著者
池知 良昭 三木 恵美
出版者
公益社団法人 北海道作業療法士会
雑誌
作業療法の実践と科学 (ISSN:24345806)
巻号頁・発行日
vol.5, no.2, pp.31-35, 2023-05-31 (Released:2023-05-31)
参考文献数
9

本研究の目的は,がん患者の作業療法の病期別介入指針を明らかにすることである. 方法は,日本作業療法士協会事例報告システムに登録された67例を対象に予防~終末期に おける作業療法目標とアプローチを分析した.結果,自宅復帰,ADL能力の維持・改善 を全病期の目標に認めた.急性期,終末期の目標は患者の心理的苦痛の緩和が多く,創作活動を実施していた.維持期,終末期では家族や他職種への助言・指導が多かった.作業療法士の病期別介入指針として,患者の心理的ストレスが強い時期は,創作活動の導入により患者の心身の安寧を図り,維持期以降,支援者による補完によって作業の達成を図っ ていることが推測された.
著者
勝島 詩恵 今井 芳枝 橋本 理恵子 三木 恵美 荒堀 広美 井上 勇太 長谷 公隆
出版者
日本緩和医療学会
雑誌
Palliative Care Research (ISSN:18805302)
巻号頁・発行日
vol.17, no.4, pp.127-134, 2022 (Released:2022-10-06)
参考文献数
19

本研究では,外来でがんリハビリテーション(以下,がんリハ)を受ける再発・進行がん患者の経験を明らかにし,がんリハの真のエンドポイントを検討することを目的とした.対象はがん薬物療法中でがんリハを行っている再発・進行がん患者13名とし,半構造化面接法を実施した.結果,【自分にあった身体の状態を見つける】【うまく自分の中で生かせる運動が掴めない】【普段と変わりない日常生活を継続できる】【自分が動けていることを周りに示す】【自分で身体を動かしていく愉しみがある】【いまの自分の‘生きる’ことを意味付けてくれる】の6カテゴリーが抽出された.がんリハは再発・進行がん患者に,自身が持つ生きる意味や価値,目的を再確立することで,今の苦しい状況に適応させていく契機になると考えられた.これより,Masteryの獲得が,がんリハにおける新たなエンドポイントになると推察できた.
著者
三木 恵美 清水 一 岡村 仁
出版者
日本作業療法士協会
巻号頁・発行日
pp.48-59, 2009-02-15

要旨:末期がん患者のQOL向上を目指した作業療法実践が報告されているが,その効果を包括的に測り得る評価尺度が明確ではないために,介入効果に関する研究は十分に行われていない.そこで,作業療法士が患者のどのような変化を効果として捉えているかを明らかにするため,半構成的面接を行い質的に分析した.その結果,患者の変化として7カテゴリ,家族の変化として3カテゴリ,人的環境の変化として2カテゴリが得られ,カテゴリは相互作用により患者の生活に良循環を起こすと考えられた.得られたカテゴリは作業療法士がアウトカムとして認識したものであり,末期がん患者に対する作業療法の効果を計る指標として利用できると考えられた.