著者
牧野 智和
出版者
日本社会学会
雑誌
社会学評論 (ISSN:00215414)
巻号頁・発行日
vol.61, no.2, pp.150-167, 2010-09-30 (Released:2012-03-01)
参考文献数
37
被引用文献数
1

本稿では,大学生の就職活動における自己分析という慣行の定着を,新規大卒採用市場における1つのサブ市場の確立と捉える.このことで,先行研究の欠落点であった,自己分析への関わり方の多様性,送り手と受け手,その影響力の限定性という論点に対応することができる.また本稿では自己分析を,「自己の自己との関係」を通した主体化を行う「自己のテクノロジー」と捉える.このことで他の自己論との比較を可能とし,また先行研究の難点であった定着因の考察を資料内在的に行うことができる.このような観点から,自己分析市場が提供する「自己のテクノロジー」の分析とその機能の考察を行った.分析対象は自己分析をその内容に含む就職対策書,190タイトル計758冊である.自己分析の作業課題の核には,自らの過去の回顧,現在の分析,未来の想像を通して「本当の自分」を抽出する志向がみられる.だがこれは純粋に心理主義的なものではない.自己分析では具体的な職業の導出,内定の獲得に向けた自己の客観化,積極的な自己表現もともに求められるためである.分析を通して,自己分析市場は新規大卒採用市場における不透明性の低減,動機づけの個人的獲得支援・調整,社会問題の個人化という機能を果たしていると考えられた.だが採用状況の悪化によって社会問題の個人化機能が突出するとき,それを可能にする「自己のテクノロジー」への注意が払われなければならない.

言及状況

外部データベース (DOI)

Twitter (20 users, 26 posts, 9 favorites)

日常に侵入する自己啓発: 生き方・手帳術・片づけ https://t.co/e6ptGkpTnJ 自己啓発叩きの過程の中で牧野先生の本が話題になっていたが、牧野先生は同時に自己分析に関する論文も書いているので、(https://t.co/WWaWOSSIEf)参考になりそう。 https://t.co/MNF5I5KzNE
そういえば、就活における「自己分析」をフーコーの「自己のテクノロジー」という観点から分析した現在就活中の我々にはクソ面白い論文があるので、みんな読みましょう https://t.co/qbO3xpiWV1
就活する=自己分析ってなるけど、そもそも自己分析ってなんであるの?っていうモヤモヤが少しはれるし、これを知った上で自分が何を選択するか決めたいと思った
https://t.co/7J8aYuIizP このレポート面白い。 自己分析に興味があって調べてるんだけど、 自己分析という言葉自体が就活をよりよく進めるために使われるようになった言葉ということがわかる。 そしてバブル崩壊後の就職難時代からさらに流行りだしたらしい
[読]牧野智和「「就職用自己分析マニュアル」が求める自己とその機能――「自己のテクノロジー」という観点から」『社会学評論』61-2 https://t.co/7FD3Ol82A1
この話で参考になりそうな論文。 https://t.co/VfagFPVpQ6
@combck_wolf4 街中に就活生が現れて聞くもおぞましい言葉を並べ立てて喋っているのをよく聞く季節になりましたけど、これで誰が笑うかって言ったら、人売り業者と財界なんですよねえ。人の価値を下げて殺傷して国が潤うと本気で思ってる。この論文引用するのもう5回目ぐらいな気がします。 https://t.co/VfagFPVpQ6
自己分析を社会学的に分析した論文。 RT 「就職用自己分析マニュアル」が求める自己とその機能 ー「自己のテクノロジー」という観点からーhttps://t.co/rSzNowkeIY
ATD 「就職用自己分析マニュアル」が求める自己とその機能 : 「自己のテクノロジー」という観点から https://t.co/F4hwsbHHJi
φ(..)メモメモ 「就職用自己分析マニュアル」が求める自己とその機能 『社会学評論』Vol. 61 (2010-2011) No. 2 P 150-167 : http://t.co/109yjoL8En
J-Stageの社会学評論バックナンバーPDFで、牧野さんの「「就職用自己分析マニュアル」が求める自己とその機能」 http://t.co/0UiwU7eP を読みなおしていたのですが、表中「マニュアル」の「ニ」の字がすべて脱落しています……。なんで? 私の環境だけ?

収集済み URL リスト