著者
竹本 浩典
出版者
独立行政法人情報通信研究機構
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2012-04-01

歌唱中のソプラノ歌手の声道を磁気共鳴画像法で計測し、声道の第1、第2共鳴の周波数(R1、R2)を、声帯振動の第1、第2倍音の周波数に一致させるフォルマント同調において、声道のどの部分を制御しているかを検討した。その結果、R1は咽頭腔と喉頭腔の接合する角度を調整することで、R2は口腔前部の大きさと口唇での狭めで調整していることが明らかになった。さらに、高音域では、R1を上昇させる声道形状の制御によって、喉頭腔の音響的な独立性が低下して歌唱フォルマントが生成されなくなることが示唆された。
著者
竹本 浩典 北村 達也 足立 整治 モクタリ パーハム 田部 洋祐
出版者
独立行政法人情報通信研究機構
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2009

下咽頭腔は喉頭腔と左右の梨状窩からなり、音声の個人性(声のその人らしさ)の生成要因である。本研究では、まず下咽頭腔を3次元で音響解析し、声道伝達関数に2つの深い零点を生成するメカニズムを解明した。次に声道と音源の相互作用を考慮した声帯振動モデルを構築し、下咽頭腔が音源波形に与える影響を検討した。その結果、下咽頭腔は音源より声道伝達関数により多くの個人性の要因を与えることが明らかになった。
著者
隅田 英一郎 山本 博史 山本 博史 パウル ミヒャエル
出版者
独立行政法人情報通信研究機構
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2007

構文、換言の利用、多言語向き形態素解析等、翻訳の高度化を行い、翻訳品質評価に基づく言語間距離を計算する方式を提案した。「英語話者の学習時間」は、フランス語などは短く、アラビア語、中国語、日本語は長いことは提案距離で説明できる。しかし、後者の3言語の「学習時間」は同じであり、英語との距離差では説明できない。より精緻な距離の創出が今後の課題である。また、副産物として21言語の全組合せ420通りの翻訳システムを構築した。
著者
津川 卓也 齋藤 昭則 大塚 雄一 西岡 未知 中田 裕之 齋藤 享
出版者
独立行政法人情報通信研究機構
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2010

国内外のGPS受信機網データから、電離圏全電子数や電離圏擾乱指数、GPSロック損失率等の2次元マップを作成し、データベース化した。これらのデータを用い、伝搬性電離圏擾乱やプラズマバブル等の電離圏擾乱の統計的性質を明らかにすると共に、衛星測位への影響について調べた。日本上空については、全電子数リアルタイム2次元観測を開始し、東北地方太平洋沖地震後に津波波源から波紋状に拡がる電離圏変動の詳細を世界で始めて捉えた。
著者
松尾 真一郎 森山 大輔 﨑山 一男
出版者
独立行政法人情報通信研究機構
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2012-04-01

RFIDタグやセンサーなど計算能力やメモリが制限されていて、パソコンやサーバ向けに設計された暗号化や認証のための技術が利用できないデバイスにおいても、安全な通信や認証を行うために、安全性が証明されるとともに実際のデバイスにも実装可能な軽量な暗号プロトコルを設計し実装するための研究を行った。その成果として、PUFと呼ばれる、デバイスの製造時の物理的差異を用いた暗号プロトコルを設計し、その安全性を証明するとともに、実際のデバイスにおける安全性を統計学的に示した。また、RFID用の認証プロトコルを実装する際のハードウエア実装の性能評価を行い、実用に向けた技術的な目安を示した。
著者
山肩 洋子
出版者
独立行政法人情報通信研究機構
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2006

一般の調理者が自作の料理のレシピを作成し,WEBを通じて公開する例が急増している。料理法は言葉だけで説明するのは難しいので,一般の調理者にもテレビの料理番組のような教示コンテンツを作れるよう,調理中にエージェントが調理者と対話することで音声解説を加えたり,映像編集を行うシステムの実現をめざした。本年度は主に調理映像とレシピとの対応付けに注目し,(i)調理開始から終了までの一連の調理映像をレシピと対応付ける仕組みと,(ii)調理者の手の動きから食材の変遷を獲得する仕組みについて研究を行った。まず(i)については,調理の過程をフローグラフで表現する方法を利用し,映像認識結果とレシピをグラフレベルで対応付けることで,映像認識にある程度誤りが発生しても最適なマッチングを選ぶことで正しく対応付けることができることを示した。次に(ii)については,(i)において食材の変遷を認識することが重要であることが示されたことから,調理台を上方から撮影した映像より各食材を追跡することを考えた。食材は見た目が多様で,加工を受けて変化し,かつ混ぜられることでその個数も変わるため,視覚的特徴のみによる追跡は困難である。しかし食材の変化にはかならず調理者が介在することから,調理者の手の動きを抽出することで変化した食材を特定し,食材の追跡を行う仕組みを提案した。以上のような情報システムによる調理活動支援の試みは,日々の食事管理により病気を未然に防ぐことの必要性が叫ばれている昨今では,より重要なものとなっている。そこで京都大学教授の美濃導彦を中心に,電子情報通信学会の第三種研究会として「料理メディア研究会」を発足し,申請者もその幹事補佐として,調理支援に限らず健康医学や食育などの幅広い観点から人間の食を支援する情報システムのありかたを議論する活動を行ったことも本研究の成果の一つである。
著者
池添 貢司
出版者
独立行政法人情報通信研究機構
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2013-04-01

霊長類の左右の眼それぞれに投影される外界の像の間には、ずれ(両眼視差)が生じる。両眼視差は奥行き知覚ための手がかりとなり、多くの視覚関連領野で処理される。本研究課題では、両眼視差情報の情報処理に関わる神経回路を解明するための計測技術として、げっ歯類などの小動物で用いられていた生体内2光子カルシウムイメージング法をサルの視覚野で確立した。この方法を用いてサルの一次視覚野細胞の、応答特性に基づいた空間的な配列を細胞レベルの分解能で明らかにし、論文発表を行った。
著者
王 立華 WANG Licheng CAO Zhenfu 満保 雅浩 SHAO Jun 青野 良範 BOYEN Xavier LE Trieu Phong 田中 秀磨 早稲田 篤志 野島 良 盛合 志帆
出版者
独立行政法人情報通信研究機構
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2011

従来の公開鍵暗号システムは量子計算機の発展に伴い安全性が揺らぎつつあるため、Lattice暗号と非可換暗号の研究によって、量子攻撃に耐えられる新しい暗号の構築を目指している。一方、クラウドコンピューティングというネットワーク環境が発展するにつれて、利便性が要求されると同時に、安全面やプライバシー保護への需要も高まってくる。そこで、この需要に応じる代理再暗号(PRE)や準同型暗号など暗号プリミティブとLattice、Braidなど非可換代数構造のプラットフォームを結合して、量子攻撃に耐えられ、クラウドなど新な応用環境に適応する長期利用可能な新しい暗号方式を設計することが本課題の目的とする。
著者
滝澤 修 久田 嘉章 細川 直史 久田 嘉章 細川 直史 柴山 明寛
出版者
独立行政法人情報通信研究機構
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2005

大規模災害時の被災地調査システムとして、RFID(電子タグ)リーダ・ライタ、GPS、GIS(地理情報システム)と携帯型パソコンを組み合わせた端末の研究開発を行った。RFIDを情報交換用の記憶媒体とするほか、GPSを補完する位置情報源として用い、調査作業の負担軽減及び時間短縮を実現した。
著者
関口 秀紀
出版者
独立行政法人情報通信研究機構
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2006

情報機器の1つであるPC(Personal Computer)が動作時に非意図的に放出する電磁雑音を受信することによって、モニタ表示画像が再現される情報漏洩問題が顕著化し、PCおよびATM端末のような街角端末で表示する情報の漏洩が懸念されている。そこで、電磁雑音に起因するモニタ表示画像の情報漏洩を定量的に評価する方法を確立し、国際標準化機関に提案すると共に、本情報漏洩を防止するソフトウェア的な対策技術の研究・開発を行った。
著者
馬田 一郎 鈴木 紀子 鳥山 朋二
出版者
独立行政法人情報通信研究機構
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2008

共同作業における作業ミス予測のため、視線検出装置・モーションキャプチャー装置などのセンサによるデータと発話データを用いてミスコミュニケーションが起こりやすい状態を推定することを目標とした。分析の結果、ミス予測については、各作業者が並列で作業を行う状態が続いている状態で共同注視の発生頻度が低い場合、ミスコミュニケーションの発生頻度が高くなる可能性が示唆されたが、共同注視が起こらない場合には必ずミス発生につながるという訳ではないことが観察された。この結果から、現状ではミスを起こしやすい作業チームを共同注視推測データから分類する可能性は有望であるものの、このデータを作業現場でのリアルタイムのミス予防にそのまま応用することは困難であることが示された。