著者
高橋 真美
出版者
独立行政法人国立がん研究センター
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2010

ラット及びマウスの大腸化学発がんモデルとハムスター及びマウスの膵臓発がんモデルの腫瘍組織において、OPNaの顕著な発現上昇が認められた。OPN欠損が大腸発がんに及ぼす影響は明らかではなかったが、マウス膵臓発がんモデルにおいてはOPN欠損により発がん率及び発生個数の減少が認められたことから、OPNが一部のがんへの進展、浸潤等に関与しており、発がん抑制のターゲットとなりうることが示唆された。
著者
小川 朝生
出版者
独立行政法人国立がん研究センター
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2010

化学療法の発展に伴い長期的な予後が期待できるようになった一方、化学療法後に慢性的に中枢神経系有害事象(認知機能障害)が生じる可能性が指摘されるようになった。この認知機能障害はchemo-brainと総称される。しかし、認知機能障害と化学療法との関連性、その機序に関する検討は未だ途上である。そこでわれわれは、化学療法前後を通して、脳構造画像の変化を非侵襲的に評価する測定系を構築し、抗腫瘍薬と脳機能との関連性、療養生活の質(QOL)との関連の検討を開始した。症例の集積は予定通り進み、追跡調査が終了次第、解析を行う予定である。
著者
関根 茂樹
出版者
独立行政法人国立がん研究センター
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2011

肝細胞特異的Dicer欠損マウスに発生した肝細胞がんの解析から、これらの腫瘍では、腫瘍により多様ながん関連遺伝子の発現異常が起きており、多数の腫瘍に共通して認められる発現異常や遺伝子変異は同定できなかった。Dicerの欠損に伴う発現機構を、より均質な背景を有する腫瘍を発生するモデルを用いて解析するために、マウス肝細胞に特定のがん遺伝子を導入し、発がんを可能とするモデルを確立した。
著者
白石 成二 森田 克也
出版者
独立行政法人国立がん研究センター
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2011

本研究の目的は、がん患者のオピオイドに対する感受性の低下とmiRNAの変化の関係を明らかにすることである。乳がん骨転移痛モデルラットを作製し、miRNAの変化を解析した。対照と比較して2倍以上増加したmiRNAは56個で、1/2以下に減少したのは9個であった。この異常miRNAのうちlet-7についてμオピオイド受容体をDAMGOで刺激した時の活性と細胞膜での発現に対する影響を検討したが、ばらつきが多く一定の結果に至っていない。他の異常miRNAにはmiR-20a、miR-21、 miR-23b、 miR-133a、 miR-133bなどが含まれていた。
著者
内富 庸介 山田 祐
出版者
独立行政法人国立がん研究センター
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2008

患者の情動表出時の医師の共感行動と皮膚電気抵抗の関連について検討した。対象は国立がんセンター東病院に勤務する20名の医師。模擬患者に対して悪い知らせを伝え、その面接中の医師の皮膚電気抵抗を測定した。また面接場面をビデオで撮影し、医師の行動について第三者が評価した。共感高群、低群の二群に分けて解析したところ、課題に対する皮膚電気抵抗の反応量は両群で差を認めなったが、皮膚電気抵抗水準は共感高群が低群に比べ有意に高かった。