著者
谷口 久次 橋本 博之 細田 朝夫 米谷 俊 築野 卓夫 安達 修二
出版者
社団法人 日本食品科学工学会
雑誌
日本食品科学工学会誌 (ISSN:1341027X)
巻号頁・発行日
vol.59, no.7, pp.301-318, 2012-07-15 (Released:2012-09-04)
参考文献数
131
被引用文献数
4 21

Consuming rice as the staple, 0.95 million tons of rice bran is produced annually in Japan as a by-product from the rice milling process. Bran is used in several applications such as animal feed and fertilizer for mushroom cultivation, but most of it has been discarded as an agricultural waste although it contains various functional substances, such as γ-oryzanol, ferulic acid, sterol, wax, ceramide, phytin, inositol and protein. It could be considered a scarcely used but promising resource. As such, continuous efforts have been dedicated to exploring its effective utilization. In this context, functionalities of the substances contained in the bran are summarized, and our attempts for improving functionality, improving ease of use, and exploring new applications are presented.
著者
中内 道世 池本 重明 山西 妃早子 尾崎 嘉彦 築野 卓夫 野村 英作 細田 朝夫 谷口 久次
出版者
日本食品保蔵科学会
雑誌
日本食品保蔵科学会誌 = Food preservation science (ISSN:13441213)
巻号頁・発行日
vol.28, no.4, pp.183-188, 2002-07-31
参考文献数
18
被引用文献数
1 7

合成したフェルラ酸誘導体31種類について, 細菌, カビ, 酵母に対する抗菌活性を評価した。供試した化合物のうち, 12種類の化合物がグラム陽性細菌, カビおよび酵母の増殖を抑制することを見い出した。それらのうちMICの測定に供した化合物のほとんどがフェルラ酸より抗菌力が向上した。フェルラ酸ブチルとフェルラ酸-2-メチル-1-ブチルは, <I>B. subtilis, S.aureus, S. cerevisiae</I>に対して顕著な増殖抑制を示した。フェルラ酸ヘキシルは, <I>B. subtilis, S.aureus</I>の増殖を顕著に抑制したが, カビ, 酵母に対してはその増殖に影響を与えなかった。一方, フェルラ酸メチル, フェルラ酸エチルはグラム陰性菌を除くいずれの供試菌に対しても増殖抑制作用を有し広い抗菌スペクトルを示した。フェルラ酸エステル類の抗菌活性は, アルキル基鎖の伸長に伴いグラム陽性細菌に対する抗菌力が向上し, 同時に細胞毒性も増すという傾向が認められた。フェルラ酸メチルおよびフェルラ酸-2-メチルー1-ブチルについては, 市販の食品保存料であるソルビン酸や安息香酸と同程度またはそれ以上の抗菌活性を有し, 細胞毒性試験でも100μMの濃度では, マウス由来線維芽細胞株Balb/c3T3A31-1-1の増殖にほとんど影響を与えず, 新たな食品用抗菌剤として検討できるレベルにあることが示唆された。
著者
前田 恵助 山本 里美 小林 千洋 石井 浩子 上田 雅彦 築野 卓夫 入江 正和
出版者
Japanese Society of Animal Science
雑誌
日本畜産學會報 = The Japanese journal of zootechnical science (ISSN:1346907X)
巻号頁・発行日
vol.78, no.2, pp.179-187, 2007-05-25
被引用文献数
2

未利用資源の有効利用のため,米ヌカからの米油精製過程で産出される副産物から調製された植物性油脂製品であるライストリエノール<SUP>TM</SUP>(築野食品工業,和歌山)を飼料に添加し,白色レグホン種系採卵鶏の生産性と卵黄中のビタミンE,コレステロールなどの脂質成分に及ぼす影響を検討した.飼料にライストリエノールを0.5%添加した鶏群をライストリエノール区とし,無添加のものを対照区とした.各区50羽とし,151日齢から517日齢まで不断給餌した.適宜,採卵と採血を行い,試験終了時にニワトリの肝臓を採取した.鶏卵は卵黄中のコレステロール,チオバルビツール酸反応生成物(TBARS),トコフェロール,トコトリエノールを測定し,血清および肝臓中のコレステロール,トリグリセライドを測定した.ライストリエノール区では対照区に比べ,血清中のコレステロールおよびトリグリセライド濃度は変化しなかったが,卵黄中のコレステロール濃度が平均約14%低下した(<I>P</I><0.05).また,卵黄中のトコフェロール,トコトリエノール濃度はライストリエノール添加により420日齢では約2.8倍に増加し,卵黄中のTBARSは52%減少した(<I>P</I><0.05).とくに,それらの効果は日齢を経た鶏卵で顕著であった.産卵率,産卵日量,飼料要求率,卵白高,ハウユニット,卵殻厚にはライストリエノール飼料添加による有意な影響はみられず,ライストリエノール給与で卵重がやや増加し,卵黄色の明度ではL*がわずかに増加し,色度ではa*がやや減少した(<I>P</I><0.05).以上のことからライストリエノールの飼料添加により,卵黄中のコレステロール濃度がやや低く,ビタミンE濃度が高く過酸化脂質の少ない鶏卵を生産性に悪影響なく得られることが示された.