著者
宮崎 芳三
出版者
神戸松蔭女子学院大学学術研究会
雑誌
Shoin literary review (ISSN:02886154)
巻号頁・発行日
vol.31, pp.79-93, 1998-03-20 (Released:2013-11-14)
著者
古川 典代
出版者
神戸松蔭女子学院大学学術研究会
雑誌
神戸松蔭女子学院大学研究紀要. 文学部篇 = Journal of the Faculty of Letters, Kobe Shoin Women's University : JOL (ISSN:21863830)
巻号頁・発行日
vol.3, pp.1-16, 2014-03-05

「文化は経済力の強いほうから弱いほうへと流れていく」という。日中間の音楽のカバー情況からしても、過去には日本の流行曲が数年後に中国語(北京語、広東語、台湾語)にカバーされることが多かった。ところが昨今は、カバーソングに時差が無くなった。日本で流行っている曲がネットの活用により同時期に中華圏でも中国語で流れるようになった。さらに近年では、中国語曲の日本語カバーも散見されるようになり、一方通行だった文化の流動が、時差なく双方向となった。これは両国にとってより豊かな音楽シーンを味わえるという意味で福音である。2007 年から始まった「全日本青少年中国語カラオケ大会」および、2010 年から始まった「西日本地区中国語歌唱コンクール」においては、出場者の選曲がこれまでに多かったカバーソングから、現地の若者に人気の楽曲へと変遷し、同時代同時並行で日本人の若者にも歌われるようになった。かくも情報がワールドワイドに流れ、中国語の歌が溢れるようになった現況においては「中国語で一曲!」はもはや日常のワンシーンと言える。本稿では日中カバーソングの歴史と変遷、歌による語学教育の効用および歌をテーマとした語学学習テキストの日中比較を論じる。
著者
郡司 隆男
出版者
神戸松蔭女子学院大学学術研究会
雑誌
Theoretical and applied linguistics at Kobe Shoin : トークス (ISSN:13434535)
巻号頁・発行日
vol.5, pp.23-42, 2002-03-21

本稿は2001年11月11日に開かれた日本英語学会第19回大会シンポジウム (東京大学駒場キャンパス)「Constraint-Based Lexicalism」における発 表の概要である。制約に基づく語彙主義 (constraint-based lexicalism)の立場に立つ言語理論 にはいくつかの枠組があるが、本発表では主辞駆動句構造文法 (Head-Driven Phrase Structure Grammar---HPSG)をとりあげ、その特徴を概観した。特 に、最近の発展においては、相対的に平坦な音韻構造と階層的な統語意味構造と の関係を動的にとらえており、言語形式 (language form)と言語機能 (language function)の関係に新しい視点を導入していることを指摘した。
著者
木村 勲
出版者
神戸松蔭女子学院大学学術研究会
雑誌
神戸松蔭女子学院大学研究紀要. 文学部篇 = Journal of the Faculty of Letters, Kobe Shoin Women's University : JOL (ISSN:21863830)
巻号頁・発行日
vol.3, pp.1-20, 2014-03-05

樋口一葉は近代日本における最初の職業的女性作家である。しかし、小説としては源氏物語や西鶴など伝統文芸の系譜のなかにあり、もっぱら古文で書いたということもあって旧派とみなされてきた。実際、代表作の『たけくらべ』(一八九五年)や『にごりえ』(同)は、遊郭や銘酒屋街という前近代的な場所における人間模様を扱ったもので、一見モダンを感じさせるものではない。とりわけ男女の凄惨な死で唐突に終わる『にごりえ』の評価は、代表作とされながら分かれるところもあった。ストーリー的に無理があるのだが、作品の魅力は疑いなく、すでに古典の地位を得ている。本稿は『にごりえ』の三年前に内田魯庵により邦訳された『罪と罰』が一葉に与えたインパクトを明らかにする。孤独地獄のラスコーリニコフに重なる虚無的なヒロインお力の検証を通じ、古い言語表現のなかに息づく一葉の先導的なモダニズムを検証する。