著者
上田 誠之助
出版者
公益財団法人 日本醸造協会
雑誌
日本醸造協会誌 (ISSN:09147314)
巻号頁・発行日
vol.93, no.12, pp.947-950, 1998-12-15 (Released:2011-09-20)
参考文献数
5

前報までに古代の酒の変遷について, しとぎ (米粉を固めて造る餅) に着目して解説されたが。今回は現在における全国の神社でのしとぎの分布を調査し, その地域的特徴等からわが国古代史や日本人の起源との関わりに至る部分まで解説して頂いた。
著者
上田 誠之助
出版者
公益財団法人 日本醸造協会
雑誌
日本醸造協会誌 (ISSN:09147314)
巻号頁・発行日
vol.91, no.7, pp.498-501, 1996-07-15 (Released:2011-09-20)
参考文献数
16
被引用文献数
2 2

原始社会において食物は最大の関心事であった。その食物の安定確保を左右するものとして天候, 気候があり, この管理しがたい事象を人間側に有利ならしめるものとLて神まつりがあった。餅と酒は人間側に立つ神を元気付けるもの, あるいは人間に敵対する神を懐柔するためのものであった。餅には2種類あリ, 普通の餅は丸米をついて造るが, しとぎは米粉をこねて造る。筆者は神の食物であるしとぎと酒の関係について研究している。古代の酒造りにも思いを巡らしていただきたい。
著者
上田 誠之助
出版者
公益社団法人日本生物工学会
雑誌
醗酵工学会誌 : hakkokogaku kaishi (ISSN:03856151)
巻号頁・発行日
vol.70, no.2, pp.133-137, 1992-03-25
被引用文献数
1

From a study of various records, the author suggests that Japanese sake may have originated as follows. The Jyomon people (縄文人)-the first inhabitants of Japan-were taught sake brewing by means of chewing rice by the non-Chinese prople who crossed the East China Sea to Japan from the southern part of China in the 5th century BC. Later, the Yayoi people(弥生人)-Chinese prople who came from China or Korea to Japan-taught the Japanese people sake brewing by means of sprouted rice in the 2nd-4th century AD. From the 4th to the 9th centuries AD, the sprouted rice saccharifying agent was improved through adding sprouted rice infected by Aspergillus oryzae to steamed rice infected by Asp. oryzae, that is koji.
著者
中村 豊彦 黒川 隆則 中津 誠一郎 上田 誠之助
出版者
公益社団法人 日本農芸化学会
雑誌
日本農芸化学会誌 (ISSN:00021407)
巻号頁・発行日
vol.52, no.4, pp.159-166, 1978
被引用文献数
9 41

<i>Aspergillus niger</i>-12株の生産する3種の細胞外イヌラーゼのうち,イヌリン分解力に特にすぐれているP-III酵素について精製を行い,硫安による結晶化に成功した.本酵素について,一般的性質および作用機作の検討を行い,次の結果を得た.<br> (1) 本酵素は硫安により結晶化され,結晶酵素は,4&deg;C,冷蔵庫内で2か年にわたり安定であった.<br> (2) 本酵素の最適pHは5.3付近,最適温度は45&deg;Cで,pH4.0~7.5の範囲では安定であった.<br> (3) 熱安定性については, pH 5.0, 30分間で, 40&deg;C以下で安定であった.<br> (4) 本酵素はMn<sup>2+</sup>, KCNで活性が強められ, Ag<sup>+</sup>, Hg<sup>2+</sup>, Fe<sup>3+</sup>およびPCMBによって顕著な阻害が認められた. PCMBによって活性が阻害を受けることから,本酵索の活性中心にSH基が存在するものと思われた.<br> (5) 本酵素のイヌリソに対する作用はendo型であり,主な分解生成物はD. P. 3, 4, 5および6のイヌロオリゴ糖であり,イヌリンの分解限度は約45%であった.<br> (6) 本酵素はイヌリンのみに特異的に作用し,ショ糖,ラフィノース,バクテリアレパンおよびメレチトースには全く作用しない酵素であった.<br> (7) 本酵素のイヌリンに対するMichaelis定数(<i>Km</i>)は1.25&times;10<sup>-3</sup>Mであった.
著者
上田 誠之助
出版者
公益財団法人 日本醸造協会
雑誌
日本醸造協会誌 (ISSN:09147314)
巻号頁・発行日
vol.92, no.10, pp.725-727, 1997-10-15 (Released:2011-09-20)
参考文献数
23

前報では, 米粉を固めて造るしとぎが口嘴酒にされ御神酒として供される風習について解説されたが, 今回は筆者の古代から現代に亘る幅広い調査結果に基づき, しとぎや牙米 (発芽米) から造られる醴酒 (一夜酒) を通じた古代の酒の変遷が明らかにされている。
著者
熊 傑田 上田 誠之助
出版者
公益社団法人日本生物工学会
雑誌
醗酵工學雑誌 (ISSN:03675963)
巻号頁・発行日
vol.54, no.4, pp.241-248, 1976-04-25

重質経由(high boiling point gas oil)を唯一の炭素源として40〜50℃を適温とする細胞, 酵母, 放射菌およびカビのスクリーニングを行った.得られた30株の中に9株の放射菌と1株のカビ以外に全部は細菌であった.細菌の中に普通によく知られている細菌よりリン含量が高い菌を数株分離した.その中の1株Brevibacteriumの一種であると同定した.A25R菌は石油資化性がよく, その菌体内リン酸化合物を分画して標準菌株と比べて見ると冷酸可溶画分とKOH可溶画分に特徴があることがわかった.冷酸可溶部を分画して見るとATPは 3.6μg/mg-cells, ADPは2.3μg/mg-cellsであった.KOH可溶画分中にRNAの分解に由来したモノヌクレオチッドのCMP, AMP, UMPとGMPのほかに氷冷した10%トリクロル酢酸で抽出できないが, アルカリによって分解をうけつつ抽出される糖のリン酸エステルが存在していることがわかった.このリン酸エステルの検討について後に報告する.Brevibacterium sp. A25R菌を用いてその培養条件を検討したところ, 有機窒素源は必要でなく, 無機塩と重質軽油でも培養できた.炭素源濃度を0.2〜10v%とかえても, つねに一定の比増殖速度0.35hr^<-1>をもつことがわかった.炭素源濃度が2v%以上では, 菌体濃が2〜3mg/mlを越えると資化できる炭化水素がまだ残っているのに, 増殖速度が減少しはじめ, 長時間にわたって低い速度で増殖しつづけることがわかった.この現象について2,3の検討を行った.培養の最初の5時間内にはpHの変動がなく, 中和剤の添加が見られなかったが, 培養が進むにつれてpHが酸性になり, 中和剤の添加が見られた.培養液のpHを6.4〜7.4にたもつために加えられた4N NaOHが不定形に変形した油滴を円形にもどすという現象が観察された.NaOH中和での油滴が円形にもどすため菌体の接触しうる油滴表面積が減り, 菌の増殖が不良になったのではないかと推察した.一方, 4M(NH_4)_2HPO_4で中和する場合, 変形した油的が培養が進むにつれて更に小さくなっていて対数増殖期(始発炭素源濃度が4v%の場合)は菌体濃度7〜8mg/ml までつづき, 最大菌体濃度は8mg/mlに達すること(NaOHで中和する場合は 5.6mg/mlであった)がわかった.更に0.06%Tween60を含む4M(NH_4)_2HPO_4で中和する場合, 油滴は4M(NH_4)_2HPO_4だけで中和する倍より更に細かい変形油的になり, 菌体濃度は 9mg/mlまで高めることができた.このように中和剤の油滴形状や大きさへの影響は大きく, それらが菌体増殖へ強く作用することが認められ, 石油醗酵の場合油滴を細かく培養液中に分散させる手段とか, 菌の乳化力を妨害する因子の回避を考慮に入れなければならないと思う.