著者
郡司 隆男
出版者
神戸松蔭女子学院大学
雑誌
Theoretical and applied linguistics at Kobe Shoin : トークス (ISSN:13434535)
巻号頁・発行日
vol.12, pp.1-12, 2009-03-21

必ずしも言語に関係する分野を専門に勉強するわけではない大学の1、2 年生に生成文法を教える場合に気をつけることをまとめた。科学が共通にもつ特質である、論理的な物の考え方、経験的根拠に基づいた論証の重要性を具体的に解説する必要がある。また、言語は、規則性、再現性、普遍性などの自然界に共通に見られる性質をもつことを強調し、人間の言語としての共通性を認識してもらうようにする。最後に、「生成文法」という考え方が、言語のもつこれらの性質の研究法の一つとして、今のところ成功をおさめていることを示す必要がある。
著者
三吉 秀夫 郡司 隆男 白井 英俊 橋田 浩一 原田 康也 Hideo Miyoshi Takao Gunji Hidetosi Sirai Koiti Hasida Yasunari Harada (財)新世代コンピュータ技術開発機構 大阪大学言語文化部 玉川大学工学部情報通信工学科 電子技術総合研究所 早稲田大学法学部
雑誌
コンピュータソフトウェア = Computer software (ISSN:02896540)
巻号頁・発行日
vol.3, no.4, pp.343-349, 1986-10-15
被引用文献数
2

本論文では日本語の句構造文法JPSGとそのパーサについて述べる.JPSGは最新の句構造文法理論であるGPSGやHPSGの基本的な考え方を用い,更に日本語特有の言語現象を扱うために独自の原則を導入した日本語の文法記述体系である.特に統語範疇の集合を値とする下位範疇化素性(SUBCAT)により語順の任意性やコントロール現象が扱い易くなり,句構造規則の一般化が可能である.またJPSGはユニフィケーションを基本操作とする句構造文法であるため,計算効率の面からも有用な文法体系であり,その特徴を自然な形で記述できる論理型言語でパーサを開発中である.
著者
郡司 隆男
出版者
神戸松蔭女子学院大学
雑誌
Theoretical and applied linguistics at Kobe Shoin : トークス (ISSN:13434535)
巻号頁・発行日
vol.15, pp.1-10, 2012-03-21

本稿では、日本語の「が」と「は」の用法を論じる。従来、これらの接辞が複数の意味用法をもつことが指摘され、それらに対して直感的な特徴付けがなされてきたが、本稿では、形式意味論による記述を提示することを試み、真理条件と前提との区別に基づいて、それぞれの用法の違いを明らかにする。
著者
郡司 隆男 橋田 浩一 徳永 健伸 丸山 宏 長尾 眞
出版者
一般社団法人 人工知能学会
雑誌
人工知能 (ISSN:21882266)
巻号頁・発行日
vol.9, no.5, pp.673-683, 1994-09-01 (Released:2020-09-29)

前号 (Vol.9, No.4, pp.530-536) のAIマップは,我が国の自然言語処理分野のリーダシップを長年取ってこられた長尾 眞氏によるものでした.広い視野から現在の自然言語処理技術における問題点を論じる一方,これまでのアプローチに対しても厳しい批判を投じた provocative なものでした.ここではさまざまな観点から議論を沸騰させるために,自然言語研究においてそれぞれの立場の異なる4氏(大阪大学 郡司 隆男氏,電子技術総合研究所 橋田 浩一氏,東京工業大学 徳永 健伸氏,日本アイ・ビー・エム(株) 丸山 宏氏)にコメントをいただきました.また,コメントに対する長尾 眞氏の返答も同時に掲載することにいたしました. (編集委員会AIマップワーキンググループ)

1 0 0 0 OA 隠された疑問

著者
郡司 隆男
出版者
神戸松蔭女子学院大学学術研究委員会
雑誌
トークス = Theoretical and applied linguistics at Kobe Shoin : 神戸松蔭女子学院大学研究紀要言語科学研究所篇 (ISSN:24352918)
巻号頁・発行日
vol.23, pp.11-27, 2020-03-05

いわゆる「潜伏疑問」(concealed question) と称される表現は、名詞句でありながら、その意味が埋め込み疑問文に相当するものである。これは、特定の動詞、例えば「知っている」のような語と共起したときに、疑問文補文と同様の解釈を得る。本稿の目的は、このような表現について、基本的に存在量化子を含む意味論を仮定すれば、疑問文の解釈が得られることを示し、同時に、量化詞としての性質を示すことである。郡司(2017) で論じた、疑問文埋め込み文をとる「知っている」のような動詞の意味論と埋め込み疑問文の意味論を拡張し、それと存在量化の名詞句の意味論との相互作用で、「潜伏疑問」の解釈が導かれることを明らかにする。
著者
窪薗 晴夫 田窪 行則 郡司 隆男 坂本 勉 久保 智之 馬塚 れい子 広瀬 友紀
出版者
神戸大学
雑誌
基盤研究(A)
巻号頁・発行日
2007

主に日本語のプロソディー構造を特に統語構造・意味構造・情報構造とのインターフェースという観点から分析し、日本語諸方言におけるアクセントとイントネーションの構造、それらのプロソディー構造と統語構造、意味構造との関係を明らかにした。これらの成果は諸学会、研究会および年度末の公開ワークショップにて発表し、また研究成果報告書(冊子体およびPDF)に報告した。
著者
郡司 隆男
出版者
神戸松蔭女子学院大学学術研究会
雑誌
Theoretical and applied linguistics at Kobe Shoin : トークス (ISSN:13434535)
巻号頁・発行日
vol.5, pp.23-42, 2002-03-21

本稿は2001年11月11日に開かれた日本英語学会第19回大会シンポジウム (東京大学駒場キャンパス)「Constraint-Based Lexicalism」における発 表の概要である。制約に基づく語彙主義 (constraint-based lexicalism)の立場に立つ言語理論 にはいくつかの枠組があるが、本発表では主辞駆動句構造文法 (Head-Driven Phrase Structure Grammar---HPSG)をとりあげ、その特徴を概観した。特 に、最近の発展においては、相対的に平坦な音韻構造と階層的な統語意味構造と の関係を動的にとらえており、言語形式 (language form)と言語機能 (language function)の関係に新しい視点を導入していることを指摘した。
著者
田窪 行則 有田 節子 今仁 生美 郡司 隆男 松井 理直 坂原 茂 三藤 博 山 祐嗣 金水 敏 宝島 格
出版者
京都大学
雑誌
基盤研究(A)
巻号頁・発行日
2007

日本語共通語、韓国語、英語、琉球語宮古方言のデータにもとづいて、日常言語の推論にかかわるモデルを構築し、証拠推論の性質、アブダクションによる推論と証拠推論との関係を明らかにした。時制、空間表現、擬似用法と推論の関係を明らかにした。関連性理論を用いた推論モデルの構築に関して推論の確率的な性質について研究を行い、一般的な条件文と反事実条件文の信念強度を共通の計算によって扱える計算装置を提案した。
著者
西垣内 泰介 郡司 隆男 松井 理直 松田 謙次郎
出版者
神戸松蔭女子学院大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2009

本研究は、「焦点」とスコープに関わる言語現象を取り上げ,形式化の整った統語論・意味論・音韻論の方法で理論的に分析するとともに,音声実験や言語コーパス調査などによって理論的考察を実証することを目的とする。具体的には,主題文,(指定的)分裂文など,様々な構文にあらわれる,いわゆるWH(疑問)要素,量化表現,否定対極表現などスコープに関連する統語・意味的要素と,イントネーションなど「焦点」に関する多様な音韻的要因の間の相互関係を分析し,統語論・意味論と音韻論との密接な関係を明らかにする。また,理論的背景の下にデザインされた音声実験を用いて,その結果を文法的分析の中に組み込んでいく。関連する言語事象の方言などによる言語変異について考察する。
著者
西垣内 泰介 郡司 隆男 松井 理直 シュペルティ フィリップ 松田 謙次郎 EMONDS Joseph
出版者
神戸松蔭女子学院大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2005

レキシコンと文法の制約について、文法論、形態論、意味論、音声音韻の各分野で理論的研究を行い、国会議事録などの発話コーパスを用いて実証的な研究を行った。具合的には述語の語彙的特性と再帰表現の単文内での束縛関係といわゆる長距離束縛の関わり、…を示した。平成20 年度の最後にあたってレキシコン、文法の制約が同一指示の現象に関与する諸相についての国際ワークショップを行った。