著者
井元 清哉 小西 貞則
出版者
Japanese Society of Applied Statistics
雑誌
応用統計学 (ISSN:02850370)
巻号頁・発行日
vol.28, no.3, pp.137-150, 1999-03-31 (Released:2009-06-12)
参考文献数
22
被引用文献数
6 2

複雑な非線形構造を有するデータからの情報抽出を,B-スプラインに基づく非線形回帰モデルを通して行うとき,モデルのパラメータ推定は罰則付き対数尤度法に基づいて行われる.その際,平滑化パラメータと節点の個数の選択が,曲線推定において本質的である.従来は,その選択規準として,交差検証法と一般化交差検証法が主に用いられてきた.本論文では,平滑化パラメータと節点の個数の選択を情報量の観点から行い,曲線を推定する方法を提案する.また,実際のデータの分析および数値実験を通して提案する方法と従来の手法とを比較し,その特徴と有効性を検証する.
著者
濱崎 俊光 磯村 達也 大瀧 慈 後藤 昌司
出版者
Japanese Society of Applied Statistics
雑誌
応用統計学 (ISSN:02850370)
巻号頁・発行日
vol.28, no.3, pp.179-190, 1999-03-31 (Released:2009-06-12)
参考文献数
33
被引用文献数
2 1

本稿では,Box & Cox(1964)が提案したベキ変換について,これまでに提案されている諸種のベキ変換の変型を概観した.また,正確に恒等変換(無変換)を含むように変換公式を修正したベキ変換の性質を,無構造データと有構造データの場合にわけて尤度関数とパラメータの推定値について修正を施さない通常の変換と比較し検討した.ベキ変換パラメータに依存したシフトは,無構造データの場合に平均のみに影響を及ぼし,有構造データの場合では変換後に想定されるモデルに定数項を含めることでモデルに固有のパラメータへの影響を回避できた.
著者
辻谷 将明 左近 賢人
出版者
Japanese Society of Applied Statistics
雑誌
応用統計学 (ISSN:02850370)
巻号頁・発行日
vol.34, no.1, pp.15-29, 2005-08-30 (Released:2009-06-12)
参考文献数
34
被引用文献数
2

従来,生存時間解析ではCox比例ハザードモデルが広範に活用されてきた.特に,共変量の値が時間とともに変動する時間依存型データが含まれる場合,その近似解法としてMayo updatedモデルやヨーロッパnew versionモデルが広範に活用されてきた.しかし,それらのモデルには,べースライン生存関数やベースライン累積ハザード関数の推定などに問題点が残されている.本稿では,部分ロジスティック回帰モデルを援用した部分ロジスティックモデルおよびニューラルネットモデルを提案し,ブートストラップ法による統計的推測を系統的に行う.実際例として,PBC(原発性胆汁性肝硬変)データを取上げる.肝移植を念頭においた,観測期間の任意時点における6ヶ月後の条件付き生存率の予後予測を通じ,提案手法を既存手法と数値的に比較する.
著者
岩崎 学 阿部 貴行
出版者
Japanese Society of Applied Statistics
雑誌
応用統計学 (ISSN:02850370)
巻号頁・発行日
vol.35, no.1, pp.49-60, 2006-07-30 (Released:2009-06-12)
参考文献数
8

打ち切りとトランケーションは,共に不完全データをもならす要因として,実際のデータ解析で遭遇することが多い.本論では,観測値xがある値c以下でのみ値が観測される場合について,切断点cを変化させることによる推定値への影響を考察する。cがパラメータの推定値に及ぼす影響を,尤度方程式から導かれる陰関数を用いて評価する.特に,応用上重要な指数分布および正規分布について,数値例を交えて詳しく議論する.陰関数の吟味により,打ち切りとトランケーションでは切断点cの影響が逆向きであること,およびトランケーションの場合にはcの影響が観測データ数に依存しないことを示す.
著者
二宮 嘉行
出版者
Japanese Society of Applied Statistics
雑誌
応用統計学 (ISSN:02850370)
巻号頁・発行日
vol.29, no.3, pp.117-130, 2000-03-30 (Released:2009-06-12)
参考文献数
15
被引用文献数
1 1

本論文では確率場の変化点検知に関する検定を扱う.特に例として,正規分布に従う二元配置のデータにおける交互作用の変化点をとりあげる.このような検定では,帰無仮説のもとで尤度比統計量が,同一の正規分布に従いかつ正の相関をもつ複数個の確率変数の最大値となることが多々あり,棄却域を構成するためにはその統計量の裾確率の評価が必要となる.この裾確率の導出は多重積分の数値評価を必要とし,場が大きくなると計算が困難になる傾向をもつ.そこで正確な裾確率を得ることはあきらめ,かわりに裾確率の上限を容易な計算で与えることを考える.これは保守的な検定を構成することを意味する.まず,本来は異なるタイプの裾確率を評価するチューブ法に工夫を加え,今の問題に適応させることによって上限を得る.次に,これと過去の結果である一次Bonferroni不等式,改良Bonferroni不等式とを組み合わせ,正確な裾確率により近い上限を得る.この手法をチューブ適用法と名付け,Bonferroni不等式による方法と比較するため,ある正の相関をもつ正規定常確率場の最大値の裾確率と,上で述べた検定統計量の裾確率とを各手法で評価する.そして,特に確率変数間の相関が高い時にチューブ適用法が有効であることを確認する.
著者
Manabu Kuroki Masami Miyakawa
出版者
Japanese Society of Applied Statistics
雑誌
Ouyou toukeigaku (ISSN:02850370)
巻号頁・発行日
vol.31, no.2, pp.107-121, 2002-11-30 (Released:2009-06-12)
参考文献数
13
被引用文献数
3 1

本論文では,変数間の因果関係が線形構造方程式モデルと因果ダイアグラムで記述できる場合に,いくつかの処理変量に対して外的操作をおこなったときの反応変量への因果的効果を同時介入効果と呼び,これを推測する問題を考える.Pearl and Robins(1995)によって定義された同時介入効果はノンパラメトリックな分布として与えられている.そこで,本論文では,その平均と分散に着目し,線形構造方程式モデルの下でこれらの特徴量の明示的表現を与える.次に,この同時介入効果の平均と分散を線形回帰モデルを用いて推定するためにはどのような回帰モデルを設定すべきかを考え,同時介入効果の平均と分散がその回帰モデルの母数によってどのように表現されるかを明らかにする.
著者
南 美穂子
出版者
Japanese Society of Applied Statistics
雑誌
応用統計学 (ISSN:02850370)
巻号頁・発行日
vol.25, no.2, pp.73-78, 1996-11-25
被引用文献数
3