著者
三木 雅博
出版者
梅花女子大学文化表現学部
雑誌
梅花女子大学文化表現学部紀要 = Baika Women's University Faculty of Cultural and Expression Studies Bulletin (ISSN:24320420)
巻号頁・発行日
no.19, pp.72-93, 2023-03-20

平安朝漢文学の担い手といえば、大学寮で高度な漢学の研鑽を積み、漢語を自在に用いて作詩や作文が行える文人官僚たちを、多くの人は思い浮かべるであろう。菅原道真や大江朝綱、大江匡衡、菅原文時、院政期に降っては大江匡房などがその代表的存在として挙げられる。しかし、平安時代、漢語を用いて漢文を綴っていたのは、これらの名だたる文人官僚たちばかりではない。これらの文人官僚たちの下もと、朝廷で下働きをする官人、あるいは地方の国衙やその出先で働く在地の官人、都や地方の寺院で文書の作成に携わる僧侶など、多くの場所に様々な漢文を綴ることを生業なりわいにしていた人々がいた。こうした人たちが作成する漢文の大半は日常的な文書の類たぐいであり、その役目が終わると廃棄されてしまい、残されたものも歴史の「史料」とはなっても「作品」と呼べるものはほとんど残っていない。とはいえ、中にはそう呼べるものもいくつか存在し―本稿で扱う『尾張国解文』『将門記』『仲文章』などが挙げられる―、細々ほそぼそとではあるが現在まで伝わっている。本稿では、こうした下層の官人や僧侶たちが生み出したと思われる作品や、その作品を形成している漢文の世界に焦点をあて、それらが前述の名だたる文人官僚たちの作成した漢文の世界―彼らの代表作が収められた書物『本朝文粋』の名を取り「『本朝文粋』的漢文世界」と仮称する―と相対的にどのような関係にあるのかを考察し、こうした下層階級の漢文作品の存在意義について述べてみたい。
著者
三木 雅博
出版者
至文堂
雑誌
国語と国文学 (ISSN:03873110)
巻号頁・発行日
vol.77, no.6, pp.61-65, 2000-06
著者
芳賀 紀雄 三木 雅博 村田 正博 新間 一美 内田 賢徳 小島 憲之 栗城 順子 内田 順子
出版者
筑波大学
雑誌
総合研究(A)
巻号頁・発行日
1988

当該研究の中心であり,初の試みでもある島田忠臣の漢詩集『田氏家集』(全3巻)の注釈は,昭和63年度に,巻之上の69首について,小島憲之の指導,芳賀紀雄のとりまとめのもとに,当初の実施計画通り,分担執筆が完了した。また,巻之中の60首についても,平成元年度に原稿を整えた。その成果は,『田氏家集注』と題して,『巻之上』は平成3年2月,『巻之中』は平成4年2月に出版した。さらに,『巻之下』の84首についても原稿の完成を目指しており,平成6年2月に出版の予定である。注釈と並行して作業を進めた『田氏家集』の索引作製は,昭和63年度に完成し,『田氏家集索引』と題して,平成4年2月に出版,また,紀長谷雄の作品集成・本文校定および索引作製も,実施計画通り平成元年度に完了し,『紀長谷雄漢詩文集並びに漢字索引』と題して,平成4年2月に出版した。一方,平安朝前期に至るまでの漢文学に大きな影響を及ぼしたと見られる唐鈔本『翰林学士集』『新撰類林抄』については,本文校定・翻刻ならびに索引作製を平成元年度に完了し,『翰林学士集・新撰類林抄 本文と索引』と題して,平成4年2月に出版した。研究期間中,月に一度ないし二度開いた定例の研究会における研究発表のうち,平成元年度までに執筆の準備がなされ論文として公にされたものは,別記「11」の11篇である。
著者
黒田 彰 後藤 昭雄 三木 雅博 山崎 誠 後藤 昭雄 三木 雅博 山崎 誠
出版者
佛教大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2006

本研究は、古代幼学の実態解明に向けて、孝子伝(図)、列女伝(図)、体腔か陽など、未解明の題材を取り上げ、発展的研究を目差したものである。中で、後述日中共同研究による和林格爾後漢壁画墓の未公開の孝子伝図、列女伝図を含む、全壁画の公開報告書の公刊や、太公家教の現存全本の校本と校訂本文の作成、注解などの公刊(『太公家教注解』、汲古書院)を中心とする、学際的特色をもった成果を齎すことが出来た。