著者
今井 宏平 岡野 英之 廣瀬 陽子 青山 弘之
出版者
独立行政法人日本貿易振興機構アジア経済研究所
雑誌
挑戦的研究(萌芽)
巻号頁・発行日
2018-06-29

本研究では、国家をもたない世界最大の民族と言われ、イラク、イラン、シリア、トルコに跨って居住しているクルド人に注目し、クルド人の非政府主体が現在の国際秩序に与えるインパクトを検討した。本研究は研究目的達成のために実証分析と理論分析の2段階で検証を行った。実証分析に関しては、クルド人の活動に関する詳細な分析、そして武装組織の実態、紛争解決に向けた手段、そして紛争後の和解に至るプロセスに関する分析を行なってきた。また、国際関係論、政治学、社会学の理論もしくは概念を実証研究のために掘り下げた。本研究の最終的な成果が『クルド問題:非国家主体の可能性と限界』(岩波書店、2022年2月)である。
著者
石黒 大岳
出版者
独立行政法人日本貿易振興機構アジア経済研究所
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2012-04-01

クウェートとバーレーンを対象に、議会における野党勢力の政府に対する説明責任要求と、それに対する政府の対応を中心に、議事録や各種報告書、報道等のテキスト分析と関係者への聞き取り調査を行い、成果として、権威主義体制下であっても、議会での野党勢力の要求を通じて、汚職対策政策を中心に、政府の対応としてガバナンス向上への取り組みを引き出しうることが確認された。しかしながら、政府の対応の程度については、議会の権限、政府の政策にどの程度拒否権を行使しうるか、制度的な制約に加え、政治の司法化によって、司法の独立性にも左右さつつある点について留意する必要があり、引き続き、今後の課題としたい。
著者
Keola Souknilanh
出版者
独立行政法人日本貿易振興機構アジア経済研究所
雑誌
新学術領域研究(研究領域提案型)
巻号頁・発行日
2014-04-01

本研究の目的は二つである。一つは、国家に関するマイクロジオデータを用いて、国家の立地を視覚化する。具体的には、国家が統治および公共財を提供するために建設した庁舎、病院、学校、道路など広義の公共施設の内、もっとも重要かつ基本的な道路の整備状況を図式化することにより、国家の立地を視覚化する。二つ目は、世界規模でFAOがGAUL定めたADM2レベルの行政区別に道路の整備状況を表す集積・空間自己相関指数および部門別のGRP(Gross Regional Products)を計算し、そして、これらの指数と経済活動の水準の関係を推計する。2015年度では関連研究として「Shedding Light on the Shadow Economy: A Nighttime Light Approach」というタイトルの論文がJournal of Development Studiesに掲載することが決まった。引き続き数本の論文が投稿中に加え、国家の立地と経済発展に関する本を執筆している。