著者
上長 然
出版者
一般社団法人 日本教育心理学会
雑誌
教育心理学研究 (ISSN:00215015)
巻号頁・発行日
vol.55, no.3, pp.370-381, 2007-09-30 (Released:2013-02-19)
参考文献数
51
被引用文献数
2 1

本研究は, 思春期の身体発育のタイミングと抑うつ傾向との関連において, 身体発育のタイミング (以下, 発育タイミング) を客観的な発育タイミングと主観的な発育タイミングの2つの観点から捉え, 発育タイミングが直接抑うつ傾向に影響するのか, 媒介要因を介して関連するのかを検討することを目的として実施した。中学生503名 (男子252名, 女子251名) を対象に思春期の身体発育の発現状況, 主観的なタイミングの認知, 現在の体重に対する評価, 身体満足度, 露出回避行動, 抑うつ傾向について測定した。その結果, 1) 男女とも発育タイミングから抑うつ傾向には直接的な関連はみられず, 媒介要因を介して関連していた。2) 男子は主観的な発育タイミングが, 女子は客観的な発育タイミングが身体満足度と結びついていた。3) 男子は早熟なほど身体満足度が高く, 抑うつ傾向が低いが, 早熟な女子は身体満足度が低く, 抑うつ傾向が高かった。4) 男子では公的自意識の高さは身体満足度, 露出回避行動と結びつき, 抑うつ傾向と関連していたが, 女子の公的自意識の高さは身体満足度と結びつかず, 露出回避行動と結びついて抑うつ傾向と関連していた。
著者
上長 然 齊藤 誠一
出版者
日本青年心理学会
雑誌
青年心理学研究 (ISSN:09153349)
巻号頁・発行日
vol.23, no.2, pp.133-146, 2011-12-25 (Released:2017-05-22)

This study examined whether pubertal development influenced on adolescent aggression directly or this effect was mediated by athletic competence and body satisfaction. The pubertal development was assessed in terms of pubertal status and pubertal timing. Junior high school students (n=551) including 273 girls and 278 boys were asked to complete questionnaires. Main results were as the follows: (1) For girls, at any pubertal status and pubertal timing, athletic competence positively predicted linguistic aggression and negatively predicted hostility. (2) For boys, pubertal status positively predicted hostility. In addition, earlier matured boys showed higher athletic competence and body satisfaction than the counterparts; athletic competence positively predicted physical and linguistic aggression; and body satisfaction positively predicted linguistic aggression and negatively predicted physical aggression and hostility.
著者
上長 然
出版者
日本教育心理学会
雑誌
教育心理学研究 (ISSN:00215015)
巻号頁・発行日
vol.55, no.1, pp.21-33, 2007-03-30

本研究は,思春期の身体発育と抑うつ傾向との関連について,思春期の身体発育の発現が直接抑うつ傾向に影響するのか,思春期の身体発育が発現に対する受容感や身体変容行動を媒介として抑うつ傾向と関連するのかを検討することを目的として実施した。中学生870名(男子445名,女子425名)を対象に思春期の身体発育の発現状況,思春期の身体発育の発現に対する受容感,身体変容行動(体重減少行動・体重増加行動),露出回避行動,身体満足度,抑うつ傾向について測定した。その結果,1)男子においては思春期の身体発育の発現は抑うつ傾向と直接的にも間接的にも関連していなかった。2)女子においては,皮下脂肪がついてきたことにおいて抑うつ傾向と直接的な関連がみられたが,他の身体発育では見られなかった。3)女子においては,思春期の身体発育の発現は,発現に対する受容感が身体満足度と露出回避行動を媒介にして抑うつ傾向に関連するという構造が示された。
著者
上長 然
出版者
一般社団法人 日本教育心理学会
雑誌
教育心理学年報 (ISSN:04529650)
巻号頁・発行日
vol.55, pp.18-37, 2016 (Released:2016-08-12)
参考文献数
114
被引用文献数
5

本稿は, 日本において2014年7月から2015年6月までに発表された青年期・成人期・老年期を対象とした発達研究について概観したものである。1年間に発表された青年期以降を対象とした発達研究の動向を「自己」, 「対人関係」, 「適応と精神的健康」, 「進路・キャリア発達」, 「その他」の5つに分類し, 論評を行った。自己に関する研究では, 青年期のアイデンティティ発達に関する研究, 自己概念・自己評価に関する研究, 世代性や子育てに伴う心理発達に関する研究がなされていた。対人関係では, 夫婦関係の継続理由や夫婦関係と家族機能の関連を扱った研究が見られた。適応と精神的健康では, 学校行事や接続教育, いじめ, 非行といった学校生活・学校適応に関する研究が多く報告されていた。進路・キャリア発達に関する研究では, キャリア教育や職業意識の形成, 社会参加に関する発達的意義について論じられていた。その他としては, 青年期から老年期にかけての認知機能やパーソナリティの発達について報告されていた。最後に, 青年期以降の発達研究における展望とともに, 今後の課題について論じた。
著者
上長 然
出版者
一般社団法人 日本教育心理学会
雑誌
教育心理学研究 (ISSN:00215015)
巻号頁・発行日
vol.55, no.1, pp.21-33, 2007-03-30 (Released:2013-02-19)
参考文献数
44
被引用文献数
4 1

本研究は, 思春期の身体発育と抑うつ傾向との関連について, 思春期の身体発育の発現が直接抑うつ傾向に影響するのか, 思春期の身体発育が発現に対する受容感や身体変容行動を媒介として抑うつ傾向と関連するのかを検討することを目的として実施した。中学生870名 (男子445名, 女子425名) を対象に思春期の身体発育の発現状況, 思春期の身体発育の発現に対する受容感, 身体変容行動 (体重減少行動・体重増加行動), 露出回避行動, 身体満足度, 抑うつ傾向について測定した。その結果, 1) 男子においては思春期の身体発育の発現は抑うつ傾向と直接的にも間接的にも関連していなかった。2) 女子においては, 皮下脂肪がついてきたことにおいて抑うつ傾向と直接的な関連がみられたが, 他の身体発育では見られなかった。3) 女子においては, 思春期の身体発育の発現は, 発現に対する受容感が身体満足度と露出回避行動を媒介にして抑うつ傾向に関連するという構造が示された。
著者
上長 然
出版者
一般社団法人 日本発達心理学会
雑誌
発達心理学研究 (ISSN:09159029)
巻号頁・発行日
vol.18, no.3, pp.206-215, 2007-12-20 (Released:2017-07-27)
被引用文献数
4

本研究は,思春期の身体発育の発現が摂食障害傾向に及ぼす影響について,どのような構造で関連するのか検討することを目的として実施した。中学生503名(男子252名,女子251名)を対象に,思春期の身体発育状況,思春期の身体発育に対する心理的受容度,身体満足度,体重減少行動,露出回避行動,摂食障害傾向および現在の身長・体重について測定した。その結果,男子では,思春期の身体発育は摂食障害傾向と関連せず,実際の体格が肥満傾向にある者ほど体重減少行動を行い,摂食障害傾向が高まっていた。一方,女子では,思春期の身体発育によって体重減少行動が増加することが示された。また,思春期の身体発育の経験者による検討から,実際の体格が身体満足度と関連するとともに,思春期の身体発育に対する心理的受容度が身体満足度と関連し,身体満足度の低さが体重減少行動・露出回避行動を高め,摂食障害傾向を助長するという構造が示され,思春期の身体発育の際,それをどのように受け止めるかという心理的受容度の重要性が示唆された。
著者
石本 雄真 久川 真帆 齊藤 誠一 上長 然 則定 百合子 日潟 淳子 森口 竜平
出版者
一般社団法人 日本発達心理学会
雑誌
発達心理学研究 (ISSN:09159029)
巻号頁・発行日
vol.20, no.2, pp.125-133, 2009-06-10 (Released:2017-07-27)
被引用文献数
5

本研究は,青年期女子の友人関係のあり方と心理的適応や学校適応の関連を検討することを目的とした。友人関係のあり方を心理的距離と同調性といった2側面から捉え,学校段階ごとに心理的適応,学校適応との関連を検討した。女子中学生96名,女子高校生122名を対象に友人との心理的距離,同調性,心理的適応,学校適応について測定した。その結果,表面的な友人関係をとる者は,心理的適応,学校適応ともに不適応的であることが示された。心理的距離は近く,同調性の低い友人関係をとる者は,心理的適応,学校適応ともに良好であることが示された。心理的距離は近く,同調性の高い密着した友人関係をとる者は,中学生では概して適応的であった。一方,高校生で密着した友人関係をとる者は,学校適応においては適応的であるものの,心理的適応に関しては不適応的な結果も示した。これらの結果から,同じ青年期であっても学校段階ごとに友人関係のあり方が持つ意味が異なるということが明らかになった。高校生においては,心理的距離は近くとも同調的ではない友人関係を持つことが心理的適応にとって重要であることが示唆された。
著者
石本 雄真 久川 真帆 齊藤 誠一 上長 然 則定 百合子 日潟 淳子 森口 竜平
出版者
一般社団法人日本発達心理学会
雑誌
発達心理学研究 (ISSN:09159029)
巻号頁・発行日
vol.20, no.2, pp.125-133, 2009-06-10

本研究は,青年期女子の友人関係のあり方と心理的適応や学校適応の関連を検討することを目的とした。友人関係のあり方を心理的距離と同調性といった2側面から捉え,学校段階ごとに心理的適応,学校適応との関連を検討した。女子中学生96名,女子高校生122名を対象に友人との心理的距離,同調性,心理的適応,学校適応について測定した。その結果,表面的な友人関係をとる者は,心理的適応,学校適応ともに不適応的であることが示された。心理的距離は近く,同調性の低い友人関係をとる者は,心理的適応,学校適応ともに良好であることが示された。心理的距離は近く,同調性の高い密着した友人関係をとる者は,中学生では概して適応的であった。一方,高校生で密着した友人関係をとる者は,学校適応においては適応的であるものの,心理的適応に関しては不適応的な結果も示した。これらの結果から,同じ青年期であっても学校段階ごとに友人関係のあり方が持つ意味が異なるということが明らかになった。高校生においては,心理的距離は近くとも同調的ではない友人関係を持つことが心理的適応にとって重要であることが示唆された。