著者
上嶌 一高
出版者
日本刑法学会
雑誌
刑法雑誌 (ISSN:00220191)
巻号頁・発行日
vol.48, no.2, pp.291-295, 2009-02-25 (Released:2020-11-05)
著者
大塚 裕史 小田 直樹 上嶌 一高 宇藤 崇 嶋矢 貴之 池田 公博
出版者
成蹊大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2012-04-01

本研究は、企業内や企業間など、組織内あるいは組織をまたがる形で過失責任がとわれるタイプの犯罪について、研究を行うものである。本研究では、判例分析や文献研究を通じて、その刑事責任の限界や責任追及のための手続きについて論文14件、学会発表2件、書籍1件の成果を挙げている。その内容は、「予見可能性」要件の意義と内実の更なる明確化、実体法と手続法にまたがる新課題への対応方法、単に過失犯が競合した場合と共同していると評価できる場合の区別の3点を主たるものとしている。
著者
三井 誠 酒巻 匡 橋爪 隆 上嶌 一高
出版者
神戸大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
1997

本件研究の目的は、組織的犯罪対策に関する諸問題について、刑事実体法的観点、手続法的観点から包括的な考察を加えつつ、望ましい対策のありかたを提唱する点にあった。とりわけ平成一一年八月に、いわゆる組織犯罪対策関連三法が国会で成立したのを受けて、従来の法制度と改正法制度との比較分析、組織犯罪対策関連三法案の立法過程の調査・分析、ドイツ法・アメリカ法をはじめとする諸外国の法制度との比較法的研究など、多角的な視点のもと、分析作業を進めた。その具体的な内容としては、(1)「犯罪捜査のための通信傍受に関する法律」の規定と、憲法が要請している令状主義と適正手続保障との関連についての研究、(2)いわゆるロッキード事件に関する最高裁判例における刑事免責に関する判断の趣旨・射程範囲の分析、(3)刑事免責制度の導入の可能性に関する立法論・比較法的考察、(4)マネー・ロンダリング処罰を拡大することに関する理論的問題点の検討、(5)組織犯罪における刑の加重と違法要素・責任要素への関連づけの検討、(6)ドイツにおける最近の財産刑制度に関する議論の状況などの諸点である。さらに、刑事実体法的かつ刑事学的関心から、暴力団構成員を中心とする近時の執行妨害事犯の現況に関する調査を行いつつ、競売入札妨害罪をめぐる最近の最高裁判例の当否についても分析を加えることができた。結論として、組織犯罪対策関連三法は基本的に適切な方向にあることが確認されたが、対策として不十分な点や、理論的な正当化が不十分な点など、なお問題点が残されている。もっとも、これらの研究は基礎理論的な考察に多くを費やしたこともあり、その具体的な諸問題への適用については、その研究成果はなお不十分なものである。今後は、具体的な法運用までを視野に入れつつ、さらに継続的に研究を進める必要が残されている。