著者
三時 眞貴子
出版者
広島大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2014-04-01

本研究は、19世紀後半のイギリスにおける「浮浪児」の教育実態を、浮浪児を収容した寄宿制インダストリアル・スクールに残された入学記録、退校記録、各種委員会の議事録等、これまで使われたことのない一次史料を用いて明らかにすることを目的とした。マンチェスタ認定インダストリアル・スクールへの入所は浮浪児処遇の唯一の対応策ではなかったが、浮浪児を地域社会に包摂する手段としては決定的に重要な措置であった。マンチェスタ認定インダストリアル・スクールでは、本来であれば親や親方が責任を持って行う徒弟修行を学校内で行い、退校時にはほとんどすべての子どもたちを就職させることで浮浪児たちを労働者として送り出した。