著者
煎本 孝
出版者
日本文化人類学会
雑誌
民族學研究 (ISSN:24240508)
巻号頁・発行日
vol.53, no.2, pp.125-154, 1988-09-30 (Released:2018-03-27)

アイヌの狩猟の象徴的意味と行動戦略を、文献資料、調査資料に基づき、生態学的および民族生態学的視点から分析した。アイヌの狩猟技術の特徴は、矢毒(トリカブト)、自動装置(仕掛弓)、手持ち弓と狩猟犬の使用である。矢毒と犬は、それぞれトリカブトの神、庭にいる神と考えられており、火の媼神の使者として山の神(熊)を招待する役割を持つ。アイヌ(人間)とカムイ(神、精霊)との間の互酬性は、山の神(熊)の招待と送還という肯定的機序、および、悪い神(悪態;狩猟の不確定性、危険性の象徴)に対する防御、反撃、制裁という否定的機序から成る。熊祭は人間界で飼育された子熊を、特別な使者として熊の先祖のもとに送還することにより、互酬性の反復を意図とする発展した肯定的機序として解釈される。また、占い、夢見は良い狐の頭骨の神、森の樹の女神からの伝言と考えられており、狩猟行動の意志決定における重要な機能をはたす。以上の分析から、狩猟における行動戦略は、人間によって認識された自然と、現実の自然との間の相互作用の動的過程として理解される。

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あとは「トリカブトの根はその毒性の強弱によって、毒矢のくぼみに塗り込むときは、遅効性強毒を下に、即効性弱毒を表面に塗る」らしいので、 尾形はすぐさま自分で切腹して取り出したから、余計に強い毒は投与されていない、とか? https://t.co/tIJITuEr07
アイヌは如何にして熊を狩猟したか : 狩猟の象徴的意味と行動戦略 https://t.co/tIJITuEr07
40年前の物だけど、アイヌのヒグマ猟に関する論文。トリカブトつよい https://t.co/b75gG6Puie
「アイヌは如何にして熊を狩猟したか」 ー狩猟の象徴的意味と行動戦略ー 煎本 孝 私がバイト中に読んでる論文 結構面白いですよ https://t.co/cDomzMIrmw
J-STAGE Articles - アイヌは如何にして熊を狩猟したか : 狩猟の象徴的意味と行動戦略 https://t.co/uwfndJxrPi ジャストな論文だ。

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