著者
小塩 真司 脇田 貴文 岡田 涼 並川 努 茂垣 まどか
出版者
一般社団法人 日本発達心理学会
雑誌
発達心理学研究 (ISSN:09159029)
巻号頁・発行日
vol.27, no.4, pp.299-311, 2016 (Released:2018-12-20)
参考文献数
95
被引用文献数
2

自尊感情はこれまでの心理学の歴史の中で非常に多くの研究で取り上げられてきた構成概念のひとつである。近年では,多くの研究知見を統合するメタ分析が注目を集めている。その中でも本稿では,平均値等の統計量をデータが収集された調査年ごとに統合することで,心理学概念の時代的な変化を検討する時間横断的メタ分析に注目する。小塩ほか(2014)は日本で報告されたRosenbergの自尊感情尺度の平均値に対して時間横断的メタ分析を試み,自尊感情の平均値が近年になるほど低下傾向にあることを見出した。また岡田ほか(2014)は,近年になるほど自尊感情の男女差が小さくなる可能性を報告した。本稿ではこれらの研究の背景と研究知見を紹介し,時代変化という要因を考慮に入れたうえで今後どのような研究の方向性が考えられるのかを展望した。具体的には,研究の継続性,検討する指標の多様性,行動指標への注目,関連性の変化への注目,社会状況の変化との照合という観点が提示された。

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日本における自尊感情の時間横断的メタ分析:得られた知見とそこから示唆されること https://t.co/8ITk9lz4MY
【論文】小塩他 (2016) 日本における自尊感情の時間横断的メタ分析:得られた知見とそこから示唆されること/小塩他 (2014) 及び 岡田他 (2014) を中心に自尊感情の先行研究をレビュー。時代変化を考慮した研究(研究の継続性、社会状況の変化との照合など)の重要性を指摘。 https://t.co/xR3N2epc32 https://t.co/ekdtGAuaEE
J-STAGE Articles - 日本における自尊感情の時間横断的メタ分析:得られた知見とそこから示唆されること https://t.co/6VtUpAkqan 「大学生に比べて中高生の平均値は低く,成人や高齢者の平均値が高い傾向にある」 「自尊感情の平均値は下降する傾向にある」 はいそうですね、という感想しかない。
“日本における自尊感情の時間横断的メタ分析:得られた知見とそこから示唆されること” https://t.co/Ml2GiTGqqw
”…日本の社会における全体的傾向と自尊感情の低下を即座に結びつけることは困難ではあるが、これらの社会状況との関連について慎重に検討する必要があるだろう。” 引用元「日本における自尊感情の時間横断的メタ分析:得られた知見とそこから示唆されること」 https://t.co/SNzgi9bfCX
日本における自尊感情の時間横断的メタ分析:得られた知見とそこから示唆されること https://t.co/8cMOysEkua
何年か前にこの論文で「自尊感情の低下が社会的弱者の排除や政治的保守化,周辺諸国との対立などに結びつくことを示唆する」と書いたのですがどんどん実現されつつある印象 J-STAGE Articles - 日本における自尊感情の時間横断的メタ分析 https://t.co/1fKKxXszUx
自尊感情の時代変化の論文(https://t.co/sf7mPmsJMz)にも引用したピンカーの「暴力の人類史」を紹介します。人類全体の暴力は減少傾向にあり子どもたちの認識も親と子の世代によって変わる可能性があるという話。 暴力の種類と減少|Atsushi Oshio @oshio_at|note(ノート) https://t.co/RjGepVeNTz

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