著者
森山 至貴
出版者
日本社会学会
雑誌
社会学評論 (ISSN:00215414)
巻号頁・発行日
vol.73, no.1, pp.2-18, 2022 (Released:2023-06-30)
参考文献数
24

2021年現在,男性中心社会における男同士の内輪のルールや雰囲気などに批判的に言及するために,アカデミズムの内外において「ホモソーシャル」という概念が多く用いられている.しかしその用法は,しばしばこの概念の出自として言及されるE. K. セジウィックの用法とは異なるようにもみえる.このような状況をさしてホモソーシャル概念の「乱用」と言われたりもする. 本稿では,ホモソーシャルという語の「乱用」に思える多義性を,削ぎ落とすのではなく適切に制御することでこの語をよりよく使うことができると主張し,そのための指針を提示することをめざす.具体的には,セジウィックを中心に,他の論者によるものも含めたこの語の用法の検討を通じて,セジウィックのホモソーシャル概念がその多義性ゆえに説明力をもったこと,したがって,概念の厳密化はむしろ望ましくないことを示す.その上で,セジウィック以後のホモソーシャルの用法を検討することで,セジウィックのホモソーシャル概念を自身の記述の文脈に応じて再形成することが有用である,と主張する.

言及状況

外部データベース (DOI)

Twitter (21 users, 21 posts, 70 favorites)

J-STAGE Articles - ホモソーシャル概念の多義性を使い尽くす https://t.co/9BZngSxoMX
J-STAGE Articles - ホモソーシャル概念の多義性を使い尽くす https://t.co/uUd3ztBt2G こういう論文は実証という感じじゃないね
J-STAGE Articles - ホモソーシャル概念の多義性を使い尽くす https://t.co/BSZ64WFr5k
以前Feminist Theory誌から出たインターセクショナリティに関する有名な論文の議論に似てると思ったので繋げておくなど。「セジウィックのホモソーシャル概念がその多義性ゆえに説明力をもった...概念の厳密化はむしろ望ましくない」/ ホモソーシャル概念の多義性を使い尽くす https://t.co/B84LheJbSf

収集済み URL リスト