- 著者
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松田 時彦
由井 将雄
松島 義章
今永 勇
平田 大二
東郷 正美
鹿島 薫
松原 彰子
中井 信之
中村 俊夫
松岡 数充
- 出版者
- 東京大学地震研究所
- 雑誌
- 東京大学地震研究所彙報 (ISSN:00408972)
- 巻号頁・発行日
- vol.63, no.2, pp.p145-182, 1988-11
- 被引用文献数
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4
伊勢原断層の両側で試錐調査を行い,試料中の火山灰,14C年代,貝・有孔虫・珪藻・渦鞭毛藻などを調査した.調査地域は,約6000年前頃,内湾性の海域から低湿な陸域に変わった.その海成層の上限の高さ(当時の海抜0m)は,現在標高およそO~-2mにあるが,断層の東側の方が1.6±0.6m高い.この高度差は伊勢原断層の変位によると考えられる.この変位が生じた年代は,地層の厚さの比較から,延暦・貞観年間のテフラ層堆積以後で,宝永スコリア堆積以前である.この""伊勢原地震""の規模は,その変位量などから考えて,M7.0~7.5程度である.また,約6000年前の海成層の上下変位量と約1100年前までのテフラ層の標高差との間に有意の差がないことから,伊勢原地震の再来間隔は約5000年以上である.このような伊勢原地震に最もよく適合する歴史地震は,元慶2年(878年)の相模・武蔵の地震(理科年表M7.4)である.