著者
太田 憲 室伏 広治
雑誌
情報処理
巻号頁・発行日
vol.55, no.11, pp.1228-1234, 2014-10-15

スポーツの研究によって運動スキルの理解が進んでも,そのスキルをヒトに伝達・伝承することは必ずしも容易ではない.この問題に対応するため,まず運動スキルを数理的に解明することが重要であるが,スポーツのような運動の場合,そのスキルは身体や用具のダイナミクスに強く拘束されるため,ダイナミクスベースで運動スキルを記述した.そして,この運動スキルの数理的な理解に基づいた運動スキルの可視化やその伝達方法の開発を行っているが,その数理をスキル獲得の支援に結びつけるフレームワークをサイバネティック・トレーニングと呼んでいる.ここではハンマー投競技向けのスキル獲得支援システムについて紹介する.
著者
宮下 浩二 播木 孝 谷 祐輔 太田 憲一郎 小山 太郎
出版者
理学療法科学学会
雑誌
理学療法科学 (ISSN:13411667)
巻号頁・発行日
vol.34, no.5, pp.707-711, 2019 (Released:2019-10-28)
参考文献数
21

〔目的〕投球障害肩の要因となる肩内旋制限(硬さ)と肩後方動揺性(緩さ)は一見相反する現象だが,投手の肩で併存するか明確でない.本研究は両者の関係性を明らかにすることを目的とした.〔対象と方法〕社会人投手47名を対象とした.両側の内旋・外旋可動域と後方動揺性を測定した.左右の肩内旋可動域の差が20°以上をGIRD群(24名),20°未満を健常群(23名)とした.両群間の可動域の差,後方動揺性の陽性割合の差を検定した.〔結果〕内旋可動域はGIRD群26.0 ± 12.6°,健常群50.0 ± 14.3°で有意差があった.後方動揺性は両群間で割合に有意差はなかった.〔結語〕投手の肩は内旋可動域制限がある一方,同時に後方動揺性も併存する場合があることが示された.
著者
宮下 浩二 播木 孝 小山 太郎 太田 憲一郎 谷 祐輔 衛門 良幸
出版者
一般社団法人 日本アスレティックトレーニング学会
雑誌
日本アスレティックトレーニング学会誌 (ISSN:24326623)
巻号頁・発行日
vol.4, no.2, pp.155-161, 2019

<p>後方動揺性がある肩関節の外旋筋群に対するストレッチングにより外旋筋力に与える影響を分析した.対象は大学生20名とし,肩後方動揺性が陰性の安定群(10名)と陽性の動揺群(10名)に分類した.肩外旋筋力測定は,抵抗下外旋運動の前,後およびsleeper stretch後の順に計3回実施した.抵抗下外旋運動前の筋力を100として他の筋力を換算した.安定群は抵抗下外旋運動後93±10,ストレッチング後105±13だった.動揺群は同様に92±10,95±10だった.ストレッチング後に動揺群が安定群より有意に低かった.安定群では抵抗下外旋運動後よりもストレッチング後に有意に増加した.肩後方動揺性を有する場合,外旋筋群のストレッチングの実施により抵抗下外旋運動後に低下した筋力が回復しない可能性があると示唆された.</p>
著者
太田 憲 梅垣 浩二 室伏 広治 羅 志偉
出版者
一般社団法人日本機械学会
雑誌
シンポジウム: スポーツ・アンド・ヒューマン・ダイナミクス講演論文集
巻号頁・発行日
vol.2010, pp.319-324, 2010-11-02

The motions of a hammer are commonly regarded as a circular movement which a hammer undergoes around a turning human body. The distance of a throw depends on the speed of the hammer and the angle of its trajectory at the instant of release. The speed of the hammer increases gradually during preliminary winds and turns. During each turn the hammer rises up toward the high point of the trajectory and passes through the low point. Our interest in this study was to understand the mechanism of acceleration of the hammer in terms of parametrical excitation. The motions of hammer were analyzed to examine our theory using double pendulum model.
著者
太田 憲 梅垣 浩二 室伏 広治 羅 志偉
出版者
一般社団法人日本機械学会
雑誌
ジョイント・シンポジウム講演論文集 : スポーツ工学シンポジウム : シンポジウム:ヒューマン・ダイナミックス : symposium on sports engineering : symposium on human dynamics
巻号頁・発行日
vol.2009, pp.447-452, 2009-12-02
被引用文献数
1

The motions of hammer were analyzed to understand the mechanism of acceleration using variable-length pendulum and hula-hoop model using energy pumping mechanism. The condition that makes the time derivative of the energy positive is derived as energy pumping for hammer. The condition is expressed in terms of tugging force times velocity to pump hammer energy and tangential acceleration on the handle. In this study, motions of hammer were analyzed and numerical experiments were performed to examine the validity of the theory.
著者
宮下 浩二 播木 孝 谷 祐輔 太田 憲一郎 小山 太郎
出版者
理学療法科学学会
雑誌
理学療法科学 (ISSN:13411667)
巻号頁・発行日
vol.34, no.5, pp.707-711, 2019

<p>〔目的〕投球障害肩の要因となる肩内旋制限(硬さ)と肩後方動揺性(緩さ)は一見相反する現象だが,投手の肩で併存するか明確でない.本研究は両者の関係性を明らかにすることを目的とした.〔対象と方法〕社会人投手47名を対象とした.両側の内旋・外旋可動域と後方動揺性を測定した.左右の肩内旋可動域の差が20°以上をGIRD群(24名),20°未満を健常群(23名)とした.両群間の可動域の差,後方動揺性の陽性割合の差を検定した.〔結果〕内旋可動域はGIRD群26.0 ± 12.6°,健常群50.0 ± 14.3°で有意差があった.後方動揺性は両群間で割合に有意差はなかった.〔結語〕投手の肩は内旋可動域制限がある一方,同時に後方動揺性も併存する場合があることが示された.</p>
著者
太田 憲 羅 志偉
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. MBE, MEとバイオサイバネティックス
巻号頁・発行日
vol.98, no.671, pp.17-21, 1999-03-18

生体の運動には自覚的・意識的に行う運動と, 反射的・無意識的な運動とに分類することができる。また, 意識的に行う運動は繰り返し学習するによって次第に精練化され, 無意識的・反射的な運動技能へと変化していく特徴が認められる。この運動の無意識化は脳の上位レベルの負担を軽減するばかりでなく, それによって獲得された技能の蓄積によって巧みな運動を即時に遂行できると考えられる。生理学的な研究によれば, このような運動学習に大脳基底核が大いに関与していることが示唆されている。本研究では, 脳に関する生理学的な知見を参照し, リズム協応運動学習の実験を行い, 学習過程における運動の無意識化について考察する。
著者
太田 憲一郎
出版者
日経BP社
雑誌
日経レストラン (ISSN:09147845)
巻号頁・発行日
no.452, pp.51-54, 2012-04

1976年生まれ。大学卒業後、板前として和食店に勤務。外食コンサルタント会社などを経て、アップ・トレンド・クリエイツを設立。店長教育や販促を得意とする 東京・葛飾区のJR亀有駅前から続く商店街にある「食道場 くじら組」。今年で開店から5周年を迎えるが、経営は厳しい状況にある。
著者
太田 憲 小林 一敏
出版者
公益社団法人 計測自動制御学会
雑誌
計測自動制御学会論文集 (ISSN:04534654)
巻号頁・発行日
vol.31, no.9, pp.1265-1272, 1995-09-30 (Released:2009-03-27)
参考文献数
8
被引用文献数
1

The measurement of angular velocity and angular acceleration in sports biomechanics is usually based on cinematography. But this method dose not have good accuracy. Authors previously developed angular velocity and angular acceleration measurement system, which used 12 accelerometers. But this system is tedious, beacause of mounting the large number of accelerometers.This paper proposes a measurement system using 9 accelerometers in sports, which accurately measures the rotation motion. This measurement system uses the extended Kalman filter. The accuracy of this method was examined by simulation and experiments.
著者
太田 憲
出版者
独立行政法人日本スポーツ振興センター国立スポーツ科学センター
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2007

我々が日常行う運動の運動スキルがどのような原理に基づいてプランニングされているのかを,ヒトによる心理物理実験と最適化モデルとの比較によって明らかにした.本研究では特に,どのように体性感覚(皮膚感覚と深部感覚)の情報を利用して適切なプランを立てているのかに注目し,腕の運動の軌道計画が手先や筋の力覚情報に基づいてなされていたことを明らかにした.
著者
梅垣 浩二 室伏 広治 太田 憲 桜井 伸二
出版者
一般社団法人 日本機械学会
雑誌
シンポジウム: スポーツ・アンド・ヒューマン・ダイナミクス講演論文集
巻号頁・発行日
vol.2012, pp.265-270, 2012

An increase or decrease of the hammer head mechanical energy was caused by an accumulation of the positive or negative handle power which was the product of wire tensile force and handle velocity in the wire length direction. During single support phase a decrease of the wire tensile force was reduced by a fictitious force caused by handle relative pulling acceleration and relative leading velocity to thrower's center of mass (C.M.). Ground reaction force was resulted from maintaining balance with wire tensile force, hammer head centrifugal force, hammer handle coriolis force, and so on under rotational coordinate system. During double support phase handle relative pushing acceleration and relative drawing velocity to thrower's C.M. caused a fictitious force which make balance with the addition of wire tensile force and hammer head rotational force in the wire length direction and with hammer head rotational force in the horizontal direction perpendicular to wire, so that thrower pushed the ground on his/her feet.
著者
太田 憲 梅垣 浩二 室伏 広治 小宮根 文子 桜井 伸二
出版者
一般社団法人 日本機械学会
雑誌
ジョイント・シンポジウム講演論文集:スポーツ工学シンポジウム:シンポジウム:ヒューマン・ダイナミックス
巻号頁・発行日
vol.2008, pp.270-274, 2008

Dynamics-based force sensor using accelerometers which measures forces and joint torques has been developed. In this study we have applied this method to hammer throw training aid integrating small sensors, signal processing, short-range wireless transmission, data-logger and biofeedback training system. The purpose of this study was to establish methods for the measuring of rotational movement and the biofeedback training system for hammer throwers. Microelectromechanical systems accelerometers were chosen as the sensor platform capable of because they are noninvasive miniaturized devices and have wide bandwidth. In this system, a wireless data-logger was developed as a wearable device to replace cables and reduce constraint caused by wearing cables. The transmitted data were given as biofeedback information over a speaker through signal processing and voltage to frequency conversion.
著者
太田 憲 梅垣 浩二 室伏 広治 仰木 裕嗣
出版者
一般社団法人 日本機械学会
雑誌
年次大会
巻号頁・発行日
vol.2014, pp._J2310102--_J2310102-, 2014

The motions of a hammer are commonly regarded as a circular movement which a hammer undergoes around a turning human body. During each turn the hammer rises up toward the high point of the trajectory and passes through the low point. Our interest in this study was to understand the energy transfer mechanism through whole body into the hammer. To elucidate the mechanism novel dynamic equations was derived.
著者
太田 憲 室伏 広治
出版者
情報処理学会 ; 1960-
雑誌
情報処理 (ISSN:04478053)
巻号頁・発行日
vol.55, no.11, pp.1228-1234, 2014-10-15

スポーツの研究によって運動スキルの理解が進んでも,そのスキルをヒトに伝達・伝承することは必ずしも容易ではない.この問題に対応するため,まず運動スキルを数理的に解明することが重要であるが,スポーツのような運動の場合,そのスキルは身体や用具のダイナミクスに強く拘束されるため,ダイナミクスベースで運動スキルを記述した.そして,この運動スキルの数理的な理解に基づいた運動スキルの可視化やその伝達方法の開発を行っているが,その数理をスキル獲得の支援に結びつけるフレームワークをサイバネティック・トレーニングと呼んでいる.ここではハンマー投競技向けのスキル獲得支援システムについて紹介する.
著者
岡棟 亮二 宮下 浩二 谷 祐輔 太田 憲一郎 小山 太郎 松下 廉
出版者
公益社団法人 日本理学療法士協会
雑誌
理学療法学Supplement
巻号頁・発行日
vol.2016, 2017

<p>【はじめに,目的】</p><p></p><p>臨床において胸郭へのアプローチが肩関節機能の改善に奏功することは多い。実際,胸郭は肩複合体の構成要素であり,肩挙上に伴い胸郭の前後径,横径拡大が生じることが報告されている(花村ら1977)。しかし,その胸郭拡大が制限された際の肩関節運動の分析は十分になされていない。本研究の目的は,胸郭拡大制限が肩前方挙上運動に与える影響を三次元動作分析で明らかにすることである。</p><p></p><p>【方法】</p><p></p><p>対象は肩関節に疼痛のない男子大学生19名(20.0±1.3歳)とした。体表のランドマーク上に反射マーカを貼付した。その後,胸郭拡大制限の有無の2条件で立位両肩前方挙上運動を動画撮影した。胸郭拡大制限は,最大呼気状態の胸郭の肩甲骨下角直下と第12胸椎レベルに非伸縮性コットンテープを全周性に貼付するという方法で行った。撮影動画から動画解析ソフトにより各反射マーカの三次元座標値を得た後,宮下らの方法(2004)に準じて角度算出を行った。算出角度は肩屈曲角度(肩最大前方挙上時の体幹に対する上腕のなす角度),肩甲骨後傾角度,肩甲上腕関節(GH)屈曲角度とした。胸郭拡大制限の有無の2条件における各角度を,対応のあるt検定を用いて比較した。また,対象ごとに胸郭拡大制限の有無による肩甲骨後傾角度およびGH屈曲角度の増減を検討した。</p><p></p><p>【結果】</p><p></p><p>肩屈曲角度は制限なし148.9±16.3°,制限あり141.0±15.5°で有意差を認めた(p<0.01)。肩甲骨後傾角度は制限なし56.1±11.4°,制限あり53.3±11.6°で有意差を認めた(p<0.01)。GH屈曲角度は制限なし91.2±15.1°,制限あり89.7±14.5°で有意差はなかった(p=0.44)。対象ごとに胸郭拡大制限の有無による肩甲骨後傾角度およびGH屈曲角度の増減を検討すると,制限なしに比べ制限ありで(a)肩甲骨後傾角度が減少し,GH屈曲角度が増加(7例),(b)肩甲骨後傾角度が増加し,GH屈曲角度が減少(4例),(c)肩甲骨後傾角度,GH屈曲角度ともに減少(8例)の3パターンに分類された。</p><p></p><p>【結論】</p><p></p><p>肩甲骨の運動は胸郭の形状に影響を受けるといわれる。肩挙上時,胸郭には拡大運動が生じるため,胸郭の形状も変化すると考えられる。本研究においては,胸郭拡大制限により肩前方挙上に伴う胸郭の形状変化が妨げられたと推察される。その結果,肩甲骨運動が制限され,肩屈曲角度の減少につながったと考えた。しかし,肩甲骨,GHの動態を対象ごとに分析すると,胸郭拡大制限によりいずれかの動きを増加させ代償を行うパターン(a,b)と,いずれの動きも制限されるパターン(c)が存在し,その動態は対象により様々であった。肩関節障害発生の面から考えると,パターンaのような代償方法はGHへの負担を増加させるためリスクが高いことが推察される。不良姿勢,胸郭周囲筋群の作用,加齢による肋軟骨の骨化などにより胸郭拡大は制限されるが,その際の対象ごとの肩甲骨,GHの動態の違いが肩関節障害の発生リスクと関連する可能性がある。</p>