著者
滝 昌和 山上 拓男
出版者
The Japan Landslide Society
雑誌
地すべり (ISSN:02852926)
巻号頁・発行日
vol.34, no.3, pp.34-40_1, 1997-12-15 (Released:2010-06-28)
参考文献数
14

極限釣り合い法に基づき進行性破壊を考慮した斜面安定解析法を開発した。進行性破壊は, スライス底面ごとに局所安全率を定義することで表現した。これにより未知量が大幅に増加するが, 簡単な仮定を導入して問題を静定化し, 力とモーメントの釣り合い条件を完全に満足した。さらに, この局所安全率を用いて土の軟化現象を考慮することができた。最後に, 実際の崩壊事例に適用して本解析法が進行性破壊を表現し得ることを明らかにした。
著者
榎田 充哉 市川 仁士 大宅 康平
出版者
The Japan Landslide Society
雑誌
地すべり (ISSN:02852926)
巻号頁・発行日
vol.31, no.2, pp.1-8, 1994
被引用文献数
3

これまで地すべりの移動特性を定量的に把握するための研究では地下水圧の時系列変化はほとんど考慮されていなかった。本論では簡単な地すべりモデルを用いて地下水位変動から長期的な地すべり移動量を求める一つの方法を提案した。
著者
富山県治山課
出版者
The Japan Landslide Society
雑誌
地すべり (ISSN:02852926)
巻号頁・発行日
vol.26, no.1, pp.31-37, 1989
被引用文献数
1
著者
守随 治雄
出版者
The Japan Landslide Society
雑誌
地すべり (ISSN:02852926)
巻号頁・発行日
vol.21, no.3, pp.17-23_1, 1984-12-25 (Released:2011-02-25)
参考文献数
11
被引用文献数
1 2

東北地方の形態・規模等の異なる第三紀層の地すべり地においてX線回折を行なった結果, 崩積土すべり, および過去の変動記録のある岩盤すべりのすべり面は, 初生型の岩盤すべりのすべり面にくらべ, スメクタイトの含有量が多くなっていることが判明した.また, スメクタイトと斜プチロル沸石との間には負の相関性が認められ, すべり面付近でスメクタイトの含有量が多いのは, 斜プチロル沸石がスメクタイトに変化したものと推察された.それには, 斜プチロル沸石の020方向の結晶度が関係しているものと考えられた.
著者
永田 秀尚
出版者
The Japan Landslide Society
雑誌
地すべり (ISSN:02852926)
巻号頁・発行日
vol.39, no.1, pp.53-61, 2002-06-25 (Released:2010-06-28)
参考文献数
45
被引用文献数
2 1
著者
八木 浩司 山崎 孝成 渥美 賢拓
出版者
The Japan Landslide Society
雑誌
日本地すべり学会誌 : 地すべり = Journal of the Japan Landslide Society : landslides (ISSN:13483986)
巻号頁・発行日
vol.43, no.5, pp.294-306, 2007-01-25
被引用文献数
12 23

2004年新潟県中越地震にともなって発生した地すべり・崩壊の発生場の地形・地質・土質的特徴を地形図, GISならびに土質試験・安定解析を用いて検討した。その結果, 以下のことが明らかとなった。<br>1. 2004年新潟県中越地震による地すべり (深層すべり) は, 芋川や塩谷川流域の梶金向斜沿いの地域に集中して発生した。それらは, 旧期の地すべり地形の一部が再活動したものである。これには, 魚沼丘陵を開析する河谷に沿った30°程度の急な谷壁斜面の発達が関わっていることが示唆された。<br>2. 大規模な地すべりによる地形変位量を地震前後のDEM (数値地形モデル) から算出した。滑落崖付近での陥没, 移動体による旧河道の埋積, 旧地表面に対する乗り上がり・隆起が捉えられたほか, 移動体から受ける側圧で発生した河床の隆起も認められた。特に大日岳北側 (塩谷神沢川最上流部) では, 上下変動量がともに最大で40m以上の規模で発生した。<br>3. 崩壊は, その6割以上が45°以上の急斜面で発生している。<br>4. 地すべりの大半は層すべり型でその発生場での元斜面勾配は, 13-26°の範囲で, そのモードは21-26°である。そのうちモードは, 東北日本内弧・新第三系堆積岩地域のそれに比べ数度程度大きいことから, 地震動なしには地すべりが発生しにくい土質条件下にあった。<br>5. リングせん断試験および原位置一面せん断試験によるすべり面のせん断強度は, 砂岩と泥岩の層界にすべり面が形成されている場合, 完全軟化強度<i>c</i>'=0kPa, φ'=35°, 残留強度は<i>c<sub>r</sub></i>'=0kPa, φ<i>r</i>'=30°の値を示し, 泥岩・シルト岩のすべり面では完全軟化強度<i>c</i>'=0~10kPa, φ'=30°, 残留強度は<i>c<sub>r</sub></i>'=10kPa, φ<i>r</i>'=20°の値が得られた。既報告の第三紀層すべり面の平均残留強度値 (眞弓ほか, 2003) と比較した場合, シルト岩のすべり面は10°程度大きな値である。
著者
海野 寿康 中里 裕臣 井上 敬資 高木 圭介
出版者
The Japan Landslide Society
雑誌
日本地すべり学会誌 : 地すべり = Journal of the Japan Landslide Society : landslides (ISSN:13483986)
巻号頁・発行日
vol.45, no.3, pp.219-226, 2008-09-25
被引用文献数
2 2

近年, 豪雨による斜面災害が多発するようになっている。本研究では, 降雨から地すべり安全率を予測する手法の基礎として, 破砕帯地すべり地における豪雨と地下水位の相関関係の把握を目的に, 農地地すべり地区に設置されている複数のボーリング孔の孔内水位と地区降雨量の観測や地下水位の降雨応答解析を行った。その結果, 地下水位の降雨による変動に基づき実効雨量の半減期を決定することで, 該当地区におけるおおよその降雨~地下水位関係を得ることが可能となった。得られた知見から地下水位の変動挙動のタイプ分けを行うことができ, それらは降雨形態の違いにより生ずると考えられる。