著者
入江 正和
出版者
日本養豚学会
雑誌
日本養豚学会誌 = The Japanese journal of swine science (ISSN:0913882X)
巻号頁・発行日
vol.39, no.4, pp.221-255, 2002-12-25
被引用文献数
9

近年、国際的に豚の改良の重点は量から質へと移行している。豚における肉質の研究も、低品質豚肉の発生防止を中心としたものから、最近では高品質豚肉生産へと移行あるいは発展しつつある。わが国において豚肉の高品質化は特に重要である。輸入肉が増加し、国産肉はコストだけでは太刀打ちできず、質で勝負しなければならない状況だからである。従来、欧米からの輸入豚肉は冷凍ものであり、加工品に回され、精肉(テーブルミート)中心の国産肉とほとんど競合しなかった。しかし、ここ数年、アメリカなどからの冷蔵(チルド)肉輸入が増加し、精肉へ利用され、国産品と競合するようになってきた。豚肉の高品質化は重要であるという認識は定着しているものの、どのようなものを高品質といい、肉質項目として何を選択し、どのように改良すればよいのかを模索しているのが養豚業界の現状であろう。まず肉質を科学的に捉え、評価することが重要である。
著者
黒田 和孝
出版者
日本養豚学会
雑誌
日本養豚学会誌 (ISSN:0913882X)
巻号頁・発行日
vol.43, no.3, pp.143-167, 2006-09-20 (Released:2007-08-10)
参考文献数
206
被引用文献数
3 3
著者
田山 智規 鈴木 啓一 美川 智 粟田 崇 上西 博英 林 武司 前田 高輝 加地 拓己 上本 吉伸 鹿野 裕志 柴田 知也 児嶋 千尋 西田 朗
出版者
日本養豚学会
雑誌
日本養豚学会誌 (ISSN:0913882X)
巻号頁・発行日
vol.43, no.4, pp.187-194, 2006-12-26 (Released:2007-08-10)
参考文献数
15
被引用文献数
1 1

抗病性に関与する遺伝子を特定するために,ランドレース種について,免疫形質と慢性疾病病変に関する品種内QTL解析を行った。用いた集団は,慢性疾病病変を選抜形質としたランドレース種系統造成の選抜第2世代までの育成豚と調査豚519頭(基礎世代44頭,第一世代205頭,第二世代310頭)である。7週齢時と体重105kg時で採血し,補体別経路活性,貪食能,顆粒球・リンパ球比,総白血球数,羊赤血球に対する抗体産生能などの免疫形質を測定した(抗体産生能は105kg時のみ)。また,各世代の調査豚267頭についてブタ萎縮性鼻炎(AR)と肺の病変を測定し,スコア化した。常染色体18本に合計107個のDNAマイクロサテライトマーカーを配置し,それらの多型判定は,353頭(基礎世代の雌の一部25頭と第1世代204頭,第2世代調査豚124頭)について行った。解析にはIdentical-by-decent(IBD)行列を利用した分散成分分析法を用いた。まず,IBD行列をLOKIプログラムにて推定した。分散成分分析法はSOLARプログラムを用いて行った。解析の結果,総白血球数と貪食能,そして肺の病変に関する有意なQTLが検出された。