著者
栗原 詣一
出版者
財団法人 日本消化器病学会
雑誌
實驗消化器病學
巻号頁・発行日
vol.7, no.6, pp.835-854, 1932

パウロフ小胃犬ニ就キテ、「ピロカルピン」ノ一定量(五・○-〇・○瓱)ヲ試食ト同時、或ハ其前後各一時間ニ於テ皮下注射シ、其小胃ヨリノ分泌量、分泌持續時間、遊離塩酸、總酸度並ニ總「クロール」量ヲ分泌全經過ニ亘リテ詳細ニ觀察セシニ、分泌量ハ「ピロカルピン」注射ニヨリテ著明ニ増加シ、酸度モ亦上昇スルヲ認メタリ、然レドモ總「クロール」量ニアリテハ殆ンド其影響ヲ〓ルコトナク、恒數ヲ保持スルモノナルヲ確認セリ。<br>然リ而シテ「ピロカルピン」ノ斯ノ如キ胃液分泌催進作用ニ及ボス二、三植物性神經毒則チ「アドレナリン」、「アトロピン」及ビ「エルゴタミン」ノ拮抗乃至共同作用ヲ檢索セシニ、何レモ「ピロカルピン」胃液分泌ヲ抑制スルモノナルヲ知レリ。但シ此ノ場合ニ於テモ亦、總「クロール」量ハ分泌經過中略々同高ヲ示セリ。
著者
兒玉 文雄
出版者
財団法人 日本消化器病学会
雑誌
實驗消化器病學
巻号頁・発行日
vol.12, no.11, pp.1850-1856, 1937

家兎ニ於テ植物神經毒或ハ「ゼクレチン」注射ニヨリ膵臟ノ外分泌機能状態ヲ變化セシメ、次イデ膵管内ニ「オレフ」油ヲ注入シテ急性膵臟壊死ヲ惹起セシメタル後、一日ヲ經テ其ノ肝臟ノ剔出灌流ヲナシ、「サントニン」處理機能ヲ指標トシテ肝臟ノ解毒作用ヲ檢スルニ、豫メ「ゼクレチン」「ヒヨリン」或ハ「ピロカルピン」ヲ注射シテ膵液分泌ヲ亢進セシメ置キタル場合ハ、之等藥物ヲ注射セズシテ單ニ急性膵臟壞死ヲ惹起セシメタル對照ニ比シ、肝臟解毒機能ノ蒙ル障碍度ハ明ニ大ナリ。而シテ「アトロピン」或ハ「アドレナリン」ニテハ殆ド斯ル影響ヲ示サズ。
著者
山本 治
出版者
財団法人 日本消化器病学会
雑誌
日本消化器病学会雑誌
巻号頁・発行日
vol.5, no.9, pp.1448-1460, 1930

冷血動物タル蟇及ビ龜ニ就キテ種々ナル植物性神經毒ヲ投與シコレガ胃分泌機能並ニ色素ノ胃内移行状況ニ及ボス影響ヲ觀察シ凡ソ次ノ如キ成績ヲ得タリ。即チ「ビロカルピン」ハ蟇ニ於テハ僅ニ酵素分泌ノ増進ヲ來シ胃酸ニ對シテハ認ムベキ影響ヲ及ボサズ、龜ニ於テハ胃酸及ビ酵素分泌ヲ亢進シ、「アトロピン」ハ蟇ニ於テハ殆ド影響ヲ認メザルモ龜ニ於テハ胃酸分泌ヲ亢進セシメ、「アドレナリン」ハ蟇、龜共ニ胃酸分泌抑壓ノ傾向ヲ示シ酵素分泌ニ對シテハ認ムベキ影響ヲ證明セズ。「ヒヨリン」及ビ「ヱゼリン」ハ蟇及ビ龜ノ胃酸分泌ヲ促進セシムル傾向ヲ有シ酵素分泌ニ對シテハ「ヒヨリン」ハ亢進作用ヲ呈セドモ「エゼリン」ハ認ムベキ影響ヲ及ボサズ。即チコレ等藥物ノ胃分泌機能ニ及ボス影響ハ蟇ト龜トニ於テ相同ジカラズ。然レドモ色素ノ胃内移行ニ及ボス影響ハ夫レガ胃酸分泌ニ及ボス影響ト略一致セリ。(自抄)
著者
中村 小市
出版者
財団法人 日本消化器病学会
雑誌
日本消化器病学会雑誌
巻号頁・発行日
vol.12, no.11, pp.1911-1921, 1937

家兎ニ植物性神經毒、「ゼクレチン」或ハ食餌投與ニヨリテ其膵臟外分泌機能ヲ變化セシメ、次イデ輸膵管内「オレフ」油注入ニヨル急性膵臟壊死ヲ惹起セシメタルモノニ就テ、肝臟ノ「ガラクトーゼ」處理機能ヲ檢索セシニ、「ピロカルピン」、「ゼクレチン」ヲ注射シタルモノニアリテハ肝臟ノ該機能ハ高度ノ障碍ヲ蒙リ、「アトロピン」使用時ハ之ニ次グ。而シテ豫メ「アドレナリン」及ビ食餌投與後ノモノニ於テハ、急性膵臟壊死ニヨル肝臟ノ該機能障碍ハ寧ロ輕減セラルヽヲ見タリ。
著者
宅間 清
出版者
財団法人 日本消化器病学会
雑誌
消化器病学 (ISSN:21851158)
巻号頁・発行日
vol.1, no.4, pp.703-706, 1936-07-10 (Released:2011-06-17)

一般に自殺の目的を以て内服さるゝ劇毒藥は多種多様であつて, 之等の報告例も枚擧に遑がない.就中生體に對し黄燐は催眠剤等に比し猛毒で.最近吾ガ教室齋藤博士の報告に依ると, 其の死亡率は種々なる條件で差異はあるが53.5%である. 余は最近自殺の目的で「猫イラズ」約6gを服用し, 服用後11時間で初めて正規の治療をなし, 治療後13日目に全治せる1例を經驗したこから之れを茲に報告する.
著者
矢野 義雄
出版者
財団法人 日本消化器病学会
雑誌
實驗消化器病學 (ISSN:21851166)
巻号頁・発行日
vol.1, no.10, pp.1005-1022, 1927-01-10 (Released:2010-03-19)
参考文献数
20

各種動物ニヨリ其ノ生物學的進化ノ階梯ニ應ジテ各種器官ノ生理的機能ニ差異アルベキハ動カス可ラザル事實ナルガ如キモ此ノ方面ニ關スル生物學的研究ノ領域ハ猶未充分ニ開拓セラレズ。且又從來諸家ノ肝臟乃至腎臟ノ色素排泄機能ニ關スル業績ハ多キモ、各其對象動物ヲ異ニシ、其成績又區々ニシテ甲論乙駁セルモ、動物ノ種類ニ應ジテ其肝臟若クハ腎臟ノ機能ニモ大ナル差異アルベキノ事實ヲ等閑ニ附セルガ爲ニ、獨斷的錯誤ニ陷リ未問題ノ核心ニ觸ル、能ハザルノ憾アリ。茲ニ於テ著者ハ此等ノ問題ヲ徹底的ニ解決スル所アラントシ、各種ノ動物ニ就テ、多數ノ色素ヲ用ヒテ其肝臟並腎臟ノ排泄機能ノ檢索ニ着手シ、先第一着手トシテ冷血動物(蛙)ト温血動物(鶏)ニ於ケル肝臟及腎臟ノ排泄機能ニ就テ比較實驗シ、兩者ノ間ニ於テ其肝臟腎臟ノ排泄機能ニ格段ノ差異優劣アルヲ明ニシ、殊ニ温血動物ニ於ケル肝臟ノ排泄機能ガ冷血動物ノ夫レニ比シテ甚シク旺盛ナルノ事實ヲ確認セリ。(自抄)