- 著者
-
中井 彩香
沼崎 誠
- 出版者
- 日本グループ・ダイナミックス学会
- 雑誌
- 実験社会心理学研究 (ISSN:03877973)
- 巻号頁・発行日
- pp.si5-9, (Released:2023-04-04)
- 参考文献数
- 31
本研究は,コロナ禍において友人の過去の旅行,あるいは未来の旅行を知ったときの悪性妬み・良性妬み・友人を低める動機・旅行動機の強さを検討した。友人が旅行に行く,あるいは旅行に行った話を聞いたというシナリオを用いて,自分も旅行計画を立てていたが行けなかったという情報を含めるかどうかを変えることで旅行計画の有無を操作した。参加者はシナリオを読み,妬みや他者を低める動機,旅行動機を感じた程度を回答した。その後,コロナ禍において参加者自身が外出を自粛していた程度を回答するように求めた。結果として,外出自粛行動をしている人においてのみ,自分が旅行に行けなかったという情報を与えられた場合は,友人が旅行に行く話よりも旅行に行った話を聞いたときのほうが,悪性妬みが強いことで,友人の悪口を言うなど友人を低める動機と友人よりも豪華な旅行に行く動機が強かった。本研究で得られた知見から,未来の出来事の不確実性が顕著であるときは,他者の過去の出来事よりも未来の出来事に対してのほうが悪性妬みが強いことが示唆された。