著者
高橋 直樹 柴田 健一郎 平田 大二 新井田 秀一
出版者
一般社団法人 日本地質学会
雑誌
地質学雑誌 (ISSN:00167630)
巻号頁・発行日
vol.122, no.8, pp.375-395, 2016-08-15 (Released:2016-09-02)
参考文献数
93
被引用文献数
2

「葉山-嶺岡帯」は,南関東地方の三浦半島から房総半島南部にかけて伸びる特徴的な地形,地質構造を示す地質帯で,新第三紀以降の地層が主体の両半島の中でも最も時代の古い地層が露出するほか,蛇紋岩類,玄武岩類などのオフィオライト様岩類が産出する.玄武岩類は主として40〜50Maの年代を示し,中央海嶺やホットスポット,および島弧の性質を示す岩石が認識されている.本地帯はフィリピン海プレートの沈み込みに伴って形成された中新世~更新世の外縁隆起帯,ならびに関東地方において第四紀以降に発達した関東構造盆地の南縁として位置づけられている.本地帯では地すべりの発達による緩傾斜地形,東西方向のリニアメント,独立峰など特異な地形が認められる.三浦半島には活断層の存在が認定され,本地帯全体での活構造の存在を暗示させる.本コースでは,葉山-嶺岡帯を,房総半島嶺岡帯の東端から西端まで,さらに,浦賀水道を挟んで三浦半島葉山帯の東端から西端まで全域を横断し,本地帯の地形や構成する地層・岩石をひととおり観察し,本地帯の共通する特徴や地域ごとの相違を確認しながら,本地帯の地質構造発達史を考える.
著者
平田 大二 山下 浩之 鈴木 和恵 平田 岳史 李 毅兵 昆 慶明
出版者
公益社団法人 東京地学協会
雑誌
地学雑誌 (ISSN:0022135X)
巻号頁・発行日
vol.119, no.6, pp.1125-1160, 2010-12-25 (Released:2011-03-17)
参考文献数
142
被引用文献数
8 10 5

This paper reviews the geology, petrology, and tectonics of the Proto-Izu-Mariana arc against the Honshu arc, Japan, since 15 Ma, to formulate current topics related to the Pacific-type orogeny. Since the first pioneering work by Sugimura (1972), which placed the plate boundary on-land Japan north of the Izu peninsula collision-accretion tectonics of the Proto-Izu-Mariana arc against the Honshu arc started to be extensively investigated through multi-disciplinary methods. Aoike (1999) proposed a comprehensive scenario of five successive accretions of Proto-Izu to the present, with all bounded by top- and bottom-faults since 15 Ma. Oroclinal bending of the Honshu arc began simultaneously with the collision and indentation of the Proto-Izu arc, as is well documented by the Neogene paleomagnetic declination of sedimentary rocks in the Kanto district (Niitsuma et al., see summary, 1989). The entire Izu-Mariana arc is subducting without any accretion now under Honshu, as is well documented by seismic tomography imaging by Hasegawa et al. (see Hasegawa et al., 2010). Tanzawa Tonalite–Trondhjemite–Granodiolite (TTG) pluton intruded into the already-accreted Tanzawa Group at 4 Ma (Tani et al., 2010), resulting in a contact metamorphic aureole ranging from amphibolite through greenschist to zeolite facies at a depth of ca. 10 km, and tectonically denudated along the Kan-nawa fault to be exposed on the surface by 1.0 Ma. The Proto-Izu-Mariana arc was built on the Pre-Paleogene, presumably Cretaceous MORB crust on which boninitic and fractionated silicic lava flows accumulated since 48 Ma, which is older than the bending of the Hawaii–Emperor seamount chain at 43 Ma. Hence, we need another plate off Proto-Ogasawara arc, called North New Guinea plate (Seno, 1985), and ridge subduction underneath Ogasawara arc to initiate subduction magmatism. Both calk-alkali rock series (CA) and coeval blueschist–eclogite rocks are exposed along the inner wall of the Izu–Mariana trench. This strongly suggests that extensive tectonic erosion occurred, resulting in the coexistence of two rock units that were formed 100-150 km from each other horizontally, i.e., rocks on the volcanic front and rocks on the descending oceanic slab. Petrogenesis of juvenile crust and TTG rocks are being debate with two models: basaltic arc magma fractionation (Kawate and Arima, 1998) and delaminated mafic lower crust (Nakajima and Arima, 1998). In the latter model, a difficulty is derived from density at the Moho depth and small size of delaminated residue. Instead, extensive tectonic erosion that transports not only the upper crust but also the lower mafic crust together with parts of the descending slab could be more plausible than these two models in order to present a thinner mafic lower crust.
著者
松田 時彦 由井 将雄 松島 義章 今永 勇 平田 大二 東郷 正美 鹿島 薫 松原 彰子 中井 信之 中村 俊夫 松岡 数充
出版者
東京大学地震研究所
雑誌
東京大学地震研究所彙報 (ISSN:00408972)
巻号頁・発行日
vol.63, no.2, pp.145-182, 1988-11-11

伊勢原断層の両側で試錐調査を行い,試料中の火山灰,14C年代,貝・有孔虫・珪藻・渦鞭毛藻などを調査した.調査地域は,約6000年前頃,内湾性の海域から低湿な陸域に変わった.その海成層の上限の高さ(当時の海抜0m)は,現在標高およそO~-2mにあるが,断層の東側の方が1.6±0.6m高い.この高度差は伊勢原断層の変位によると考えられる.この変位が生じた年代は,地層の厚さの比較から,延暦・貞観年間のテフラ層堆積以後で,宝永スコリア堆積以前である.この"伊勢原地震"の規模は,その変位量などから考えて,M7.0~7.5程度である.また,約6000年前の海成層の上下変位量と約1100年前までのテフラ層の標高差との間に有意の差がないことから,伊勢原地震の再来間隔は約5000年以上である.このような伊勢原地震に最もよく適合する歴史地震は,元慶2年(878年)の相模・武蔵の地震(理科年表M7.4)である.
著者
松田 時彦 由井 将雄 松島 義章 今永 勇 平田 大二 東郷 正美 鹿島 薫 松原 彰子 中井 信之 中村 俊夫 松岡 数充
出版者
東京大学地震研究所
雑誌
東京大學地震研究所彙報 = Bulletin of the Earthquake Research Institute, University of Tokyo (ISSN:00408972)
巻号頁・発行日
vol.63, no.2, pp.145-182, 1988-11-11

伊勢原断層の両側で試錐調査を行い,試料中の火山灰,14C年代,貝・有孔虫・珪藻・渦鞭毛藻などを調査した.調査地域は,約6000年前頃,内湾性の海域から低湿な陸域に変わった.その海成層の上限の高さ(当時の海抜0m)は,現在標高およそO~-2mにあるが,断層の東側の方が1.6±0.6m高い.この高度差は伊勢原断層の変位によると考えられる.この変位が生じた年代は,地層の厚さの比較から,延暦・貞観年間のテフラ層堆積以後で,宝永スコリア堆積以前である.この""伊勢原地震""の規模は,その変位量などから考えて,M7.0~7.5程度である.また,約6000年前の海成層の上下変位量と約1100年前までのテフラ層の標高差との間に有意の差がないことから,伊勢原地震の再来間隔は約5000年以上である.このような伊勢原地震に最もよく適合する歴史地震は,元慶2年(878年)の相模・武蔵の地震(理科年表M7.4)である.
著者
松田 時彦 由井 将雄 松島 義章 今永 勇 平田 大二 東郷 正美 鹿島 薫 松原 彰子 中井 信之 中村 俊夫 松岡 数充
出版者
東京大学地震研究所
雑誌
東京大学地震研究所彙報 (ISSN:00408972)
巻号頁・発行日
vol.63, no.2, pp.p145-182, 1988-11
被引用文献数
4

伊勢原断層の両側で試錐調査を行い,試料中の火山灰,14C年代,貝・有孔虫・珪藻・渦鞭毛藻などを調査した.調査地域は,約6000年前頃,内湾性の海域から低湿な陸域に変わった.その海成層の上限の高さ(当時の海抜0m)は,現在標高およそO~-2mにあるが,断層の東側の方が1.6±0.6m高い.この高度差は伊勢原断層の変位によると考えられる.この変位が生じた年代は,地層の厚さの比較から,延暦・貞観年間のテフラ層堆積以後で,宝永スコリア堆積以前である.この""伊勢原地震""の規模は,その変位量などから考えて,M7.0~7.5程度である.また,約6000年前の海成層の上下変位量と約1100年前までのテフラ層の標高差との間に有意の差がないことから,伊勢原地震の再来間隔は約5000年以上である.このような伊勢原地震に最もよく適合する歴史地震は,元慶2年(878年)の相模・武蔵の地震(理科年表M7.4)である.
著者
平田 大二 山下 浩之 坂本 泉 小田原 啓 滝野 義幸 鬼頭 毅 藤巻 三樹雄 萬年 一剛 新井田 秀一 笠間 友博 齊藤 靖二
出版者
公益社団法人 東京地学協会
雑誌
地学雑誌 (ISSN:0022135X)
巻号頁・発行日
vol.119, no.5, pp.911-916, 2010-10-25 (Released:2011-01-21)
参考文献数
12

The bottom topography of lake Ashi-no-ko, in the Hakone volcano caldera, was examined using the SeaBat8101 narrow multi-beam sonar system. The purpose of micro-topographical observations of the lake bottom is to understand the tectonic relations between the historical formation-process of the caldera and the strike-slip motion in the Tanna-Hirayama active fault system. At the southeastern part of the lake, west of the Dougashima, undulations at the bottom such as swells, hollows, and stairs extending in the northwest-southeast direction, were observed. These bottom-forms show a northern extension of the Hakonemachi active fault, running along the east side of lake Ashi-no-ko. They may correspond to one of the north spray faults of the Kita-Izu active fault system, which is the source of the A.D.1930 Kita-Izu earthquake, and to motions of the western margin of the Manazuru micro-plate, in relation to caldera formation as a strike-slip basin.
著者
五島 政一 小林 辰至 熊野 善介 下野 洋 品川 明 平田 大二 岡本 弥彦 三宅 征夫 鳩貝 太郎 立田 慶裕 田代 直幸 笹尾 幸夫 清原 清一 日置 光久 加納 誠 藤岡 達也 田口 公則 小川 義和 市川 智史
出版者
国立教育政策研究所
雑誌
基盤研究(A)
巻号頁・発行日
2005

子どもが主体的に学び、科学を好きになる教育実践プログラムを多数開発した。そして、その教育システムを開発するために、指導者である教の資質・能力を育成する生涯学習プログラムのモデルを開発した。
著者
斎藤 靖二 平田 大二 笠間 友博 新井田 秀一 山下 浩之 石浜 佐栄子
出版者
神奈川県立生命の星・地球博物館
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2009

箱根火山の構成岩石を築城に使った例をもとに、地域の自然史資源が歴史に深く関わっていることを、総合的に学べる融合プログラムを開発し、博物館における生涯学習への有効活用が検討された。学校教育では理科と社会に区別される異なる分野を互いに関連させ、子どもたちにとって機会が減っている野外観察を体験させながら、自然現象と歴史的事件を同時に学ぶ新しい博物館活動が示された。
著者
平田 大二 斎藤 靖二 笠間 友博 新井田 秀一 山下 浩之 石浜 佐栄子
出版者
神奈川県立生命の星・地球博物館
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2010-04-01

46億年にわたる地球史・生命史に関する情報を収集し、地球史・生命史イベントと地球システムの相互作用を理解するための総合年表の作成を進めた。当館が所蔵する標本や画像など各種資料のデータベースを再構築するとともに、それを補完する標本と資料の収集を進めた。それらを活用した地球史学習プログラムとして、常設展示の展示標本と解説資料を活用した、地球の歴史の中でおきた現象と地球システムについて理解できる双方向形式の連続講座を実施した。参加者が地球史・生命史について理解を深め、現在および未来の地球について考えることができ、地球科学リテラシーの涵養を図ることが出来る環境を提供できた。
著者
斎藤 靖二 平田 大二 笠間 友博 新井田 秀一 山下 浩之 石浜 佐栄子
出版者
神奈川県立生命の星・地球博物館
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2007

火山噴火や地震などに伴う自然災害を理解するために,従来蓄積してきた野外地質情報に加え,火山噴火や地層形成などのモデル実験,衛星画像のデジタル情報を視覚化した精密地形模型,浅海域微地形の超高精細解析図など新しい教材を開発した。これらの教材を地域の学校等と連携して学習活動を展開した結果,地域連携型の自然災害教育プログラムが博物館における新しい機能として有効であることが確認された。
著者
平田 大二 新井田 秀一 山下 浩之 田口 公則 笠間 友博 小出 良幸
出版者
神奈川県立生命の星・地球博物館
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2003

1.自然史リテラシーの育成を目指した学習プログラムの開発と実践自然を総合的、能動的にとらえ、自然に接する能力や態度をもつことができるような自然史リテラシー育成の取り組みを行うとともに,市民の自然に対する知的好奇心と知的ニーズに応えるため,「誰もが,いつでも,どこでも,いくらでも」利用できる学習システムの運用と実践を行った.さらに地域の自然と実物標本からなる各種データベースの構築し、ネットワークを活用した自然を理解するための学習プログラムを展開した。2.インターネットを活用した人と博物館のネットワークの構築遠隔地の博物館同士、あるいは博物館と利用者とが相互交流できるインターネットを活用した双方向型ネットワーク・システムの構築し、実践と評価を行った。また、小中学校における授業や課外活動での連携、博物館活動におけるボランティアや友の会との連携などの活動を展開し、児童生徒から社会人、研究者まで多様な階層を交えたネットワークの構築を試みた。3.データベースの拡充すでに公開しているデータベース「地球のからくり」、「神奈川の大地」、「地球地学紀行」、「人と大地と」に加えて、神奈川県および周辺地域を対象とした地球科学分野のデータベース(DB)「神奈川の地球誌」の構築を進めた。さらに火山灰DBと神奈川の川DBの構築、地球科学文献DB、丹沢山地の地形・地質DB、航空写真DB、の補完、愛媛県西予市城川地質館と周辺地域を対象とした地形地質DBの補完を行った。