著者
大須 理英子
出版者
認知神経科学会
雑誌
認知神経科学 (ISSN:13444298)
巻号頁・発行日
vol.7, no.3, pp.217-222, 2005 (Released:2011-07-05)
参考文献数
14

脳が手足を制御するときに解決すべき問題は、制御プログラムが手足のあるロボットを制御するとき解決すべき問題と類似している。計算論的神経科学では、このような視点から、脳に実装されていると思われる機構を同定する。これまでの研究により、例えば速くて正確な腕の運動を実現するためには、フィードフォワード制御が必要であることがわかってきた。このためには、制御対象(例えば腕)のダイナミクスを表現する内部モデルが脳内に獲得されていなければならない。リハビリテーションが必要な状態というのは、このような脳内の制御機構に何らかの異常を来したか、その制御対象である手足に異常を来したのかどちらかであることが多い。いずれの場合にも、速くて正確な運動を取り戻すには、内部モデルの再構築が必要である。これまでのリハビリテーション訓練は、フィードバック制御を必要とする運動が多く、内部モデルを再構築するには最適ではない可能性がある。このような視点からリハビリテーション手法を見直すことでよりよい機能回復がはかれる可能性がある。

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「正しい鍵盤に触れているか?」というのは、「跳躍という動作後に得られる情報」なので【フィードバック】の情報です。 これを得るには、以下の論文よれば0.03~0.05秒程度かかるそうです。 っということは…… https://t.co/iReEOWjzFN
ひとつはコレ。2005年の「運動の制御 と学習」という論文。こういった運動学習はリハビリ関連に多いみたいです。 ゆっくりな動作は【フィードバック制御】で行われていて、速い動作は【フィードフォワード制御】で行われています。 https://t.co/iReEOWjzFN
feed backは色んな情報を元に こうやって動こうっていう働き (思ってた動きと違う時に直す、ダンスの振り付けなど) feed forwardは早くて正確な運動をする(ボールが来た時に避ける) というイメージ 参考論文 https://t.co/lwbg65jP4m
運動制御と小脳の関係をざっと知るのに、大須先生のこの文章はとても分かりやすい https://t.co/gtTvLd073V

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