著者
竹本 浩典 北村 達也 足立 整治 モクタリ パーハム 田部 洋祐
出版者
独立行政法人情報通信研究機構
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2009

下咽頭腔は喉頭腔と左右の梨状窩からなり、音声の個人性(声のその人らしさ)の生成要因である。本研究では、まず下咽頭腔を3次元で音響解析し、声道伝達関数に2つの深い零点を生成するメカニズムを解明した。次に声道と音源の相互作用を考慮した声帯振動モデルを構築し、下咽頭腔が音源波形に与える影響を検討した。その結果、下咽頭腔は音源より声道伝達関数により多くの個人性の要因を与えることが明らかになった。
著者
足立 整治
出版者
物性研究刊行会
雑誌
物性研究 (ISSN:06272997)
巻号頁・発行日
vol.62, no.5, pp.664-674, 1994-08-20

この論文は国立情報学研究所の電子図書館事業により電子化されました。
著者
足立 整治
出版者
物性研究刊行会
雑誌
物性研究 (ISSN:05252997)
巻号頁・発行日
vol.62, no.5, pp.664-674, 1994-08-20
被引用文献数
1

金管楽器発音を2種類の唇振動モデルを用いて定式化した。1つは垂直振動モデルであり、そこでは両唇が気流に対して垂直方向に運動する。もう1つは'扉開閉'モデルであり、そこでは唇は外向きに回転運動を行う。定式化によって得られた発音の物理モデルを用い、時間領域シミュレーションを行った。その結果、両方の唇振動モデルで金管楽器の自励発振が可能であることがわかった。唇の固有周波数を変化させることにより、少なくとも第1から第8楽器共鳴モードで持続発振が得られた。自然楽器音によって作り出される発音と同じように、合成された発音に音のピッチ・強弱に伴う音色の変化が生じることが示された。ペダル音、第3共鳴モードより1オクターブ低い発音等の複数の楽器入力インビーダンスビークの共同作用を伴った発振体制も得られた。
著者
足立 整治
雑誌
全国大会講演論文集
巻号頁・発行日
vol.45, pp.45-46, 1992-09-28

人間の思考、推量、感情といった高次脳機能の解明は脳科学の中で最も興味深い分野のひとつである。この高次脳機能を解明するための数理的モデルの第一歩としてトライオン神経回路網が提案されている。また回路網によって生成される時空間パターンの複雑さを応用して作曲が試みられている。この得られた音楽を評価するためスペクトル分析を行った。高次脳機能は、i)大脳皮質の広範囲な領域を必要とする,ii)数10秒もの期間持続する,iii)必ずしも入力刺激を必要としたい機能と特徴づけることができる。例としては、作曲・音楽の想起、数学的思考・直感、あるいは囲碁・将棋などのゲームでの判断があげられる。高次脳機能と対照的なものとして、文字・人の顔などのパターン認識が考えられる。これは、限られた皮質野で、普通数100m秒のうちに行なわれる。したがって、高次脳機能には、パターン認識に比べて何10倍ものニューロンの100倍以上も長い期間にわたる発火の時空間パターンが関与していると考えられる。大脳皮質の情報処理のモデル化にあたって考慮しなければならないのはコラム構造である。視覚野にコラム構造があることはよく知られている。Mountcastleはコラム構造が大脳皮質全体に分布しており、1つのコラムが情報処理の基礎的エレメントであるという仮説を提案している。以下ではこのコラムの数学的理想化をトライオンと呼ぶ。少数のコラムで形成されるネットワークのダイナミクスを記述する数理的モデルがトライオン回路網モデルである。
著者
竹本 浩典 足立 整治 北村 達也 本多 清志 モクタリ パーハム
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. SP, 音声 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.105, no.97, pp.13-17, 2005-05-19
被引用文献数
2

喉頭腔の音響特性を求めるため, 5母音の声道断面積関数を用いて共鳴モード解析を行った.その結果, 喉頭腔の共鳴周波数付近では, 喉頭腔と咽頭腔との接続部で体積速度が増大するため, 喉頭腔を除く声道部分(主声道)に両端を開口端とする共鳴モード(開管共鳴)が生じることが示され, その共鳴は本研究に用いた声道では第4フォルマントであった.それ以外のフォルマントでは喉頭腔と咽頭腔との接続部における体積速度が小さいため, この部分を閉鎖端として主声道に片開き管の共鳴モード(閉管共鳴)が生じることも明らかになった.
著者
北村 達也 竹本 浩典 足立 整治 モクタリ パーハム 本多 清志
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. SP, 音声 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.106, no.178, pp.43-48, 2006-07-14

声帯振動に伴う声門開口面積の変化が喉頭腔で生じる共鳴(喉頭腔共鳴)に与える影響を調査した.成人男性3名の日本語5母音発声時の声道伝達特性を声門閉鎖および開放の条件で計算した結果,喉頭腔共鳴は声門閉鎖時にのみ3.0kHzから3.7kHzの周波数帯域に生じ,声門開放時には消失することが明らかになった.さらに,母音の実音声の声門閉鎖および開放区間を対象としたスペクトル分析によって,喉頭腔共鳴がピッチ周期内で出現と消失を繰り返すことが示された.これらの現象は,声門閉鎖時には喉頭腔が閉管となることにより喉頭腔共鳴が生じ,声門開放時には喉頭腔が開管となることにより喉頭腔共鳴が消えると説明できる.
著者
ユー ジェイソン 足立 整治
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. SP, 音声 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.103, no.332, pp.23-28, 2003-09-23
参考文献数
8

気流に平行と垂直の両方向に振動する声帯の機械モデルを用いた音声の合成を行なう.このモデルは,2質量モデルにみられるような発音周波数の急激な変化をともなうことなく,インダクティブな音響負荷における発声からキャパシティブな音響負荷における発声へのなめらかな遷移をシミュレートできる.また,日本語5母音の声道形状を用いて音声合成を行なったところ,合成音声は2質量モデルによる合成音声と同等の品質を持つことが分かった.
著者
畑 雅恭 井手口 哲夫 安川 博 内匠 逸 奥田 隆史 北村 正 足立 整治 山口 栄作 田 学軍
出版者
中部大学
雑誌
基盤研究(A)
巻号頁・発行日
1999

1.大気環境で計測される放射電磁波の一部は、地殻からの放射である事が観測と研究を通じて明らかになった。高感度な観測機器システムを開発し、北海道釧路から九州熊本まで中部日本を中心に約40個所の観測点を配置し、3軸磁界6秒毎の観測を24時間体制で実施し、地震・火山噴火活動に対応した電磁波前兆を検出し、事象との対応の調査と取得データの解析を行った。2.2000年夏の三宅島火山噴火活動、2001年春の静岡県中部地震活動、秋から暮れにかけて富士山低周波地震活動、2002年春より伊勢湾周辺の潜り込むフィリピン海プレート境界での地震の多発、2002年2月中旬より宮城県北部や県沖での地震活動、2003年初めより東海道沖地震活動など多くの地殻活動イベントが発生したが、それらに対応した特異な電磁放射を観測でき、多くのデータを収集した。大規模な平成15年5月の三陸南地震M7.0では、宮城県北部で約1年3ヶ月の長期の電磁波前兆が観測され、事態の推移をフォローした。観測点周辺の地殻異常の判断が正しかったことと、1年程度の事前放射異常の存在が確認された。観測事象のネットワーク公開も平成13年秋より実施し多数の閲覧を得ている。3.電磁波の放射状態から地殻歪の集積状態やその移動・推移状態が推定できれば、事態を予測する上で意義が高い。音響学的解析により、放射特徴量の抽出とパターン化、およびそのデータベース化を行った。地震の前に標準パターンからの偏移異常が発生したことを確認した。また、デジタル信号処理による独立成分解析によって熱帯雷放射雑音の分離除去が可能となった。また主成分解析によって前兆放射の特徴抽出、電磁放射領域の特定について評価し成果を得ることができた。4.活動の予測される地域を垂直電磁放射波の検出範囲である約20kmメッシュ毎に詳細観測すれば、地震・火山噴火の規模と活動域のほか事態の推移について多くの情報が得られることがわかった。今後、関東南部、東南海等の活動の予測される地域において、電磁波前兆観測の性能と限界を評価する必要がある。
著者
中村 勲 井戸川 徹 田口 友康 永井 洋平 永井 啓之亮 足立 整治
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会研究報告音楽情報科学(MUS)
巻号頁・発行日
vol.1998, no.14, pp.1-12, 1998-02-13

音楽音響国際シンポジウム97(SMA'9)は1997年8月19日から22日まで、エジンバラ大学(エジンバラ、スコットランド)で開催された。会議は英国音響学会、Catgut音響学会とヨーロッパ音響学連合が共同して組織した。8月22日には古楽器に関する音響と技術について、Galpin学会と合同の幾つかのセッションが開催された。音楽音響のあらゆる分野にわたって、凡そ100篇の招待論文と投稿論文が発表された。この会議の概要と、大部分の発表論文についての要旨を報告する。The International Symposium on Musical Acoustics 1997 (ISMA'97) took place at The University of Edinburgh, Edinburgh, Scotland on 19-22 August 1997. The meeting was organized in association with the Institution of Acoustics (UK), the Catgut Acoustical Society and the European Acoustical Association. On August 22, several joint sessions were held with the Galpin Society on Historical Musical Instrument Acoustics and Technology. About 100 invited and contributed papers were presented, covering all areas of musical acoustics. An outline of this meeting and each abstract of almodt presented papers are reported.