著者
上杉 和央
出版者
The Association of Japanese Geographers
雑誌
地理学評論 (ISSN:13479555)
巻号頁・発行日
vol.77, no.9, pp.589-608, 2004-08-01 (Released:2008-12-25)
参考文献数
54

本稿では,主に元禄期頃までの大坂の初期名所案内記にみえる名所観を検討した.その目的は,当時の名所観はどのように構成されていたのか,そして名所観に地域差はないのか,といった点を論じることにある.まず,江戸時代の名所は歌名所と俗名所に区別されていたことを確認し,さらに名所たらしめる情報の時間差によって〈過去名所〉と〈現在名所〉に区分し得るような名所観の構成を提示した.研究の蓄積が多い江戸での検討結果では〈現在名所〉が強く意識され,また京都では〈過去名所〉への意識が強い.一方,大坂の初期名所案内記を検討すると,〈過去名所〉への指向は強いものの「ハレ」の日の行事を中心とした〈現在名所〉への関心も高まっている状況が見出され,江戸とも京都とも異なる名所観のあり方が明らかとなった.

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【地理学評論掲載論文】上杉和央 2004.17世紀の名所案内記にみえる大坂の名所観,地理学評論77,589-608.https://t.co/ktN5evVU8E
https://t.co/rJfrgndviV 17世紀名所案内記にみえる大坂の名所観 京都、江戸との比較がある。江戸は現在名所を重視し、京都は過去名所を重視するという対極の構図になっていた。

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