著者
七木田 敦 増田 貴人
出版者
日本アダプテッド体育・スポーツ学会
雑誌
障害者スポーツ科学 (ISSN:13486055)
巻号頁・発行日
vol.1, no.1, pp.25-31, 2003-04-01 (Released:2017-10-02)
被引用文献数
2

本研究では、発達性協調運動障害(以下、DCD)のある幼児に、運動協応性を必要とする両手でのボール転がし課題を実施して、その練習段階における学習を検討した。DCDが疑われる幼児9名(DCD群)と統制群9名(CON群)とを抽出し、対象児には、2種類の練習課題の後、新奇なテスト課題を実施した。DCD群はCON群よりも低成績だったが、両群とも練習により成績は向上しており、特にDCD群の成績は大きく変動していた。DCDのある幼児は、新奇な課題には順応が容易ではなく、以前の練習による経験が想起されるまでに時間を要するが、練習によってある程度のパフォーマンスの向上を望めることが示唆された。
著者
森 楙 七木田 敦 青井 倫子 廿日出 里美
出版者
広島大学
雑誌
広島大学教育学部紀要. 第一部, 教育学 (ISSN:09198660)
巻号頁・発行日
vol.40, pp.181-186, 1992-03-27

本研究の目的は, 行事場面における保育者の行動特性を組織的観察法を用いて明らかにすることにあった。結果から, 次の3点が明らかとなった。(1)自由遊び場面に比較して, 行事場面では保育者の働きかけは「支配的」になりやすく, 幼児の「依存的」な反応も多くなる。(2)保育形態として設定保育を取り入れている園は, 自由保育を取り入れている園よりも行事場面ではより「支配的」になりやすい。(3)行事場面にも, 幼児の創意工夫が生かされるような保育者の配慮があれば幼児の自立性が出てくるので, 行事の内容及び進め方を工夫する必要がある。行事の教育的意義を保育に生かすために, 親との提携は必要不可欠である。そのため親の行事に対する考え方を明らかにすることは, 従来の幼稚園・保育所主導の行事を再考するうえで有効であると考えられる。今後, この点を実証的に検討していく予定である。The purpose of this study was to analyze the mutual interactions between teachers and children in annual events activities of nursery school (y#ochien) comparing with play activities.A systematic observation method was adopted in this research. The authors especially devised two kinds of observation categories to check (1) active behaviors of a teacher on young children, (2) responsive behaviors of the teacher to their active behaviors. Annual events, including with "the short trip", "Onigiri (rice ball) party", "Mochitsuki (rice-cake making)", "Yakiimo (baked sweet potatoes)", and "presentation of singing songs, dancing, and operetta. etc.", were conducted to observe the behaviors of the teacher and children.The following are the main results;1. Compared with play activities, the teacher's behaviors were inclined to directive in events activities. In some events activities that had less strict in schedule, the teachers behaviors were inclined to supportive.2. Supportive behaviors of teacher, such as praise, suggestion, approval, etc, fostered the independent, supportive behaviors and active interactions among children in events activities.3. Some modifications of the content of events activities, such as less restricted environment and more freedom in schedule, will draw out and develop children's independent and spontaneous behaviors.
著者
久原 有貴 関口 道彦 小鴨 治鈴 松本 信吾 七木田 敦 杉村 伸一郎 中坪 史典 上田 毅 松尾 千秋
出版者
広島大学学部・附属学校共同研究機構
雑誌
学部・附属学校共同研究紀要 = The Annals of educational research (ISSN:13465104)
巻号頁・発行日
no.43, pp.25-33, 2014

昨今,子どもの健康問題から,幼児期の身体活動の重要性が注目されている。本研究は,森の中で遊びを中心とした保育を行っている森の幼稚園(広島大学附属幼稚園)での身体活動量と体力・運動能力との関係を明らかにした。研究1では5歳児クラスの幼児を対象に歩数という指標を用いて身体活動量を測定した。その結果,森の幼稚園の幼児は一般的な幼稚園の幼児よりも保育時間中に多く歩いたり走ったりしていた。研究2では3~5歳児クラスの幼児を対象にMKS幼児運動能力検査を用いて体力・運動能力を測定し,また,身体活動量と体力・運動能力との関係を調べた。その結果,森の幼稚園の幼児の体力・運動能力は平均的であり,歩数が多い幼児ほど瞬発力とスピードが高かった。研究3では,森の幼稚園の卒園児の体力・運動能力を調べた。その結果,森の幼稚園出身の児童の体力・運動能力は,1年生の時点では平均的で,2年生以降になってから平均よりも高くなっていた。このことから,森の幼稚園という保育環境は幼児期に多くの身体的活動を行うことを促し,それが心情面などへの影響を媒介として,小学校入学以降の体力・運動能力に影響を及ぼす可能性があることが示唆された。
著者
谷田 創 七木田 敦 望月 悦子 木場 有紀 森元 真理
出版者
広島大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2009

本研究は,「CoP-AAE:動物介在教育のための実践コミュニティ」の構築による心と体を育む動物介在教育プログラムの開発を目指すものである。日本では、幼稚園などで動物を飼育して、子供達の情操教育に生かすという伝統があるが、実際には、幼稚園の教育の知識不足などから、効果的な教育が実施されず、その結果、飼育動物の福祉も脅かされている。そこで本研究では、Copの構築を通した異分野の共同研究と相互交流により、幼稚園のための動物介在教育プログラムを完成させた。