著者
長久 勝 政谷 好伸 谷沢 智史 合田 憲人
雑誌
研究報告インターネットと運用技術(IOT) (ISSN:21888787)
巻号頁・発行日
vol.2018-IOT-40, no.8, pp.1-5, 2018-02-26

筆者らは 「Literate Computing for Reproducible Infrastructure (以下,LC4RI) 」 の方法論に基づき,「Jupyter Notebook」 を使った,システムの構築と運用を実践している.実践の中で,システム構築や運用に関わるドキュメントの不備や自動化の弊害など,いくつかの既知の問題に対処できることが分かった.また,実践のために 「Jupyter Notebook」 の機能拡張も行っている.本稿では,LC4RI における構築手順作成の例として WiFi ネットワーク構築の事例を示し,作業者個人のメモや記憶,暗黙知に依存しない,再構築可能な手順作成手法の実践例を示す.
著者
大澤 清 合田 憲人
出版者
独立行政法人日本スポーツ振興センター国立スポーツ科学センター
雑誌
挑戦的萌芽研究
巻号頁・発行日
2012-04-01

本研究ではマルコフ連鎖モデルを野球の試合に適用し,選手ごとにその成績から定義される状態遷移行列を用いて得点の確率分布を求め,その結果から試合に勝つ確率を求めて選手を評価する手法を提案した.従来手法では打撃成績のみを用いて計算を行っていたが,本研究では守備成績の失策数をモデルに組み込み,より実際の野球に即した計算を行った.その結果,失策の多い野手が少ない野手に比べて1シーズンで2勝分程度の損失を守備成績によって与えていることが示された.またモデルに守備成績を加えたことで増加した計算量に対応するため並列計算環境を利用し,約2億1千万の打順から1時間22分程度で最適な打順を選ぶことが可能となった.
著者
藤原 一毅 常川 真央 合田 憲人 山地 一禎
雑誌
研究報告インターネットと運用技術(IOT) (ISSN:21888787)
巻号頁・発行日
vol.2020-IOT-51, no.11, pp.1-8, 2020-08-27

オープンサイエンスの普及にともない,公開された研究成果を第三者が容易に再現・再利用できるシステムが各所で開発されている.一口に「研究成果の再現・再利用」と言っても,対象ユーザー(汎用的なもの/特定の研究分野に特化したもの)や再現すべき事物(データ来歴を保証する/計算精度を保証する/etc)の点で各システムは性格を異にし,それぞれに特化したデータモデルを持っている.国立情報学研究所(NII)では,研究データ管理サービス NII Research Data Cloud(RDC)の一環として,研究成果の再現・再利用をサポートするデータ解析サービスを構想している.本サービスは,研究データ管理計画やデータリポジトリなどの関連システムと統合された一体的なユーザー体験の提供を目指している.その中で,関連システムとの連携にどのようなデータモデルを用いるべきかは,データ解析サービスが何を/誰を対象とするのかとも密接に関わる問題であり,サービスの将来像を踏まえて俯瞰的に検討するべき課題である.本稿では,研究再現性をサポートする既存システムの設計をサーベイするとともに,NII RDC データ解析サービスが持つべきデータモデルに関する検討内容を報告する.
著者
横山 重俊 浜元 信州 長久 勝 藤原 一毅 政谷 好伸 竹房 あつ子 合田 憲人
雑誌
研究報告インターネットと運用技術(IOT) (ISSN:21888787)
巻号頁・発行日
vol.2020-IOT-51, no.8, pp.1-7, 2020-08-27

データ駆動型科学研究分野で研究データの再利用を進めるためには,研究データの公開だけではなく,論文成果につながる実験結果にたどり着くまでの実験プロセス(実験手順や実験環境構築手順)を公開し共有する必要がある.これらが揃うことで,第三者である別の研究者がいつでも研究データを再利用し,研究の再現検証が可能となる.さらに,そのオリジナル研究に加えて自らの研究を派生させることがスムーズにできるようになる.本稿では,その実験プロセスをコミュニティで共有する方式に関する検討内容と今回提案する方式について述べ,その実装例および研究再現例についても報告する.
著者
長久 勝 政谷 好伸 谷沢 智史 中川 晋吾 合田 憲人
雑誌
研究報告インターネットと運用技術(IOT) (ISSN:21888787)
巻号頁・発行日
vol.2019-IOT-44, no.16, pp.1-6, 2019-02-28

筆者らは 「Literate Computing for Reproducible Infrastructure」 の方法論に基づき,「Jupyter Notebook」 を使った,システムの構築と運用を実践している.筆者らの実践の中で Notebook は,日々作成されるもの,使い回されるもの,前提の変遷により使い古されるものが蓄積されていく.これらの Notebook 群において,Notebook 間の再利用や依存といった関係性,Notebook とその操作対象のライフサイクルなどに着目した検索や分析を可能とするワークベンチを試作した.分析基盤を設計するにあたっては,Notebook のメタデータに 「meme」 と称する UUID を埋め込み,再利用関係を系統として把握できることを目指した.本稿では,構築した 「ノートブックライフサイクル分析基盤」 について述べ,分析例を示す.
著者
渡邉英伸 西村浩二 合田憲人 吉田浩
出版者
国立大学法人 情報系センター協議会
雑誌
学術情報処理研究 (ISSN:13432915)
巻号頁・発行日
vol.23, no.1, pp.102-111, 2019-09-17 (Released:2019-09-17)
参考文献数
16

情報システムのクラウド化は学術機関でも求められており,クラウドサービスを導入検討・利活用している学術機関は増えてきている.一方で,情報セキュリティの不安を払拭できずにクラウド化を進めている学術機関も少なくない.本研究では,情報セキュリティガバナンスの現状とクラウドサービスの利用状況を客観的かつ定量的に評価するための評価モデルおよび質問事項を提案し,2016年度から3年間にわたり学術機関における情報セキュリティガバナンスの実態調査を実施してきた.本稿では,実態調査の結果より,学術機関の情報セキュリティガバナンスの現状を定量的に把握することが自組織の情報セキュリティガバナンスの水準の向上・維持に有効であることを示し,情報システムのクラウド化には組織としての情報セキュリティガバナンスの成熟が重要であることを述べる.
著者
大長 勇太 合田 憲人 ABDUL-RAHMAN Omar
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. CPSY, コンピュータシステム (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.114, no.155, pp.19-24, 2014-07-21

アプリケーションの可用性や実行性能向上を目的として,利用者の拠点の計算資源と遠隔のクラウドの計算資源を併用するハイブリッドクラウドが注目されている.ハイブリッドクラウドを効率よく活用するためには,ローカル資源とクラウド資源に対して処理を適切に割り当てることが重要な課題である.本橋では,ハイブリッドクラウド上でのHadoop処理の性能評価結果について報告する.本性能評価では,Amazon EC2の2つのリージョン(ap-northeast-1およびus-east-1)および国立情報学研究所の研究クラウドを用いて,3種類のハイブリッドクラウドを構築し,Hadoopベンチマークプログラムの実行時間を測定した.またハイブリッドクラウド上での実行時間予測モデルを作成し,実測結果との比較を行った.本性能評価の結果,2つのことが明らかになった.1点目は,ローカル資源に加えて遠隔のクラウド資源を利用することにより,アプリケーションプログラムの実行時間削減が期待できる.2点目は,ベンチマークプログラム実行中の通信時間の大きい場合では,実行時間予測結果と実測結果の誤差が大きいことである.後者については,実行時間予測モデルの通信時間の予測に改良の余地があることがわかった.
著者
横山 重俊 浜元 信州 政谷 好伸 合田 憲人
雑誌
研究報告インターネットと運用技術(IOT) (ISSN:21888787)
巻号頁・発行日
vol.2016-IOT-34, no.11, pp.1-6, 2016-06-18

群馬大学では,授業などで利用する Linux サーバ専用に準備して運用している.このサーバに教育用端末 (Thin-Client) や学内から ssh クライアントを用いて利用できるし,教育用端末からはXウィンドウ接続できる環境を持っている.授業の際には一斉にアクセスがあるための用意しているマシンは比較的大規模なものとなっている.しかし授業が無い多くの期間は部分的にしか使われていない状態になっておりリソースの有効活用の観点から課題がある.さらに,この環境をいくつかの講義で共用しているため,それぞれの講義に合わせたカスタマイズに手間がかかり,その管理・運用が難しくなっている.また,学生間でも環境を共有しているために思い切った実験ができないことも解決したい課題である.加えて構築した講義・演習環境を他の教員との間で流通させることも難しく,それぞれが個別に対応しなければならないことも課題である.本研究では,これらの課題を解決するためにクラウド基盤間の可搬性を持つクラウドアーキテクチャー Overlay Cloud を活用し,その仮想クラウド上に Linux 講義・演習環境を構築する手順書を Jupyter notebook で記述するという手法を提案する.くわえて群馬大学での講義に適用して実施している実験についても現状を報告する.
著者
岡本 雅巳 合田 憲人 宮沢 稔 本多 弘樹 笠原 博徳
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会論文誌 (ISSN:18827764)
巻号頁・発行日
vol.35, no.4, pp.513-521, 1994-04-15
被引用文献数
32

本論文ではFortranプログラムにおける、基本ブロック・ループ・サブルーチン間の粗粒度並列性を階層的に利用する階層型マクロデータフロー処理手法について述べる。筆者らは既に粗粒度タスク間の並列性をマクロタスクの最早実行可能条件解析を用いて自動抽出する単階層のマクロデータフロー処理手法を実現している。階層型マクロデータフロー処理は、従来の単階層マクロデータフロー処理では利用していなかったループやサブルーチン等のマクロタスク内部の粗粒度並列性も抽出することを可能にする。特に、本論文では階層型マクロデータフロー処理手法におけるマクロタスクの階層的定義手法、マクロタスク間の階層的並列性抽出手法、および階層的に定義されたマクロタスクの階層的なプロセッサクラスタヘのスケジューリング方式について述べる。また、本手法のOSCAR上での性能評価の結果についても述べる。
著者
合田 憲人 大澤 清 大角 知孝 笠井 武史 小野 功 實本 英之 松岡 聡 斎藤 秀雄 遠藤 敏夫 横山 大作 田浦 健次朗 近山 隆 田中 良夫 下坂 久司 梶原広輝 廣安 知之 藤澤克樹
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会研究報告ハイパフォーマンスコンピューティング(HPC) (ISSN:09196072)
巻号頁・発行日
vol.2006, no.87, pp.49-54, 2006-07-31
被引用文献数
3

本稿では,2005年12月から2006年5月にかけて実施されたGrid Challenge in SACSIS2006において使用されたグリッド実験環境の構築・運用事例を報告する.Grid Challengeは,大学,研究所が提供する複数の計算資源からなるグリッド実験環境上で,参加者がプログラミング技術を競う大会であり,今大会では1200CPU超の計算資源からなるグリッド実験環境が運用された.本稿では,実験環境ハードウェアおよびソフトウェアの仕様を紹介するとともに,ユーザ管理,ジョブ管理,障害対応といった運用事例についても報告する.This paper presents a case study to operate the Grid testbed for the Grid Challenge in SACSIS2006. The Grid Challenge is a programming competition on a Grid testbed, which is organized by multiple computing resources installed in universities and laboratories. In the last competition, the Grid testbed with more than 1200 CPUs was operated. The paper shows hardware/software specifications of the Grid testbed, and reports experience of the operation, which includes accounting, job management, and troubleshooting.