著者
平山 大作
出版者
独立行政法人日本スポーツ振興センター国立スポーツ科学センター
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2009

野球投手の投球数の増加にともなう投球動作の変化について検討を行った.踏込脚接地時において肩関節外転角度が減少した.肩甲帯の挙上角度が減少し,肩甲帯の前後方向の可動域が減少した.踏込脚の股関節伸展の正仕事,負仕事,絶対仕事が減少した.踏込脚の股関節伸展の絶対仕事の減少は,下肢のトレーニングの重要性を示唆するもので,踏込脚接地時での肩関節外転角度の減少は,「肘下がり」を示すものであると考えられる.また,「肘下がり」には,肩甲帯の動きも影響していることが考えられる.
著者
大澤 清 合田 憲人
出版者
独立行政法人日本スポーツ振興センター国立スポーツ科学センター
雑誌
挑戦的萌芽研究
巻号頁・発行日
2012-04-01

本研究ではマルコフ連鎖モデルを野球の試合に適用し,選手ごとにその成績から定義される状態遷移行列を用いて得点の確率分布を求め,その結果から試合に勝つ確率を求めて選手を評価する手法を提案した.従来手法では打撃成績のみを用いて計算を行っていたが,本研究では守備成績の失策数をモデルに組み込み,より実際の野球に即した計算を行った.その結果,失策の多い野手が少ない野手に比べて1シーズンで2勝分程度の損失を守備成績によって与えていることが示された.またモデルに守備成績を加えたことで増加した計算量に対応するため並列計算環境を利用し,約2億1千万の打順から1時間22分程度で最適な打順を選ぶことが可能となった.
著者
太田 憲
出版者
独立行政法人日本スポーツ振興センター国立スポーツ科学センター
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2007

我々が日常行う運動の運動スキルがどのような原理に基づいてプランニングされているのかを,ヒトによる心理物理実験と最適化モデルとの比較によって明らかにした.本研究では特に,どのように体性感覚(皮膚感覚と深部感覚)の情報を利用して適切なプランを立てているのかに注目し,腕の運動の軌道計画が手先や筋の力覚情報に基づいてなされていたことを明らかにした.
著者
森下 義隆
出版者
独立行政法人日本スポーツ振興センター国立スポーツ科学センター
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2017-04-01

本研究は、近年、野球現場において多くの選手が取り組んでいる「増量」に着目し、打者の体重が打撃パフォーマンスに及ぼす影響について検討した。その結果、①即時的な増量は通常の打撃よりも全身の回転運動の勢い(角運動量)を増大できるものの、それをバットに伝達することができず、スイング速度を低下させてしまうことが示唆された。また、②体重そのものではなく除脂肪量(筋量)を増加させることがスイング速度の向上に寄与することが明らかとなった。以上のことから、打者の競技パフォーマンスの向上を目的に増量を行う場合、脂肪量ではなく除脂肪量によって体重が増加するように食事やトレーニングを調整することの重要性が示された。
著者
伊藤 穣
出版者
独立行政法人日本スポーツ振興センター国立スポーツ科学センター
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2005

本研究の目的は,低酸素環境と高酸素環境との組み合わせを用いて,スプリント競技や球技など比較的高強度のスポーツ種目に対して効果的なトレーニング(低酸素、高酸素複合トレーニング)プログラムについて体系的に明らかにすること,およびオリンピック等の国際大会における日本選手のさらなる飛躍に向け,世界に先駆けて実践することである。この目的を達成するため,本研究では,以下の課題を設定している。【研究課題1】低酸素、高酸素複合トレーニングプログラムの開発 課題1-1負荷特性の相違の検討 課題1-2トレーニング効果の検討課題1-3個人差の検討【研究課題2】低酸素、高酸素複合トレーニングプログラムの実践 このうち,平成19年度は,平成17〜18年度の結果を受け,低酸素環境下における高強度運動時の負荷特性ついて再検討した。具体的には,男子大学生8名を対象として,低酸素環境下(標高3000m相当)または常酸素環境下において自転車エルゴメータを用いた30秒間の全力ペダリング運動を実施させ,運動の前後に,筋バイオプシー法による筋サンプルの連続採取を実施することによって筋中エネルギー基質の変化を比較した。ここで,筋サンプル採取のタイミングは,運動前,運動終了直後,30秒後,1分後,2分後および5分後とした。その結果,外界の酸素濃度に差があるにも関わらず,発揮パワーには環境間で差が認められなかったこと,および筋中乳酸濃度が低酸素環境下で高値を示す傾向が認められたことから,低酸素環境下における全力ペダリング時には,筋エネルギー代謝がシフトしている可能性も考えられた。本研究の結果は,低酸素環境を用いたトレーニングによってスプリント能力を向上させることができる可能性を示した点において,高強度な運動形態を有する多くの競技現場に対して有益な示唆を与えるものと考えられる。
著者
荒川 裕志 谷本 道哉 比嘉 一雄
出版者
独立行政法人日本スポーツ振興センター国立スポーツ科学センター
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2011

本研究では徒手抵抗トレーニング(MRT)と一般的高負荷トレーニング(WRT)の動作特性・生理特性の比較を行った。動作特性を比較した結果、MRTではWRTよりも大きな筋活動および筋出力を対象の筋に課すことができ、特に伸張性収縮局面においてMRTとWRTの差が顕著となることが明らかになった。さらに、生理特性については、MRTはWRTよりも筋損傷を誘発し、WRTと同程度の血中乳酸上昇・内分泌応答を引き起こすことが明らかになった。以上から、MRTでは対象の筋に対してWRTと同等以上の力学的・生理学的刺激を与えることができ、得られる効果が従来のトレーニング方法よりも潜在的に大きいことが推察される。
著者
本田 亜紀子
出版者
独立行政法人日本スポーツ振興センター国立スポーツ科学センター
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2009

骨と運動特性(力学的負荷)の関連を検討するため、トップアスリートを対象にMRIを用いた大腿中央部の骨形態および力学的指標の解析と骨代謝マーカーを測定した。力学的負荷の相違から、アスリートを5群に分けた。その結果、男女とも骨に加わる衝撃が高い群ほど低い群と比較して、皮質骨面積や皮質骨外周囲が増加し、力学的指標が大きいことが明らかとなった。一方、骨代謝マーカーには群間の差はほとんどみられなかった。
著者
竹野 欽昭
出版者
独立行政法人日本スポーツ振興センター国立スポーツ科学センター
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2003

本年度は夏季トレーニングの前後に携帯型運動量連続測定装置を用いた運動中の運動量測定を実施し、トレーニング効果が運動量に及ぼす影響を明らかにするとともに、簡易的な運動量評価方法の検討を行った。トレーニング効果が運動中の運動量へ及ぼす影響を調べるため、夏季トレーニングの前後に下記の測定を実施した。1)実験室内での最大酸素摂取量測定および乳酸カーブテストこの測定は夏季トレーニングによるトレーニング効果の評価のため行った。トレッドミル運動による漸増負荷テストを実施し、心拍数、酸素摂取量、血中乳酸値を測定した。2)フィールドでの運動量の測定走運動、スケーティング運動について、野外の平坦な走路を用いて行った。簡易的な運動量評価方法を検討するため、1ステージ1分を目安にした、7〜8ステージの漸増負荷運動を行った。前後、左右、上下の3方向の運動量と総運動量を算出し、トレーニング前後の比較や上記のトレーニング効果評価項目との関連を分析した。その結果、トレーニング後に各負荷の心拍数と乳酸値の低下および最大酸素摂取量の増加が認められた。有酸素性運動能改善とフィールドでの運動量測定データとの関連を分析したところ、有酸素性運動能の改善に伴い、走運動では上下方向の運動量の低下が、スケーティング運動では左右方向の運動量の低下が認められた。このようなことから携帯型運動量連続測定装置を用いた運動中の運動量測定は、フィールドでの簡易的な運動能力評価法として適用可能なことが示された。