著者
羽石 英里 河原 英紀 岸本 宏子 竹本 浩典 細川 久美子 榊原 健一 新美 成二 萩原 かおり 齋藤 毅 藤村 靖 本多 清志 城本 修 北村 達也 八尋 久仁代 中巻 寛子 エリクソン ドナ
出版者
昭和音楽大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2013-04-01

歌手は自らの身体が楽器であるため、歌唱にかかわる諸器官の動きを視認することができない。本研究では、歌手の身体感覚と実際の現象との対応関係を検証することを目的として、歌手へのインタビューを行い、歌唱技術の要とされる横隔膜の動きを実時間での磁気共鳴画像法(MRI動画)を用いて可視化した。その結果、プロ歌手の制御された横隔膜の動きが観察され、その現象が歌手の主観的な身体感覚の説明とも一致することが明らかになった。また、声道や舌の形状、ヴィブラートにも歌唱技術を反映すると思われる特性がみられた。本研究で提案されたMRIによる撮像法と分析法は、歌唱技術を解明する上で有用な手段のひとつとなりうるであろう。
著者
川村 直子 北村 達也
出版者
一般社団法人 日本リハビリテーション工学協会
雑誌
リハビリテーション・エンジニアリング (ISSN:13423444)
巻号頁・発行日
vol.38, no.2, pp.95-104, 2023-05-01 (Released:2023-05-25)
参考文献数
12

音声障害のリハビリテーションでは、言語聴覚士に指導された発声を患者が自宅でも適切かつ継続的に反復することが求められる。しかしながら、患者の自主的な発声訓練の継続を支援するシステムは構築されていない。そこで本研究では、先行研究で開発した発声訓練支援システムをIoTクラウドシステム化した。このシステムは音声障害領域で有効性が認められているチューブ発声の発声中の口唇部振動の変化を視覚的にフィードバックし、さらにクラウドサービス、LINEを連携させて自主訓練結果やリマインダーの通知を自動で行う。効果検証の結果、提案システムの視覚的フィードバックやLINEによる声かけ機能は自主訓練の適切性や継続性に有効であった。
著者
前川 喜久雄 斎藤 純男 藤本 雅子 竹本 浩典 北村 達也 菊池 英明 籠宮 隆之
出版者
大学共同利用機関法人人間文化研究機構国立国語研究所
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2017-04-01

東京方言16名分、近畿方言5名分、モンゴル語3名の調音運動を記録したリアルタイムMRI動画を1名あたり約1時間収集した。データのブラウジング環境を構築し、音声器官(舌、唇、口蓋、咽頭壁など)の輪郭を自動抽出する技術を開発した。このデータを利用して、①モンゴル語母音調和に関する舌根位置の関与を示した論文、②日本語発話末に生じる撥音の調音位置が直前母音によって決まっていることを示した論文、③日本語ワ行子音の調音が定説となっている二重調音ではなく、主に両唇の接近によって行われていることを示した論文を発表した。さらに日本語のラ行子音に関する分析も発表した。
著者
川村 直子 北村 達也 Naoko KAWAMURA Tatsuya KITAMURA
出版者
甲南大学
雑誌
甲南大学紀要. 知能情報学編 = Memoirs of Konan University. Intelligence & Informatics Series (ISSN:18830161)
巻号頁・発行日
vol.13, no.2, pp.111-122, 2021-02-10

音声障害のリハビリテーション(音声リハビリ)で行う音声訓練において,発声時の顔面の皮膚振動感覚は効率の良い発声状態を表すとして重視されている.しかしながら,顔面の皮膚振動感覚はあくまで患者の主観に基づいた感覚であり,指導する言語聴覚士が患者の顔面の皮膚振動を把握することは現状では難しい.さらに,音声訓練中の顔面の皮膚振動について検証した報告は今のところ見受けられない.そこで,本研究では,音声リハビリ経験のある言語聴覚士を対象に,顔面の振動感覚を重視する3つの音声訓練法を用いて,スキャニング型レーザドップラ振動計により発声時の顔面の皮膚振動速度パターンを計測したので報告する.
著者
北村 達也 吐師 道子 能田 由紀子 川村 直子
出版者
甲南大学
雑誌
挑戦的萌芽研究
巻号頁・発行日
2016-04-01

本研究では,音声器官の形状や機能,基礎的な発話能力に病的な問題がないにもかかわらず,日常的に発話のしにくさを自覚する人々の実態を調査した.まず,15大学の学生約2,000名を対象にしてアンケート調査を実施し,調査対象の31%が普段の会話で発音がうまくいかないと感じていることを示した.次に,MRI装置などを用いて,発話のしにくさを自覚する人の音声器官の形状や機能に見られる特徴を調査した.さらに,ペンや割り箸などの細い棒を前歯で噛んだ状態で練習をする発話訓練法について調査し,この方法を用いることによって,下顎や舌の動きが大きくなり,1つ1つの音が明瞭に発声されるようになることを示した.
著者
北村 達也 能田 由紀子 吐師 道子 竹本 浩典
出版者
一般社団法人 日本音響学会
雑誌
日本音響学会誌 (ISSN:03694232)
巻号頁・発行日
vol.75, no.3, pp.118-124, 2019-03-01 (Released:2019-09-01)
参考文献数
13
被引用文献数
1

日本国内の15大学の日本語を母語とする大学生,大学院生を対象にして日常的な発話のしにくさの自覚に関するアンケート調査を行った。調査は質問紙法により実施した。回答のうち,言葉や聞こえの問題がないと回答した1,831名を対象に分析した。その結果,普段の会話で発音がうまくいかないと感じることが「ある」又は「どちらかと言えばある」と回答した者は全体の31.0%であった。男女別に分析すると,男性の35.5%,女性の24.4%が普段の会話で発音がうまくいかないと感じることが「ある」又は「どちらかと言えばある」と回答し,発話のしにくさを自覚する人は自分の音声が聞き返されることが多いと感じる傾向があった。
著者
北村 達也 正木 信夫 島田 育廣 藤本 一郎 赤土 裕子 本多 清志
出版者
一般社団法人 日本音響学会
雑誌
日本音響学会誌 (ISSN:03694232)
巻号頁・発行日
vol.62, no.5, pp.379-382, 2006
参考文献数
8
被引用文献数
13

MRI装置の普及と高磁場化に伴い,撮像時の騒音は無視できない問題となっている。しかし,装置内の騒音測定には磁性体を含む一般的な装置を利用することができない。また,強磁場下で利用可能な測定装置を使っても,その一部に導電体が含まれていればRFパルス(電磁波)に起因するノイズが混入する可能性がある。本研究では非導電体のみで構成された光マイクロホンを用いてこの問題を解決し,1.5TのMRI装置を対象にしてSpin-echo T1強調,Fast spin-echo T2強調,RF-FAST,及びSingle-shot EPIの4種の撮像シーケンスの騒音を測定した。その結果,これらの騒音の音圧レベルはそれぞれ112.6dB,112.5dB,107.8dB,110.6dBであった。
著者
北村 達也
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. SP, 音声 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.107, no.282, pp.49-54, 2007-10-18
参考文献数
15
被引用文献数
1

物真似音声が似ていると知覚される要因を調べるため,プロの物真似タレントによる物真似音声と対象話者の音声を比較した.2つの文章音声を分析した結果,基本周波数の平均値は対象話者の音声より20Hz前後高く,その変動パターンはこれらの話者の間でよく似ていた.スペクトルに関しても,その概形や第1,第3,第4ホルマント周波数が対象話者のもに近付けられていた.さらに,声帯音源特性を表す,DFTスペクトルの第1,第2調波の振幅差(H1-H2)もこれらの話者間で近い値を示した.一方,第2ホルマント周波数は話者間で異なっており,音節継続時間長は対象話者のものに近付ける傾向が見られなかった.
著者
竹本 浩典 北村 達也 足立 整治 モクタリ パーハム 田部 洋祐
出版者
独立行政法人情報通信研究機構
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2009

下咽頭腔は喉頭腔と左右の梨状窩からなり、音声の個人性(声のその人らしさ)の生成要因である。本研究では、まず下咽頭腔を3次元で音響解析し、声道伝達関数に2つの深い零点を生成するメカニズムを解明した。次に声道と音源の相互作用を考慮した声帯振動モデルを構築し、下咽頭腔が音源波形に与える影響を検討した。その結果、下咽頭腔は音源より声道伝達関数により多くの個人性の要因を与えることが明らかになった。
著者
北村 達也 天川 雄太 波多野 博顕
出版者
日本音声学会
雑誌
音声研究 (ISSN:13428675)
巻号頁・発行日
vol.23, pp.165-173, 2019-12-30 (Released:2019-12-30)
参考文献数
29

おそ下がりは,アクセント核に後続するモーラに基本周波数の下がり目が生じる現象である。本研究では,東京方言話者の男性21名,女性27名,計48名が読み上げた230語の単語音声を対象にしておそ下がりの生起条件を調査した。その結果,おそ下がりは(1)男性よりも女性の方が生じやすい,(2)中高型よりも頭高型の語に現れやすい,(3)語に含まれるモーラ数が多い方が現れやすい,(4)アクセント核のあるモーラに後続するモーラに広母音を持つ語で現れやすいことが示された。
著者
北村 達也
出版者
甲南大学
雑誌
挑戦的萌芽研究
巻号頁・発行日
2012-04-01

本研究では,発声時や歌唱時の体表面の皮膚振動パターンを計測する方法,さらには発声訓練において皮膚振動を視覚的にフィードバックする方法について検討した.まず,歌唱時の皮膚振動パターンをスキャニング型レーザードップラ振動計により計測した.そして,裏声と地声により顔面の皮膚振動パターンが異なること,歌声の基本周波数によって前額の皮膚振動のパワーが増加することなどを明らかにした.また,ストロー発声に基づく発声訓練において口唇部の皮膚振動の情報をフィードバックするシステムを開発した.10名を対象にした評価実験の結果,このシステムを利用することによって訓練効果が向上することが示された.
著者
北村 達也 真栄城 哲也 竹本 浩典
出版者
甲南大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2019-04-01

鼻腔は複雑な形状をもっており,さらに大小さまざまな副鼻腔が接続されている.鼻をつまんで声を出せば声質が変わることからもわかるように,鼻腔や副鼻腔は音声の生成に大きく寄与しているが,従来,鼻腔や副鼻腔の影響は軽視され,それらの音響特性は十分に検討されてこなかった.本研究では,X線CTデータを用いて詳細な3次元形状を抽出し,音響計測や音響シミュレーションなどによって音響特性や個人差を明らかにする.
著者
梅谷 智弘 的場 瞳 榎本 佐知子 陸 鳴宇 北村 達也
出版者
一般社団法人 日本機械学会
雑誌
ロボティクス・メカトロニクス講演会講演概要集 2022 (ISSN:24243124)
巻号頁・発行日
pp.1P1-Q01, 2022 (Released:2022-12-25)

This paper describes a rapid development of a support robot system for a librarian service desk using a tabletop communication robot. It is important issues that the remote operation of the librarian service desk for the convenience of the visitors and the efficiency of the librarians. We developed a robot system that interacts with high accuracy and low latency in a short period of time using a cloud service for speech recognition and synthesis functions. We conducted participant experiments for tasks for the librarian service desk to evaluate the developed robot system. Experimental results showed the feasibility of the developed systems.
著者
藤本 雅子 北村 達也 船津 誠也 Masako FUJIMOTO Tatsuya KITAMURA Seiya FUNATSU
出版者
甲南大学
雑誌
甲南大学紀要. 知能情報学編 = Memoirs of Konan University. Intelligence & Informatics Series (ISSN:18830161)
巻号頁・発行日
vol.14, no.2, pp.103-113, 2022-02-01

標準語話者の有声,無声の破裂音/g/,/k/の調音と音声の特徴を/agise/,/akise/の検査語を用いて検討した.音声では閉鎖区間,formant onset time (FOT),子音区間は/k/が/g/より長く,先行母音と後続母音は/g/に隣接する場合に/k/に隣接する場合より長かった.先に報告した同じ話者の調音上の特徴に,閉鎖区間が/k/が/g/より長いこと,閉鎖のタイミングが/k/が/g/より早いことがあった.これらはそれぞれ音声上の閉鎖区間が/k/が/g/より長かったこと,/g/に先行する母音が/k/に先行する場合より長かったことに対応する.MRIの/g/,/k/の最大閉鎖フレームのトレース画を用いた計測では,/k/は/g/に比べ正中面上の閉鎖の範囲が長い傾向が見られたが,咽頭面積は個人差が大きく/g/と/k/で一定の傾向が確認できなかった.
著者
北村 達也 天川 雄太 波多野 博顕
出版者
日本音声学会
雑誌
音声研究 (ISSN:13428675)
巻号頁・発行日
vol.23, pp.165-173, 2019

<p>おそ下がりは,アクセント核に後続するモーラに基本周波数の下がり目が生じる現象である。本研究では,東京方言話者の男性21名,女性27名,計48名が読み上げた230語の単語音声を対象にしておそ下がりの生起条件を調査した。その結果,おそ下がりは(1)男性よりも女性の方が生じやすい,(2)中高型よりも頭高型の語に現れやすい,(3)語に含まれるモーラ数が多い方が現れやすい,(4)アクセント核のあるモーラに後続するモーラに広母音を持つ語で現れやすいことが示された。</p>
著者
北村 達也
出版者
一般社団法人 日本音響学会
雑誌
日本音響学会誌 (ISSN:03694232)
巻号頁・発行日
vol.76, no.12, pp.700-705, 2020-12-01 (Released:2021-03-10)
参考文献数
42
著者
淺井 優介 北村 達也 川村 よし子 Yusuke ASAI Tatsuya Kitamura Yoshiko KAWAMURA
出版者
甲南大学知能情報学部
雑誌
甲南大学紀要.知能情報学編 = Memoirs of Konan University. Intelligence & Informatics Series (ISSN:18830161)
巻号頁・発行日
vol.13, no.1, pp.67-75, 2020

日本語教育が必要な児童向けの教材作成の基礎データを提供するために,NHK Eテレの小学生向け教育番組の音声を書き起こし,語彙表を試作した.低学年向け17番組計510分,高学年向け19番組計570分を音声認識を利用して書き起こし,その中に現れた単語を有用度指標にもとづいて降順に並べ,語彙表を作成した.得られた語彙表は,先行研究にて作成された書き言葉コーパスに基づく語彙表よりも易しい単語が抽出されており,本研究の方法論の有効性が示された.
著者
北村 達也 川村 よし子 Tatsuya Kitamura Yoshiko Kawamura
出版者
甲南大学
雑誌
甲南大学紀要. 知能情報学編 = Memoirs of Konan University. 甲南大学 編 (ISSN:18830161)
巻号頁・発行日
vol.10, no.1, pp.25-33, 2017

日本語学習者を対象とした慣用表現の効率的な教育(学習)を実現するため,朝日新聞,毎日新聞,読売新聞の2014 年の記事データベースを対象にして出現頻度の高い慣用表現のリストを作成した.まず,宮地(1982)『慣用句の意味と用法』,森田(2010)『日本語の慣用表現』に掲載された慣用表現に異表記を追加し,6,378 個の慣用表現を得た.次に,3 紙の合計で約490 万文を対象として,慣用表現の出現頻度を計数した.そして,各紙における出現頻度上位100 位のうち,3紙すべてに共通して現れる慣用表現を求めた.これによって,新聞による偏りを排除し,使用頻度が高く学習者に有用な慣用表現リストが得られた.
著者
北村 達也 伊藤 仁 蒔苗 久則 齋藤 毅 網野 加苗 竹本 浩典
出版者
甲南大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2013-04-01

本研究では,話者の声質の多様性を生み出す身体的な基盤について,生体観測技術と数値音響解析技術を用いて検討を行い,以下の成果を得た.(1) 発話運動の形態と動態を3次元MRI同期撮像法により計測し,対応する音声と組み合わせ,データベースを構築した.(2) このデータベースに基づいて発話器官のモデルを開発した.(3) 声質への寄与が大きい鼻腔・副鼻腔の音響特性を解析した.(4) プロの物真似タレントの物真似発話時,および声優の発話時の声道形状を観測し,声質の多様性を生み出す原理を調査した.(5) 磁気センサシステムのセンサを改良し発話への影響を軽減するセンサを開発した.このセンサは市販されている.
著者
北村 達也 Tatsuya Kitamura
出版者
甲南大学知能情報学部
雑誌
甲南大学紀要. 知能情報学編 = Memoirs of Konan University. Intelligence & Informatics Series (ISSN:18830161)
巻号頁・発行日
vol.11, no.2, pp.209-215, 2019-02-28

日本語教育用の教科書に含まれる単語がその教科書において初めて現れる課(初出課)を自動的に判定するシステムを開発し,その利用状況を調査した.その結果,2018年4月1日から7月31日までの四半期に10,000回を超えるアクセスがあり,そのうちの約9割は日本国内からのアクセスであった.また,利用者100名を対象としたアンケート調査の結果,利用者の約6割が日本語教師を職業としている人であった.そして,利用者の約8割がこのようなシステムの有無が教科書の選定に影響すると回答した.