著者
上農 正剛
出版者
日本手話学会
雑誌
手話学研究 (ISSN:18843204)
巻号頁・発行日
vol.29, no.2, pp.74-93, 2020-12-22 (Released:2021-12-25)
参考文献数
50

聾教育は音声言語の習得を目指した以前の口話法から手話を併用した二言語教育の時代に変化してきた。当初、聾教育の現場では日本語に対応した日本語対応手話(手指日本語)が採用されていたが、その後、日本語とは文法構造を異にする日本手話の存在が再評価されたことにより、二つの手話のいずれが聾教育にとってより妥当なのかという議論が生じた。 しかし、いずれにしても聾教育における手話の意義は書記日本語教育との関連の中で検討されなければならないという事情がある。なぜなら、聞こえない子供たちは就学後、教科書という文字テキストを基盤とした教科学習という避けがたい現実の中に置かれるからである。手話も書記言語も共にその意義と妥当性はこの現実の中で問われざるを得ないのである。
著者
上農 正剛 うえのう せいごう Seigou UENOU
出版者
九州保健福祉大学
雑誌
九州保健福祉大学研究紀要 = Journal of Kyushu University of Health and Welfare (ISSN:13455451)
巻号頁・発行日
no.20, pp.35-43, 2019-03

The purpose of this paper is to propose the positioning of languages for bilingual education of deafchildren. In recent years, main stream education of deaf children in Japan has shifted from the oralapproach to bilingual education. Most schools for the deaf use voice and sign language during teaching.This situation, gives rise to two issues. First, there are two types of sign language in Japanese schoolsfor the deaf: signed Japanese and Japanese sign language (JSL); of those, which language is more suitablefor learning among deaf children? Second, how does sign language contribute to Japanese literacy?However, these issues are discussed separately and locally. As a result, we cannot apply them to theeducation of deaf children in reality. When we discuss these issues, we need to consider mutualrelationship and feasibility. For that purpose, the overall layout of the positioning of languages forbilingual education is necessary.
著者
立岩 真也 天田 城介 小泉 義之 福島 智 星加 良司 上農 正剛
出版者
立命館大学
雑誌
新学術領域研究(研究課題提案型)
巻号頁・発行日
2008

報告書『視覚障害学生支援技法 増補改訂版』を関係者・機関に配布。大学附属図書館と書籍のディジタル・データ化、そのデータの提供の仕組みについて協議。7月に開始されたその運用のあり方について提言すべく検証作業を行った。文字データのディジタル・データ化を巡る議論や実践の歴史を検証する研究を進めるとともに、電子書籍を巡る最近の動向を把握する作業を開始。電子書籍のアクセシビリティについて、その基本的な方向と社会的仕組みを検討し提言することを目的とする「電子書籍普及に伴う読書バリアフリー化の総合的研究」が2011年度から5年間の立命館大学グローバル・イノベーション研究機構研究プログラムに採択される(年間1000万円)。京都市内のALS等コミュニケーションの困難な人を支援する活動を継続的に行い、その記録および種々の技術に関わる情報をHPに掲載。大学院生が日本難病看護学会等で報告。2011年2月には「重度障害者コミュニケーション支援講座--難病者・重度障害者ITコミュニケーション支援技法を学ぶ」を開催。利用者・支援者が参加。全国手話通訳問題研究会、全日本難聴者・中途失聴者団体連合会、全日本ろうあ連盟、全国要約筆記問題研究会から参加を得た2010年3月のシンポジウム「聴覚障害者の情報保障を考える」の記録に新たな文章を加えた報告書を作成。2011年5月に刊行予定。以上の他、障害者のコミュニケーションに関わる技術・制度の歴史、関連文献、著作権に関する報道等をまとめ、ウェブサイトhttp://www.arsvi.com(→「異なる身体のもとでの更新」)に掲載、随時更新して提供している。