著者
中口 拓真 石本 泰星 桑田 一記 福本 祐真 田津原 佑介 近藤 義剛
出版者
一般社団法人日本理学療法学会連合
雑誌
理学療法学 (ISSN:02893770)
巻号頁・発行日
pp.11970, (Released:2021-03-23)
参考文献数
36

【目的】下腿のデジタル画像とエッジ検出により低Skeletal Muscle Index(以下,SMI)である高齢女性を判定できるか予備的に検証すること。【方法】入院中の高齢女性を対象とした。デジタルカメラで撮影した対象者の下腿のデジタル画像を用いて,キャニー法でエッジ検出を行った。低SMI の基準はアジア作業グループが提唱する基準値5.7 kg/m2 を用いて群分けを行い,下腿のデジタル画像とエッジ検出した画像のそれぞれで,Convolutional Neural Network による解析を実施した。【結果】対象者は32 名であった。下腿のデジタル画像およびエッジ検出した画像における低SMI を判定するC 統計量はそれぞれ0.83(95%CI:0.83–1.00)と0.92(95%CI:0.92–1.00)であった。【結論】下腿のデジタル画像を用いることで低SMI 者を判定できる可能性がある。
著者
中口 拓真 石本 泰星 宮川 祐希 西村 淳 近藤 義剛
出版者
公益社団法人日本理学療法士協会
雑誌
理学療法学 (ISSN:02893770)
巻号頁・発行日
pp.12125, (Released:2021-11-10)
参考文献数
29

【目的】被殻・視床出血患者の急性期CT 画像から,発症3 ヵ月後の歩行自立を予測すること。【方法】回復期リハビリテーション病棟に入院していた被殻・視床出血患者134 名を対象とした。CT 画像は発症後12時間以内に撮影されたものを使用し,深層残差ネットワークにより発症3 ヵ月後の歩行自立を予測した。予測精度としてC 統計量,感度,特異度,F 値,Matthews Correlation Coefficient(以下,MCC)を算出した。【結果】予測精度[平均値(95%CI)]は,C 統計量0.89(0.70 – 0.94),感度0.91(0.76 – 0.95),特異度0.83(0.69 – 0.88),F 値0.87(0.80 – 0.92),MCC 0.82(0.76 – 0.89)であった。【結論】被殻・視床出血患者の急性期CT を用いて,発症3 ヵ月後の歩行自立を予測できる可能性がある。
著者
中口 拓真 石本 泰星 赤澤 直紀
出版者
理学療法科学学会
雑誌
理学療法科学 (ISSN:13411667)
巻号頁・発行日
vol.33, no.2, pp.235-240, 2018 (Released:2018-04-27)
参考文献数
26
被引用文献数
1 2

〔目的〕回復期リハ病棟の運動器疾患患者におけるFIM運動スコア利得の臨床的意義のある最小差(MCID)を明らかにすること.〔対象と方法〕対象は回復期リハ病棟患者102名であった.入院時FIM運動スコアから30日後FIM運動スコアを差分し利得を求めた.FIMの外的指標は,患者が変化度合いを報告する指標であるGlobal rating of change scale (GRC)で調査した.GRC –1と1を日常生活動作の改善のSmall change群とし,平均値をMCIDとした.〔結果〕Small change群のFIM運動スコア利得の平均値は14.6点であった.〔結語〕今回の対象では,回復期リハ病棟の運動器疾患患者が,日常生活動作改善を自覚するFIM運動スコア利得のMCIDは14.6点である.
著者
中口 拓真 石本 泰星 桑田 一記 福本 祐真 田津原 佑介 近藤 義剛
出版者
公益社団法人日本理学療法士協会
雑誌
理学療法学 (ISSN:02893770)
巻号頁・発行日
vol.48, no.3, pp.279-286, 2021 (Released:2021-06-18)
参考文献数
36

【目的】下腿のデジタル画像とエッジ検出により低Skeletal Muscle Index(以下,SMI)である高齢女性を判定できるか予備的に検証すること。【方法】入院中の高齢女性を対象とした。デジタルカメラで撮影した対象者の下腿のデジタル画像を用いて,キャニー法でエッジ検出を行った。低SMI の基準はアジア作業グループが提唱する基準値5.7 kg/m2 を用いて群分けを行い,下腿のデジタル画像とエッジ検出した画像のそれぞれで,Convolutional Neural Network による解析を実施した。【結果】対象者は32 名であった。下腿のデジタル画像およびエッジ検出した画像における低SMI を判定するC 統計量はそれぞれ0.83(95%CI:0.83–1.00)と0.92(95%CI:0.92–1.00)であった。【結論】下腿のデジタル画像を用いることで低SMI 者を判定できる可能性がある。
著者
中村 将宏 中口 拓真
出版者
公益社団法人 日本理学療法士協会
雑誌
理学療法学Supplement
巻号頁・発行日
vol.2016, 2017

<p>【はじめに,目的】</p><p></p><p>Mirror Neuron Systemの特徴を応用した運動観察治療(Action Observation Therapy:AOT)により脳卒中患者の運動機能向上が報告されている(田津原ら,2016)。</p><p></p><p>通常のAOTはディスプレイ上に映された動画の観察を行うが,脳卒中患者を対象にした場合,注意障害等によりディスプレイに集中出来ない可能性がある他,三人称的な認識になりやすく,イメージする事が困難である場合も想定される。一方,動画を反転させた3D Virtual Reality(VR)では,一人称的な動画であり運動イメージがしやすく,専用ゴーグルを装着する為,視覚的側面では注意障害の影響を受けにくい可能性がある。本研究では,通常のAOT介入よりVR介入で運動機能が向上した症例を報告する。</p><p></p><p>【方法】</p><p></p><p>症例は右中大脳動脈・前大脳動脈領域の心原性脳梗塞と右被殻出血により左片麻痺を呈す回復期病棟に入院中の70代の女性である。発症12週後のTrail Making Test(TMT)はTMT-A456秒,二等分線試験は異常なし,Fugl-Meyer Assessment(FMA)は合計55/226,感覚障害は軽度,著明なROM制限はなし,麻痺側膝伸展筋力はManual Muscle Testing(MMT)1,移乗動作はFIM移乗が3点であった。</p><p></p><p>本研究はABデザインを用い,A:ベースライン(通常PT+AOTを10日間),B:VR介入期(通常PT+VRを10日間)とし,AOTとVRは椅座位から膝関節伸展運動の動画に合わせて自動運動を1日15分行わせた。A期とB期の間に7日間の期間を設け計27日間実施した。評価はA期B期の初日と最終日に実施した。評価項目はMMT,足部心的回転(Mental Rotation:MR)の平均反応時間を計測した。</p><p></p><p>VR動画作成は非麻痺側での膝関節伸展運動を患者自身からの視点で撮影し,その動画を無料iPhoneアプリRotate&FlipVideoを使用して反転させる。反転動画をKeynoteの左右2カ所に張り付け同時再生するようプログラムしたものをiPhone6で連続再生させたまま専用ゴーグル(定価2千円程度)に設置した。専用ゴーグルは2眼レンズの物を使用し,装着したまま運動が出来るよう頭部に固定した。</p><p></p><p>【結果】</p><p></p><p>結果をA期:初期→10日後,B期:①初期→10日後として示す。FMAでは,A期:55→55,B期:55→56,MMTでは膝関節伸展運動がA期:1→1,B期:1→2以上で抗重力位でも関節運動を確認した。MRの平均反応時間は,A期:6.1秒→6.0秒,B期:5.9→5.0秒。移乗動作はFIM移乗が5点となった。</p><p></p><p>【結論】</p><p></p><p>結果より,B期ではVR期にMMTの向上を認め,FIMで移乗動作に改善を認めた。渕上ら(2015)は運動観察により下肢運動機能が向上すると報告している。運動機能向上には,運動観察のみより運動観察+運動イメージを行った方が良いとされている(Taube, et al., 2015)。本症例は感覚障害が比較的軽度であるがTMT-A456秒と注意障害が強く,MMT1と筋力低下が著明であった。その為,通常AOTでは運動観察のみに留まったことで運動イメージが起こりにくかったのではないかと考えられる。通常VRでの一人称動画は通常AOTよりも運動イメージをしやすい環境にあったのではないかと考える。</p>