29年12月看護系大学と看護専門学校の看護系女子学生の688名に性的自己意識と妊孕性を調査回収した18~24歳の386名(56.1%)を分析し1)交際経験あり321名(83.1%%)は平均交際2.45名、交際1~12名、性交経験196名(50.8%)のうち186名(94.9%)は避妊を実施し、避妊方法はコンドーム184名(98.9%)、低用量ピル(OC)11名(5.91%)、平均初交年齢17.7歳であった。2)性的自己意識は、「初交年齢」β=0.319(P=0.006)、「交際経験」β=0.128(P=0.046)、「不妊症原因の知識」β=0.143(P= 0.048)と正の相関があり、「クラミジア初期症状の知識」β=-0.208(P=0.000)、「HIV検査場所の知識」β=-0.257(P=0.032)と負の相関があった。妊孕性がもたらす影響を広く捉える性教育の充実と拡大が求められる。思春期からの過渡期にあり親密な人間関係の構築や性行動が開始される年齢までには正しい情報を収集し選択できるよう、妊孕性に関する知識や情報の充実とともに性的自己意識を高める必要が示唆された。
著者
藤井 久美子 大野 佳美 笠井 八重子
出版者
学校法人山陽学園 山陽学園大学・山陽学園短期大学
雑誌
山陽論叢 (ISSN:13410350)
巻号頁・発行日
vol.22, pp.111-125, 2016

女子大学生の食生活および野菜摂取の状況について岡山県の大学・短大、兵庫県の大学・短大でアンケート調査を行った。日常の食事作り担当者は母親が最も多かった。食事の重視点では1〜2割の者が野菜摂取を回答し、偏食で食べないものは野菜類、魚介類などであった。朝食における野菜摂取は食べない者が最も多かったが、朝食の米飯摂取が多かった岡山の大学では朝食で毎日野菜摂取する比率が他に比べて高かった。よく食べる野菜の上位はたまねぎ、にんじん、キャベツであり、よく食べる調理法は炒め物、サラダ・生野菜が中心であった。特にサラダ・生野菜で食べる野菜はその他の調理法が乏しい状況であった。よく食べる野菜種類数およびよく食べる野菜の調理法数と、1日の野菜摂取数との間には有意な正の相関があり、また体調有訴数との間には負の相関傾向があった。これらの結果から、健康な食生活実践力育成に向けて、摂取野菜の種類とともに調理法についても多様な知識とスキルを繰り返し習得させていく方策が必要であると考えられた。
著者
隈元 美貴子 柳田 元継
出版者
学校法人山陽学園 山陽学園大学・山陽学園短期大学
雑誌
山陽論叢 (ISSN:13410350)
巻号頁・発行日
vol.22, pp.53-62, 2016-03-18 (Released:2018-11-28)

化粧行動を規定する要因として、ライフスタイルがあるが、このライフスタイルという概念は、その性質上、調査時期による変動的概念であるともいえる。それゆえ、現在の大学生のライフスタイルを明らかにするための十分なアンケートがほとんどない。そこで、本研究では、女子大学生を対象者とし、化粧行動とライフスタイルの関連性を明らかにすることを目的とし、まず、ライフスタイルに関するアンケートを作成し、化粧行動に関するアンケートと併せて質問紙調査を行い、その結果について検討を行った。ライフスタイルを測定する64項目への反応を因子分析(主因子・プロマックス回転)し、スクリープロットを参考に5因子を抽出した。それぞれ、「熱中度」「人間関係」「生活意識」「金か心か」「「ファッション」と命名した。次に、化粧行動を測定する27項目への反応を因子分析(主因子・プロマックス回転)し、スクリープロットを参考に5因子を抽出した。それぞれ、「自己顕示」「規範・機能」「流行性」「楽しみ」「受動性」と命名した。ここで、化粧行動に対する考え方で対象者をグループ化するために因子得点をもとにクラスター文政を行ったところ、「化粧関心型」「化粧中間型」「化粧無関心型」の3つのグループに分類することができた。各グループのライフスタイルを明らかにするために、ライフスタイルの因子特定の平均値を比較したところ、各因子においてグループ間で差異が認められ、化粧行動とライフスタイルの間に関連性があることが示唆された。
著者
建井 順子
出版者
学校法人山陽学園 山陽学園大学・山陽学園短期大学
雑誌
山陽論叢 (ISSN:13410350)
巻号頁・発行日
vol.27, pp.151-163, 2021 (Released:2021-09-11)

新型コロナウイルス感染症が深刻化するにつれ、経済社会の根幹を支える人々を総称する「エッセンシャル・ワーカー」という用語が多用されるようになった。しかし、なぜそうした定義が存在するのか、また、そうした定義に含まれる人々に何が必要とされているのか、という点において、人々の理解は不十分である。本稿では、米国と英国を参考にしつつ、「エッセンシャル・ワーカー」という定義は何を目的として設けられ、具体的にどの産業に属する誰が該当するのか、またそうした労働者の特徴とは何かを検討する。こうした作業を行うことにより、定義の目的を明確化できると考えるからである。さらにこれにより、他のOECD諸国に比べて国家主導の包括的政策が弱く、各自治体、各医療機関の現場の裁量幅が大きい我が国のコロナ対策への示唆を得る。