著者
上田 卓司 安田 孝 椎名 乾平
出版者
日本認知心理学会
雑誌
日本認知心理学会発表論文集 日本認知心理学会第12回大会
巻号頁・発行日
pp.146, 2014 (Released:2014-10-05)

McWeeny, et al. (1987) によって発見された Baker-baker パラドックスは,同じ名でも職業名として憶えるより名字として憶える方が顔との対連合記憶成績が低下する,という現象であり,しばしば固有名の記憶の難しさを示すものとして扱われている.本研究では,文化的背景や名前の多様性等の条件が異なる日本語圏において同様の現象が生起するかを確認するため,人物属性(座右の銘・お気に入りの物事)を表す名詞を用いて,日本語版 Baker-baker パラドックスが見られるか検討することを目的とした.実験において40名の参加者は,印象評定,偶発再生,意図的再生の各課題で顔写真とともに記された人物プロフィール(氏名,人物属性)を学習し,顔写真を手がかりとした再生を行った.その結果,名詞を人物名として記憶する場合と,人物属性を表す名詞として記憶する場合とに顕著な差は認められなかった.
著者
上田 卓司 椎名 乾平 浅川 伸一
出版者
心理学評論刊行会
雑誌
心理学評論 (ISSN:03861058)
巻号頁・発行日
vol.46, no.2, pp.249-273, 2003 (Released:2019-04-12)
被引用文献数
3
著者
上田 卓司 高橋 優
出版者
日本認知心理学会
雑誌
日本認知心理学会発表論文集 日本認知心理学会第15回大会
巻号頁・発行日
pp.128, 2017 (Released:2017-10-16)

現代社会においては,種々のコンピュータ・ネットワークサービスを利用するためのIDやパスワードが多く必要とされ,またそれらの適切な管理運用も求められている.管理運用についての規範は多いが,それらは人間の記憶をはじめとした認知特性とはかけ離れている.本研究ではパスワード様のランダム文字列を複数生成・記憶する課題を通じ,パスワードの生成運用方略を検討することを目的とした.実験において参加者は,実験結果開示用のものを含む架空のサイト/サービス用パスワードを8つ生成し,それらランダム文字列の性質について評定することが求められた.開始前の段階では記憶課題が含まれることは参加者に告げられていなかった.実験の結果,半数以上の参加者において使い回し等,適切とされるパスワード管理運用規範からの解離が認められた.これらの結果について認知特性及び情報セキュリティの観点から論じられた.