著者
大西 芳明 上田 雅彦 小野 真治 大下 修造 木内 陽介 佐竹 弘
出版者
特定非営利活動法人 産学連携学会
雑誌
産学連携学
巻号頁・発行日
vol.6, no.1, pp.1_13-1_22, 2009

近年,医療機関で使用されている医療機器の保守管理の必要性が高まり,臨床工学技士の役割はますます重要性を増している.医療現場の社会的な信頼性を確保するため,医療機器の保守点検や修理履歴などのデータを収集・分析する必要性がある.著者らは以前から,大学病院の医療現場におけるニーズを基にして,2003年2月,産学が共同して医療機器の保守・管理支援システムを製品化した.本稿では,医療機器の保守・管理支援システム開発の製品化・事業化に至った成功要因を国の政策,産学の連携体制,医療機器メーカとの役割分担などについて解析した.医療機器メーカの技術担当者や営業担当者との人的連携体制,組織的連携および特許戦略などが大きな成功要因であった.企業経営者と研究者との製品開発に対する共通理念が商品化のベースにあることが成功要因の基盤として不可欠であることがわかった.<br>
著者
前田 恵助 山本 里美 小林 千洋 石井 浩子 上田 雅彦 築野 卓夫 入江 正和
出版者
Japanese Society of Animal Science
雑誌
日本畜産學會報 = The Japanese journal of zootechnical science (ISSN:1346907X)
巻号頁・発行日
vol.78, no.2, pp.179-187, 2007-05-25
被引用文献数
2

未利用資源の有効利用のため,米ヌカからの米油精製過程で産出される副産物から調製された植物性油脂製品であるライストリエノール<SUP>TM</SUP>(築野食品工業,和歌山)を飼料に添加し,白色レグホン種系採卵鶏の生産性と卵黄中のビタミンE,コレステロールなどの脂質成分に及ぼす影響を検討した.飼料にライストリエノールを0.5%添加した鶏群をライストリエノール区とし,無添加のものを対照区とした.各区50羽とし,151日齢から517日齢まで不断給餌した.適宜,採卵と採血を行い,試験終了時にニワトリの肝臓を採取した.鶏卵は卵黄中のコレステロール,チオバルビツール酸反応生成物(TBARS),トコフェロール,トコトリエノールを測定し,血清および肝臓中のコレステロール,トリグリセライドを測定した.ライストリエノール区では対照区に比べ,血清中のコレステロールおよびトリグリセライド濃度は変化しなかったが,卵黄中のコレステロール濃度が平均約14%低下した(<I>P</I><0.05).また,卵黄中のトコフェロール,トコトリエノール濃度はライストリエノール添加により420日齢では約2.8倍に増加し,卵黄中のTBARSは52%減少した(<I>P</I><0.05).とくに,それらの効果は日齢を経た鶏卵で顕著であった.産卵率,産卵日量,飼料要求率,卵白高,ハウユニット,卵殻厚にはライストリエノール飼料添加による有意な影響はみられず,ライストリエノール給与で卵重がやや増加し,卵黄色の明度ではL*がわずかに増加し,色度ではa*がやや減少した(<I>P</I><0.05).以上のことからライストリエノールの飼料添加により,卵黄中のコレステロール濃度がやや低く,ビタミンE濃度が高く過酸化脂質の少ない鶏卵を生産性に悪影響なく得られることが示された.