著者
竹本 浩典 北村 達也 足立 整治 モクタリ パーハム 田部 洋祐
出版者
独立行政法人情報通信研究機構
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2009

下咽頭腔は喉頭腔と左右の梨状窩からなり、音声の個人性(声のその人らしさ)の生成要因である。本研究では、まず下咽頭腔を3次元で音響解析し、声道伝達関数に2つの深い零点を生成するメカニズムを解明した。次に声道と音源の相互作用を考慮した声帯振動モデルを構築し、下咽頭腔が音源波形に与える影響を検討した。その結果、下咽頭腔は音源より声道伝達関数により多くの個人性の要因を与えることが明らかになった。
著者
竹本 浩典 足立 整治 北村 達也 本多 清志 モクタリ パーハム
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. SP, 音声 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.105, no.97, pp.13-17, 2005-05-19
被引用文献数
2

喉頭腔の音響特性を求めるため, 5母音の声道断面積関数を用いて共鳴モード解析を行った.その結果, 喉頭腔の共鳴周波数付近では, 喉頭腔と咽頭腔との接続部で体積速度が増大するため, 喉頭腔を除く声道部分(主声道)に両端を開口端とする共鳴モード(開管共鳴)が生じることが示され, その共鳴は本研究に用いた声道では第4フォルマントであった.それ以外のフォルマントでは喉頭腔と咽頭腔との接続部における体積速度が小さいため, この部分を閉鎖端として主声道に片開き管の共鳴モード(閉管共鳴)が生じることも明らかになった.
著者
北村 達也 竹本 浩典 足立 整治 モクタリ パーハム 本多 清志
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. SP, 音声 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.106, no.178, pp.43-48, 2006-07-14

声帯振動に伴う声門開口面積の変化が喉頭腔で生じる共鳴(喉頭腔共鳴)に与える影響を調査した.成人男性3名の日本語5母音発声時の声道伝達特性を声門閉鎖および開放の条件で計算した結果,喉頭腔共鳴は声門閉鎖時にのみ3.0kHzから3.7kHzの周波数帯域に生じ,声門開放時には消失することが明らかになった.さらに,母音の実音声の声門閉鎖および開放区間を対象としたスペクトル分析によって,喉頭腔共鳴がピッチ周期内で出現と消失を繰り返すことが示された.これらの現象は,声門閉鎖時には喉頭腔が閉管となることにより喉頭腔共鳴が生じ,声門開放時には喉頭腔が開管となることにより喉頭腔共鳴が消えると説明できる.