- 著者
-
上長 然
- 出版者
- 一般社団法人 日本発達心理学会
- 雑誌
- 発達心理学研究 (ISSN:09159029)
- 巻号頁・発行日
- vol.18, no.3, pp.206-215, 2007-12-20 (Released:2017-07-27)
- 被引用文献数
-
4
本研究は,思春期の身体発育の発現が摂食障害傾向に及ぼす影響について,どのような構造で関連するのか検討することを目的として実施した。中学生503名(男子252名,女子251名)を対象に,思春期の身体発育状況,思春期の身体発育に対する心理的受容度,身体満足度,体重減少行動,露出回避行動,摂食障害傾向および現在の身長・体重について測定した。その結果,男子では,思春期の身体発育は摂食障害傾向と関連せず,実際の体格が肥満傾向にある者ほど体重減少行動を行い,摂食障害傾向が高まっていた。一方,女子では,思春期の身体発育によって体重減少行動が増加することが示された。また,思春期の身体発育の経験者による検討から,実際の体格が身体満足度と関連するとともに,思春期の身体発育に対する心理的受容度が身体満足度と関連し,身体満足度の低さが体重減少行動・露出回避行動を高め,摂食障害傾向を助長するという構造が示され,思春期の身体発育の際,それをどのように受け止めるかという心理的受容度の重要性が示唆された。