- 著者
-
池田 公博
- 出版者
- 神戸大学
- 雑誌
- 若手研究(B)
- 巻号頁・発行日
- 2006
職業裁判官と裁判員との協働が求められる裁判員制度において、裁判員の関与が単なるお飾りではない実質的なものとなるための諸条件について検討を加えた。これによれば、職業裁判官は、専門家として審理の進行を適切に整序し、協働の前提となる裁判員の理解を促進することに注力すべきとされる一方、裁判員の側でも、社会生活上の経験をふまえつつも、報道等により形成される予断に左右されることなく、審理において現れた証拠と法に基づき、それらの評価をめぐる裁判官との議論を経て、判断に到達しようとする姿勢が求められる。裁判員制度が目的として掲げる司法に対する信頼の確保は、こうした過程が十全に機能することによってよりよく果たされるものと考えられる。