著者
大西 彩子 吉田 俊和
出版者
日本グループ・ダイナミックス学会
雑誌
実験社会心理学研究 (ISSN:03877973)
巻号頁・発行日
vol.49, no.2, pp.111-121, 2010 (Released:2010-02-20)
参考文献数
48
被引用文献数
4 2

本研究の目的は,自己愛傾向,認知的共感性,情動的共感性,いじめに否定的な集団規範が生徒のいじめ加害傾向に与える影響を明らかにすることで,いじめの個人内生起メカニズムについて検討することである。188人(男子103人,女子85人)の中学生を対象に,自己愛傾向,認知的共感性,情動的共感性,関係性いじめ否定規範意識,直接的いじめ否定規範意識,関係性いじめ加害傾向,直接的いじめ加害傾向を質問紙調査で測定し,共分散構造分析による仮説モデルの検討を行った。主な結果は以下の通りであった。(1)各いじめ否定規範意識は,各いじめ加害傾向に負の影響を与えていた。(2)誇大的自己愛傾向は,各いじめ否定規範意識に負の影響を与えることで間接的に各いじめ加害傾向に影響を与えていた。(3)認知的共感性は,直接的いじめ加害傾向へ負の影響を与える直接効果と,関係性いじめ否定規範意識に正の影響を与えることで,関係性いじめ加害傾向に負の影響を与える間接効果がみられた。(4)情動的共感性は,各いじめ否定規範意識に正の影響を与えることで,間接的に各加害傾向に影響を与えていた。本研究によって,集団規範がいじめ加害傾向に影響を与える主な要因であることが示唆され,集団規範を考慮したいじめ対策を行うことの重要性が明らかになった。

言及状況

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学級の直接的いじめに対する集団規範を低く意識している生徒ほど また認知的共感性の低い生徒ほど、直接的いじめ加害傾向が高い事が明らかになった 本研究で取り上げた要因の中でいじめの加害傾向にもっとも影響を及ぼす要因は いじめに対する否定的な規範意識である いじめは加害者自身が大きな損失を被ってまで特定の個人をいじめ続ける といったことはほとんどなく「やっても大丈夫」「やった方がむしろ ...

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【実験社会心理学研究・掲載論文】大西彩子・吉田俊和(2010) いじめの個人内生起メカニズム―集団規範の影響に着目して― https://t.co/4qLuwkeYPK
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「いじめの個人内生起メカニズム―集団規範の影響に着目して―」 大西 彩子, 吉田 俊和 実験社会心理学研究 / 49 巻 (2009-2010) 2 号 / 原著論文 https://t.co/rMF9jcjotL
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