著者
水川 侑
出版者
専修大学社会科学研究所
雑誌
社会科学年報 (ISSN:03899519)
巻号頁・発行日
vol.49, pp.271-282, 2015-03-10
著者
施 錦芳
出版者
専修大学社会科学研究所
雑誌
専修大学社会科学研究所月報 (ISSN:0286312X)
巻号頁・発行日
no.570, pp.18-30, 2010-12-20

二年前、中国の対アフリカ援助に関する論文をまとめた(専修大学社会科学研究所月報、2008 年10 月号)。その際、2000 年までの中国の対アフリカの援助の実態、政策などを研究し、二つの案件(タンザニア-ザンビア鉄道事業、エチオピア・アジスアベバ環状道路事業とゴテラ立体橋事業)に対する事例研究を行った。21 世紀に入って、特に、2000 年10 月の第一回中国・アフリカ協力フォーラムの開催に連れて、中国は対アフリカ援助をさらに拡大し、国際社会の注目を集めている。本論文は、2000 年以来、中国の対アフリカ援助の特徴、内在する問題点を取り上げて分析する。五つの部分で構成されている。第一は研究の背景、手法および目的について述べる。第二は中国の対アフリカ援助の実態を紹介する。第三は四回にわたる中国・アフリカ協力フォーラムを考察し、中国の対アフリカ諸国援助の政策変遷を探る。第四は、2006 年以降の中国・アフリカ経済社会協力について述べる。第五は中国の対アフリカ援助の特徴を探り、中国の対アフリカ援助に関わる問題点を取り上げて分析する。
著者
広瀬 裕子
出版者
専修大学社会科学研究所
雑誌
社会科学年報 = The Annual bulletin of social science (ISSN:03899519)
巻号頁・発行日
no.48, pp.193-211, 2014

本稿は、2000 年代に日本で繰り広げられた学校の性教育に対する批判キャンペーンに対する政府対応の経緯を考察し、文部科学省の官僚的なルーティーンに徹した対応が、高揚していた性教育批判の言説を限定化する緩衝剤として機能した様子を浮き彫りにする。2002 年の国会審議から始まった学校の性教育に対する組織的な批判は、中央および地方レベルの動きが呼応する大掛かりなものであった。東京都では性教育実践に関わって行われた教員処分が訴訟にまで発展するというケースも発生した。こうした性教育に対する組織的批判は、性教育の授業実践に萎縮ムードを生んだ一方で、学校の性教育に関する初めての全国調査の企画を具体化させ、それまで明らかにされていなかった性教育実践の実態が明らかにされることにもなった。得られたデータが示すのは、学校の性教育に対する批判は必ずしも社会に広い支持を得ていたわけではないということであった。性教育の処遇の再検討を始めた文部科学省は、性教育批判を精力的に進めていた自民党を与党の動きと呼応しながらも、中教審に検討をゆだねるなど通常のルーティンに則った対応に徹し、結果的に批判を沈静化させる緩衝材として機能した。