著者
石川 ひろの
出版者
公益財団法人 医療科学研究所
雑誌
医療と社会 (ISSN:09169202)
巻号頁・発行日
vol.30, no.1, pp.77-90, 2020-06-16 (Released:2020-08-26)
参考文献数
43

この数十年,医療を取り巻く社会的な変化は,患者-医療者関係を大きく転換させてきた。慢性疾患の増加に伴い,患者と医療者との長期的な治療関係や治療過程における患者の主体的な参加が求められる中で,いわゆる伝統的な父権主義的患者-医師関係から,相互参加型の患者-医師関係が模索されてきた。そこにおいて,目指されてきたのが患者と医療者による意思決定の共有(Shared decision making:SDM)である。生命へのリスクが高く,しばしば複数の治療法の選択肢が存在するがん診療場面は,早くからSDMの重要性が注目されてきた領域である。マスメディア,インターネットなど,保健医療に関する情報が増大し,情報源が多様化する中で,患者自身が適切な情報を収集・活用し,主体的に治療や意思決定に参加していく力の重要性は増している。SDMの実践は,参加に消極的になりがちな人々,不利な立場にある人々も含め,治療のプロセスへの参加を促し,納得のいく決定ができるように支援することで,健康の不平等の解消にもつながる可能性がある。

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"異なる考えや情報を持つ両者が共通の基盤を作ること,すなわち「今,何が問題なのか」から始まり「何を目標にするのか」「そのためにはどんな方法があるのか」「それを実行するためには,それぞれがどんな役割を果たすべきなのか」といった決定に至るプロセスを共有していく" https://t.co/QRFQuHcwdT https://t.co/MG641O43JC
"医療場面における意思決定では,治療方法の選択に焦点が当たりがちである。しかし,意思決定の共有は,実際にはその前の段階から始まっており,その延長上にあると考えられる。" https://t.co/QRFQuHcwdT
"ホイットニーらは,治療の確実性と生命へのリスクの2軸で,臨床における意思決定を4つに分類し,それぞれの状況での患者からの同意のタイプ,意思決定,患者-医療者間の相互作用について整理している。" https://t.co/QRFQuHcwdT https://t.co/LwDZeWrZpM
ただ、限界もあってですね…。その1つは、SDMが具体的に何なのかは人によって結構違っていることです。緩和ケア領域でいうACPぐらい。まず、話している人がどんなつもりでSDMって言ってるのかを考えなければなりません。 https://t.co/2trknh4M9x
SDMの可能性と課題 授業で触れてたけど、医療現場以外でも使える考えかと。 https://t.co/j4ORYpy7BP
治療の選択に悩ましい時は、選択の責任を患者におしつけないこと。Shared Decision Makingの概念を先日の頭頸部癌学会で知りました。帝京大学石川ひろの先生。 https://t.co/LaUirLAaHs #頭頸部癌
・健康教育,ヘルスコミュニケーション,ヘルスリテラシー(日本健康教育学会誌_2020 年 28 巻 4 号 p. 243-244) https://t.co/7wtcmKqC9E ・Shared Decision Makingの可能性と課題(医療と社会_2020 年 30 巻 1 号 p. 77-90) https://t.co/76q1zJQvyJ

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