著者
藤森 基成 泉 憲明 永田 雅彦
出版者
Japanese Society of Veterinary Dermatology
雑誌
獣医臨床皮膚科 (ISSN:13476416)
巻号頁・発行日
vol.12, no.4, pp.247-249, 2006
被引用文献数
1

2歳齢,雄のロングコート・チワワの両眼瞼縁に限局し徐々に悪化する丘疹の集簇を認めた。経口抗生剤にて改善なく皮膚病理組織検査を施行したところ,真皮に多巣状の化膿性肉芽腫を認めた。PAS染色で菌要素を認めず特発性非感染性肉芽腫症と診断した。経口プレドニゾロン1.0 mg/kg SIDにて1週間で劇的に改善した。<br>
著者
Scott Danny W. Miller Jr. William H.
出版者
Japanese Society of Veterinary Dermatology
雑誌
獣医臨床皮膚科 (ISSN:13476416)
巻号頁・発行日
vol.19, no.4, pp.203-210, 2013
被引用文献数
10

48例の猫が食物アレルギー性皮膚炎と診断された。過去15年において本症と診断された猫の頻度は皮膚疾患症例の3.4%,ならびに全疾患症例の0.2%を占めた。性差や年齢差は認められなかったが,バーミーズ,ヒマラヤン,メイン・クーンに好発する傾向があった。皮膚における反応パターンは発症頻度の高いものから順に,皮疹を伴わない左右対称性のかゆみ動作~表皮剥離(特に顔面,耳介および頸部),皮膚に異常を認めない外傷性脱毛症(特に腹部,四肢および背部),粟粒性皮膚炎(特に背部および頸部),ならびに好酸球性肉芽腫群(特に口唇)であった。皮膚における複数の反応パターンの合併は54.2%の猫に認められた。続発性細菌感染症は18.8%の猫に認められた。消化器症状が合併した猫の頻度はわずか2.1%であった。アトピー性皮膚炎が合併した猫の頻度は18.8%であった。グルココルチコイド製剤が全身投与された猫のうち,同治療が奏功しなかった猫の頻度は60.9% であった。食事管理は6ヶ月から11年の追跡調査の期間中有効であった。<br>
著者
Scott Danny W. Edginton Heather D. Miller Jr. William H. Clark Mitzi D.
出版者
Japanese Society of Veterinary Dermatology
雑誌
獣医臨床皮膚科 (ISSN:13476416)
巻号頁・発行日
vol.21, no.1, pp.7-9, 2015
被引用文献数
2

第2世代の抗ヒスタミン薬であるロラタジンが,猫アレルギー性皮膚炎の管理に有効であるという逸話的情報が教科書やインターネット上で報告されている。そこでロラタジンをアレルギー性皮膚炎に罹患した27頭の猫に,5 mg/catで1日1回経口投与した。その結果,わずか1頭(4%)の猫においてそう痒を良好に管理することが可能であった。有害事象は認められなかった。<br>
著者
永田 雅彦 柴田 久美子 入交 眞巳 Luescher Andrew U
出版者
Japanese Society of Veterinary Dermatology
雑誌
獣医皮膚科臨床 (ISSN:13418017)
巻号頁・発行日
vol.7, no.2, pp.13-16, 2001

アレルギー性皮膚疾患と診断されていた猫2例に精神的要因の関与を認めた。1例目は10カ月齢, 雌のラグドールで, 3カ月齢より舐性行動や過敏症候群がみられた。アレルギーが疑われたが種々のアレルゲン回避で改善がなく, 精神療法と塩酸フルオキセチンなどで略治したことから精神的要因の関与が示唆された。2例目は4歳齢, 避妊雌の雑種猫で, 1年前より非定型的な好酸球性肉芽腫がみられた。初発時にノミ寄生と皮膚炎がみられたがノミ防除で改善せず, 複数のアレルギーを考慮した。除去食も有効であったが腹部の対称性脱毛が持続し, 精神療法と塩酸フルオキセチンなどで略治したことから精神的要因の関与が示唆された。
著者
村山 信雄 榊原 一夫 永田 雅彦
出版者
Japanese Society of Veterinary Dermatology
雑誌
獣医臨床皮膚科 (ISSN:13476416)
巻号頁・発行日
vol.12, no.4, pp.239-241, 2006
被引用文献数
1

6歳齢,避妊雌のメイン・クーンの両耳介と外耳道に暗青色を呈した丘疹と結節を多数認め,耳道は狭窄していた。これら皮疹は幼少よりみられ,徐々に拡大した。病理組織学的検査で耳垢腺の拡張と内腔分泌物の貯留を認めた。全身症状はなく,血液検査の異常も認められなかった。以上よりFeline ceruminous cystomatosisと診断した。0.05%クロルヘキシジン液による洗浄とオフロキサシン・ケトコナゾール・トリアムシノロンアセトニド配合薬の点耳により,1年後に明らかな改善を認めた。<br>